野球賭博という落とし穴です

公開日: 

今、巨人軍の野球賭博事件、ものすごい勢いで報道されていますが、
別に驚くことではありません。
野球賭博なんて、そこここに転がっている話です。

今回は、巨人軍の選手が関与したことで、
センセーショナルに取り上げられていますし、
私も決して良いこととは思いませんけど、
でも、totoでお上も、野球賭博を合法的にやろうとしてるのが、
日本の現状ですからね。

しかも「子供たちに悪影響」なんてもっともらしく言われますけど、
それこそ国でやってる公営競技なんて、
じゃんじゃんばりばり、ファミリー層を取り入れようと、
家族連れを呼びこんでるんですからねぇ。
なんだかなぁ~、究極の二枚舌な感じがしてなりませんね。
良いわけないんですよ、ファミリー層をギャンブル場に呼び込むのなんて。

まぁ、でもこれだけ野球賭博がクローズアップされたのですから、
折角ですから、私が知ってる野球賭博の落とし穴について、
今日は書きたいと思います。

まぁ、この私も野球賭博はニアミスしてますよ。
世の博打好きなら皆そうじゃないでしょうか?
蛇の道はへびっていいますけど、
良く薬物依存症の人が、売人を街中で見つけられるって言いますけど、
ギャンブラーもあらゆる闇賭博に出会いますね。

幸か不幸かこの私は、とにかく結果が早いものしか、
興味がなく、野球賭博のような、
賭けてから結果が出るまで時間がかかるギャンブルなど、
まどろっこしくてやってられないので、助かりましたけど。

野球賭博でカモを探してるような人って、
実に普通に登場してきます。
私の場合、飲み屋のマスターでした。

そもそもギャンブル依存症者は、
四六時中ギャンブルのことしか考えていませんから、
飲みに行ってもそんな話ばっかりです。

何レースがあぁだったこうだった。
1マークの差しがまくりが・・・という話をしていると、
そこに同じくギャンブル好きが集まってきます。

いつしか会話に知らない人が交じり、
ギャンブル談義が始まるのです。

お店にいくと、常連さんが「ようよう」「やあやあ」と、
声をかけてくれるようになった頃、
マスターが絶妙なタイミングで、さりげなく、
「明日の野球の試合賭けない?」なんて言いだして来ます。

それはまるで「明日は雨かなぁ~」と、
お天気の話でもしたかのようなさりげなさです。

すると「おっ!マスターいいね~。受けるの~?」
なんてお客さんが冗談交じりで言うと、
「マスターも、受けて立ちますよ」
なんてこれまた冗談っぽく返してきます。
こうして、何の警戒心も抱かせない、仲間うちのお遊びのような感覚で、
地獄への幕が開くのです。

そして最初は本当にお遊びのような感覚で、
1000円2000円、せいぜい5000円とか10000円位の金額で、
始まります。

ここに2つの大きな落とし穴があります。

まず、一つは日本の男性陣は大体が野球好き。
いえ、もともと勝負事が好きなのか?
ギャンブラーはスポーツ好きが多いのです。
ですから「自分は野球に詳しい」という自負がある。

そしてもう一つは
「しょせん2つに1つ、当てるのは簡単。」
と思ってしまうのです。
ギャンブラーはそれぞれに得意種目があります。
競馬だったり、競艇だったり、はたまたパチンコだったり。
そういった賭けごとに比べ、野球賭博なんて簡単にあたる
という錯覚が起きます。

今になって思えば、ギャンブルに法則性なんてありませんが、
1つだけ言えるのは、ギャンブルはあたらない
ということだけです。

そして、野球賭博には、ハンデがあって、
このハンデというのが絶妙なのです。
例えば、ハンデが2.5なんてついていると、
今年ぶっちぎりに強かったホークスに賭けたとしても、
この場合3点以上の差がついて、勝たないとダメなのです。

で、このハンデ表を見ながら、試合を予想していきます。
そしてノミ屋しかり、野球賭博しかり、
その場で現金をやり取りする訳でなく、
ツケなんですよね。
大体週に一度、決まった曜日に支払いをまとめてします。

このツケというのもまた曲者で、
1回負けても、まだ支払日が来ない・・・
そうすると「支払日までに勝てばいいや」と、
気軽に考え、賭け続けてしまうのです。

私は、興味が殆ど湧かない賭けごとだったので、
そういう会話や光景を、そのバーで時たま眺めていましたけど、
最初は「マスターに昨日はやられちゃったなぁ~」なんて、
大声で楽しそうに話していたお客さんも、
そのうち段々見かけなくなるのが常でした。

やがて私も、そのバーに行かなくなりましたが、
その数年後、そのマスターもギャンブルで、
大きな借金を作り、失踪してしまったと耳にしました。

あのマスターの正体が一体何だったのか?
暴力団とのつながりがあったのかなかったのか?
(おそらくあったとは思いますが)
ハンデ表は誰が作っていたのか?
詳しいことは分かりません。

ただ良く分かるのは、バカラという、日本で言うおいちょかぶ、
のようなものに、はまった私には良く分かるのですが、
2つに1つの賭け事ほど、バカバカしく勝ち目がないのに、
ものすごく面白く、のめり込んでしまうものはありません。

取り戻そう、取り戻そうと思ううちに、
賭け金はどんどん増えていきます。
何故なら、2つに1つの賭け事には、
負けたら賭け金を倍額にしていけば、
いつかは必ず取り戻せる・・・
という幻想が常について回ります。

でも、例え取り戻しても、やめないし、
倍々に賭けていくと、必ず手持ち資金がなくなります。
ですから、野球賭博は、
いえ野球賭博も、地獄に落ちるのです。

失うものの大きい、野球選手のような職業の人でも、
簡単に手を出してしまう野球賭博。

知らない人からみれば、危ない人に危ない話を持ちかけられて、
それでも手をだす、しょうもない人。
と、見えるでしょう。

でも、あまりに気軽に罠が仕掛けられるので、
あっさりと手を出してしまうのです。
ましてお酒の席で誘われたら、
ギャンブル好きなら、イチコロです。

別に、暴力団風の人が突然近づいてきて、
「お兄さん、野球賭博やらない?」
なんて話しかけるわけではないのです。
最初の一歩は、友達同士のホンのお遊び、
まさか自分が野球賭博の罠にはまったなんて思わないのです。

そして、そういうことを、
日本人は殆ど知りません。
サラリーマンと無縁の世界と思っています。

私は、声を大にして言いたいのです。
日本人はもっとギャンブルの危険性について学ばねばなりません。
依存症についてもそうですが、
社会人になって、お酒の席でこんなことがあっても、
絶対に手を出してはいけないものがあるのです。
でも知らなければ分からない。

現に今回の事件、Twitterなどでは、
「野球賭博?今時?」なんていうつぶやきもありました。
そうです、知らないだけで、
今も昔も野球賭博はどこにでもあるのです。

でも、野球賭博は今回のような、大きな事件でもない限り、
マスコミにも取り上げられません。
その期間が例えば10年あったとしたら?

うちの子供たちは、おそらく野球賭博の報道など、
全く興味がないでしょう。
ですからそんなニュース耳に入りません。
そして、そのまま10年が過ぎたとしたら、
息子は24歳です。

考えたくもありませんが、
けっくんがサラリーマンになって、
なじみのお店ができる。
そして、ギャンブルの話になる。
マスターが口火を切る
「田中君、明日の巨人対ヤクルトどっちが勝つと思う?」
「そりゃあ、巨人ですよ」
「おっ!じゃあ3000円賭けようか」
「いいですね、マスター。悪いけどそれいただきですよ!」
・・・まさかそれが・・・!?

こんなことにならないように、
どんな風に、魔の手が忍び寄るのか、
手口を教えておくべきです。

どんな犯罪だってそうじゃないですか。
スキミングなんて昔は誰も知らなかった、
ネットバンキングからお金が盗まれるなんて想像もしなかった、
でも、そういう犯罪が起きたら、ちゃんと自衛策が啓発されるじゃないですか。

ギャンブルだけなんですよね、
依存症も闇ギャンブルも、特殊な人の特殊な問題として、
片づけられちゃうのって。

もちろん、今回の巨人軍の事件は、
全く別のアプローチから近付かれたと思います。

でも一般の人も用心に越したことはないのです。
なんたって、それでハマっちゃう人が実際に居るんですから、
ないものとして扱わないで、きちんと防御策を伝えるべきだと思います。

そして日本は「賭博大国」だと正直に認めるべきです。
公営ギャンブル、パチンコ・パチスロ。
それだけでも多くの危険にさらされています。
しかもネットで誰でもレースが見られ、
どんな街にもパチンコ屋さんはあるのです。

その上、闇ギャンブルもはびこっています。
闇カジノ、ノミ行為、野球賭博、最近ではインターネットカジノが、
ネットカフェで違法に営業しています。

これだけ、ギャンブルの危険にさらされながら、
そして沢山の犯罪に巻き込まれながら、
日本人は生きています。

もうそろそろ予防教育ぐらい、
真剣に考える時が来ています。

拙本も是非読んで下さい。
絶対に参考になるはずです。

「三代目ギャン妻の物語」高文研

61C8pGzlrbL._SX353_BO1,204,203,200_

ギャンブル依存症 角川新書

267690

巨人軍の福田選手だってバカじゃない。
こんなものに手を出しちゃいけないと分かっていたはずですよね。
それでも実際手をだした。
それは巧妙に仕掛けられていくからです。

あなたは、ご自分の息子さんを
「うちの子に限っては大丈夫」という、
根拠なき自信で育てたいですか?

それとも、
「大丈夫だと思っているけど、念のために一応、
ギャンブルの教育をしておこう」
と、より安全な方法で育てたいですか?

この国には、ギャンブル依存症対策が必要で、
子供たちには予防教育を施すのが、
親の務めではないかと、私は考えています。

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Comment

  1. wisteria より:

    「ギャンブル依存症」はとてもわかりやすく書かれていてよかったです。
    「ギャン妻」はこれから読ませていただく予定です。
    グレイスロード2 応援していきます。

    • rico より:

      wisteriaさん、コメントありがとうございます。
      また拙本もご一読下さり感謝致しております。
      グレイスロードも益々頑張って参りますので、
      今後もどうぞ宜しくお願い致します。

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