訃報 宮尾登美子さんです

公開日:  最終更新日:2015/01/09

LINEニュースによると、作家の宮尾登美子さんが、
亡くなられたそうですね。
大大大大好きな作家さんでした。
もう新作を読むことはできないのか・・・
と大変残念です。

我々世代だったら、宮尾登美子さんと言えばまず思い浮かぶのは、
故 夏目雅子さんの代表作ともなった
「鬼龍院花子の生涯」が思い浮かぶのではないでしょうか?

夏目雅子さん演じる主人公 松恵のあの有名な啖呵
「うちは、鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき、
なめたら・・・なめたらいかんぜよ!」
同じ女でも奮いつきたくなるような美しさでした。

ど~でも良いですけど、私ってどうしてこういう映画のセリフとか、
実にくだらないこと、よ~く覚えてるんでしょうか???
なんか大切なものが記憶されるスペースがなくなる気がして、
とっても不安なんですが・・・

その後、池上季実子さんが主役を演じた「陽暉楼」
十朱 幸代さんが主役の「櫂」と映画化され、
当時の美しい女優さんと共に、
豪華絢爛な日本映画を堪能したものですよね。

もちろん宮尾さんの代表作である「高知三部作」とよばれた、
これら遊郭を舞台にした作品も好きですが、
私は、宮尾作品では地味ですが、
「一弦の琴」と「伽羅の香」という作品が大好きです。

なんせ着物好きの私、
着物と古典芸能が結びついた文学が、
小説の中では一番大好きな世界なんです。
もう全然キャラに似合わないんですけど~。

そして、その美しい「着物文学」とでも言いましょうか、
その世界を書かせたら、ピカ一というのが、
1.谷崎潤一郎 先生
2.有吉佐和子 先生
3.宮尾登美子 先生
じゃないでしょうか(田中紀子調べ)?
この先生方の作品はそれこそ何十回と読みなおしました。

もう、現代ではこの先生方の上をいく、
着物文学は生まれるまい・・・と、
半ば諦めております。
知識と教養だけでなく、
やはり着物を愛し、慣れ親しみ、審美眼を持ち、
身近に知り尽くしていないと、あの世界は絶対描けないと思います。

私の、個人的な好み、見解ですけど、
やっぱりお着物の美しい世界を描いた小説は、
絶対西日本、関西以西のものじゃないかなぁと思ってます。

有吉先生は和歌山、宮尾先生は高知、
谷崎先生は、東京の方ですが、神戸に移り住まれてから、
沢山の美しい作品を残されていますもんね。
贅沢な美しいお着物を描いた世界は、
やっぱり縮緬、友禅こそが真髄だと思ってるんですよね。

最近は毒々しいへんてこりんな着物も多いですが、
私は、着物には非常にうるさく、絶対古典柄を、
品良く着こなすべき!と思ってます。
趣味の悪い着物を着て、衣紋をやたら抜いて、
髪にお花なんか飾ってる女性をみると、
私が選び直し、着付け直してあげたくなる衝動にかられます。

東京以東の着物文学は、
どうしても縞物や紬なんかが主流になるので、
粋ですけど、華やかさにかけるので、
ちょっと物足りないんですよね。

着物に詳しくない方にはなんのこっちゃですが、
つまり東が竹久夢二さんの世界ですね。
黄八丈に黒繻子帯など縞物の粋なお着物。
対する西が、舞妓さん芸妓さんのお着物ですね。

東も嫌いじゃないですが、
やっぱり王道は西じゃないでしょうか?
お着物に関しては。

ちなみに東のお着物文学で好きなのは、
青木 玉さん「小石川の家」
村林 益子さん「ます女着物手控え」
林 真理子「着物の悦び」

こうしてみると文学というよりエッセイですね。
西の文豪の世界とは違って、
こちらはですね、読んだ方は分かるのですが
どっちかというと着物の仕立て方なんかが書いてある本なんです。

これもまた、好きなんですよね~。
お着物を、ばぁ~っとほどいて洗い張りなんかやるシーン、
もうたまらず好きです。美しき昭和という感じがします。

私の着物好きって、記憶に刷り込まれた原風景に対する、
ノスタルジーなのかなぁと思うことがあります。

実は、長屋住まいだった我が家のお隣のお家が、
お着物の染物屋さんだったんですよね。
お隣おじさんが、お着物に絵を書いたり、
染めていくのを、日がな一日眺めてたんですよね。

あと、うちのおばあちゃんとお隣のおばさんが、
「あんた、今日お天気だからやっちゃおうか~」
なんて、相談して、二人でお着物洗い張りして、
ものすごい手際で、洗ってのりつけて、乾かしていく様を、
これまた邪魔だ邪魔だと怒られながら、
眺めていたんですよね~。

おばあちゃんがお裁縫している姿も、
毎日のように見てましたね。
昔の人は、家事が大変でしたよね。
OLが少ないはずです、働けませんよね。

なんか着物文学の話をしていたら、すっかり興奮し、
話がどんどん横道にそれていきましたが、
宮尾さんの日本のお着物が沢山出てくる、
美しくも懐かしい、あの世界の誕生を、
もう読むことはできないのかと
実に淋しい気持ちになります。

宮尾さん沢山の作品を生み出して下さり、
有難うございました。
堪能させて頂きました。

ご冥福をお祈りいたします。

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Comment

  1. SA より:

    りこさんは、何でも良く知っていますね!興味を持ったものを徹底的に知ろうというパワーが凄いですね。
    大河ドラマで、着物が出てくるシーンとか好きでした。話の内容より~(^^)
    うっとりしちゃいます。

    • rico より:

      SAさん、コメントありがとうございます。
      そうそう!お着物のシーンってうっとりしますよね~。
      やっぱり日本人はお着物好きな人多いんですね~。

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