桜桃忌です

公開日: 

本日6月19日は、文学好きの方ならすぐ分かる、

「桜桃忌」です
そう、太宰治の誕生日であり、
玉川上水から太宰の遺体が発見された日ですね。
実は、私の祖母の命日でもあり、
祖母が亡くなった時「あぁ、桜桃忌に亡くなった。」
と思ったことを、今でもはっきりと覚えています。
私は、中学時代から太宰治の大ファンでした。
バブルの申し子の様な時代を生きた我々ですが、
思春期までの日本はまだまだ貧しく、
四畳半フォークが流行り、退廃的な時代だったと思います。
多感な思春期に、時代の空気もあり、
更に試練の多かった中学時代に、
太宰のデカタン的作風が、ぴったりとはまり、
むさぼるように読みふけっていました。
太宰の作風は、作品によって様々に分かれますが、
私は「お伽草子」や「新釈諸国話」のようなユーモア小説より、
なんといってもデカタン的小説の代表作のような
「人間失格」派です。
「斜陽」も好きですが・・・
最初に読んだ時に、「主人公の大庭葉蔵は、まるで私だ
と衝撃を受けました。
恐れが多くて、その恐れを隠すために、
道化を演じる葉蔵に、自分を重ね合わせ、
ぐいぐいとひきこまれながらも、心がキリキリと痛みました。
第一の手記「恥の多い人生を送ってきました。」
というあの有名な書き出しで、
まさにナイフが心臓に突き刺さったような気がしたものでした
そして、薬物依存と女性問題、繰り返される自殺未遂に、
一種の憧れを感じていた私は、
ある意味未来を予見していたのかもしれません。
今思えば「人間失格」は、棚卸のような小説だなぁと思います。
13歳のある日を境に、ずっと死を願って生きてきた私は、
女性と心中を繰り返す、太宰のような男を求めていたのかもしれません。
その後、時代が激変し、バブルの絶頂を迎えていた頃、
気が違ったように、毎晩毎晩、
飲み、騒ぎ、踊り、派手に狂乱していた青春時代を過ごしながら、
卒業論文には、「太宰治 人と文学」をテーマに選ぶのです
その相反する二面性、引き裂かれるような矛盾を抱えた当時の内面も、
今なら良くそのからくりが分かります。
太宰への憧れや執着を解明することで、
私は、自分自身を解明したかったのだと思います。
心が求めてやまなかった、自分の謎
それをどうしても知りたかったのだと思います。
頭は大したことのないですが、
お嬢様学校で有名な女子大の国文科ですから、
卒論は皆、源氏や古今和歌集などを選んでいたような気がします。
少なくとも、太宰を選んだのは、私一人でした。
周囲は私のキャラクターとのギャップに
「えぇ太宰なんでまた」と驚きます。
そこでまた私は、そんなことにまで、
「えへへ、実は根暗なんだよね~」「うっそ~
なんて、まるでギャグの様に言い訳をし、取り繕うのです。
もちろん当時の私に、太宰の謎も、自分の謎も解明できる訳などなく、
結局のところ、無力感に襲われ、
卒論の主旨もテーマもどこに求めて良いのかすらはっきりせず、
殆どが、奥野健男先生の「太宰治論」引用で、
主任教諭に叱られて終っただけでした。
毎年、6月19日が来ると、
ちょっぴり切なく、うっすらとした哀しさで、
自分の青春を思いだします。
人生に悔いは全くないし、
過去に後悔もありません。
でも、若い頃より、今の方が良い
それだけはきっぱりと思えます
そう思えている、今の人生と自分を、
幸せだなぁと、感謝しています

ブログ、下記の二つのポチを押してください。

応援宜しくお願い致します。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 依存症ランキングがあがります
ブログ村依存症ランキングがあがります
依存症人気ブログランキングがあがります

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Comment

  1. noah より:

    SECRET: 0
    PASS:
    沙羅さんが太宰ファンだったとは…聞いてビックリ!実は私もです。
    もう思い出すこともなかった若き日の悩みがふっと蘇ります。大人になる前の闇の中のそのまた奥の黒光りしているものに惹かれる私という存在を持て余していた頃
    今 娘がその頃の私と同じ年頃になり 「こないだ太宰読んだけど 意味わからん~」って言うのを聞いて その方がいいかも?って。
    解るもよしわからんもよしです。
    でも その頃の沙羅さん 私 絶対好きです♪

  2. C より:

    SECRET: 0
    PASS:
    昔も生き辛さを抱え生きていた人が沢山いたんですね。私は依存症と言う病気を知ってから読みました。
    考える会の活動で 今、苦しんでいる人を助け、日本の依存症業界が大きく変化する事を促せたら素晴らしいですね。益々、仲間と共に歩んで行きたいと思います。

  3. 沙羅 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    noahさんコメントありがとうございます。
    noahさんも、太宰ファンですか?若い頃は本当に屈折していたというか、なんというか・・・
    でも、あの頃の自分も愛おしいですよね。
    そうですね~私たち学生時代に出会ってたら、親友になっていたかもしれないですよね~!

  4. 沙羅 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    Cさん、コメントありがとうございます。
    大人になってからの太宰ですね~。私も、時たま読み返しますが、今では、全く違う読み方ができます。考える会は明るく楽しく、今や太宰の世界とは全く逆ですね~。

  5. ユキ より:

    SECRET: 0
    PASS:
    沙羅さん、私も国文科で卒論は太宰治でした。太宰治の闇の部分や人間失格を読んで、私のことみたいと思っていました。それで卒論を太宰治にしたんですが、書いてるうちに具合悪くなったり、何だか纏まりきれなくなって、何をしたかったんだろうという間に、終わってしまったんです。そのことを懐かしく思い出しました。
    でも、今は自分の幸せなことを見つけられるようになったので、そんなこともあったなぁと若かった自分を思い出しました。

  6. 沙羅 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    ユキさん、コメントありがとうございます。
    わぁ!ユキさんもでしたか~。国文科って意外に卒論難しいですよね。焦点がぼけるというか。
    ホント、今なら分かることが沢山ありますよね。苦悩していたあの時代も愛おしいですね~。

Your Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP ↑