依存症という烙印です

公開日: 

先日書いた清原さん浪花節判決の件、
ヤフーニュースにもして頂きました。
清原判決、テリー伊藤の知ったかぶり論評にうんざり

こうして、より多くの方々の目に触れる機会を頂けると、
賛否両論あるでしょうが、本当に有難く思います。

私は時々、必死になって発信しても、まさに大河の一滴、焼け石に水というような、
徒労感に見舞われることがあるのですが、
アゴラさんをはじめ、こうして取り上げて下さる方がいたり、
FBやツイッターを拡散して下さったりと、応援して下さる方々に出会えると、
また頑張っていこう!と思えます。
本当に有難うございます。

何が、一番この国の依存症問題で通じない感じがするかというと、
「依存症になったらもうお終い」という、
まるで「人間失格」と烙印を押すかのような考え方が蔓延していることです。
依存症はダメ人間のラベルではありません。
ただの病名です。

確かに回復率が低く、致死率の高い病気であり、
また、病気にかかると言動と行動の整合性がとれなかったり、
言動自体が理解できないものであったりと、
一般の人には理解されにくいこともあるかと思います。

けれどもそれは脳の疾患なら良くあることではないでしょうか?
認知症が進めば、自分の愛する家族に、
暴力や暴言を吐くようになってしまうように、
依存症も脳の疾患ですから同じようなことが起きてきます。
けれども認知症と違い、依存症は回復が可能だということで、
回復してくれば、また機能も元に戻ってくるわけです。

ところが、この「回復できる病気」という部分が、全く報道されずに、
「依存症!?そこまで行ったらもうダメだね・・・」
と、多くの日本人が思いこんでいたり、
逆に「病気のせいにするな!」と、怒りを抱える人がいたりで、
依存症については、感情論で叩きのめされています。

昨日、田児選手のブログを書きましたが、
彼の記事に対し、検索をかけてみると多くの人が、
「彼はやっぱりダメだね」「反省してない」「永久追放で正解」
と発信しています。

そう、彼の発言は、ギャンブル依存症を「脳の疾患」としてみなければ、
決して理解されないものなのです。
彼の言い分が不可解なのは、私から見たら当然です。
何故なら、あの文章を読む限り、彼はたった一人家に閉じこもり、
ランニングをしていただけで、謹慎はしていたけれど、
治療をしていたわけではないからです。
独占告白 闇カジノで「永久追放」田児賢一「それでも僕にはバドミントンしかない」

では、「謹慎中の頭=何の治療も受けていないギャンブル依存症に罹患した頭」
に何が浮かぶかと言えば、
「いかに自分にはギャンブルが必要か」という理由づけです。
だから田児選手は、そのまんまを発信した訳です。

回復してくれば、それが全くの逆で、
「ギャンブルがあったから、バドミントンという大切なものを失ったのだ」と、
脳が正しい機能を取り戻し、理解を促すことができるようになりますが、
認知症の親が、子供に暴言を吐くのと一緒で、依存症に罹患している間は、
大切なものを台無しにするような誤作動が起きてしまうのです。

だから田児選手は、この謹慎期間に、
一人で家に閉じこもっていたのでは、
自分の考えしか脳内に浮かんでこない訳で、
益々病気は悪化したでしょう。
謹慎や反省で、病気は回復しないからです。

脳出血や、脳こうそくを起こした患者さんだって、
一日でも早くリハビリをはじめ、焦らず気長に失われた機能を取り戻す、
リハビリが必要な訳じゃないですか。
依存症も同じ脳の病気ですから、それと全く同じに考えて頂けば良いわけです。
いわばその機能不全の原因が、
血液だったか、ドーパミンだったかの違いだけなんです。
そして失われたものが、四肢の機能ではなく、
「ギャンブルをやり過ぎてはいけない」という、脳のストップ機能だったわけです。

脳こうそくを起こした患者さんが、
親友のことを考えて、機能を取り戻せるでしょうか?
長嶋監督が驚異の回復を見せているのは、一茂さんのことを考えたからでしょうか?
違いますよね、リハビリを気長に辛抱強くしたからです。

そのリハビリプログラムの一環が私たちの場合
集団療法というか、グループセラピーなので、皆、施設に入寮する訳です。

何故なら、ドーパミンの大量出血とでもいうべき症状で、
脳が傷ついている訳ですが、それが一部分の脳の機能だけに集中しているので、
一般の人には、どこがどう壊れているか?良く分からないのです。
逆に言えば、まともな機能が大半ゆえに、病気が分かりにくく、
上手に隠せてしまうからです。

集団療法で色んな人達に関わって貰い、様々な視点で自分の思考を点検しながら、
脳のリハビリに効く「12ステッププログラム」をはじめとする、
回復プログラムに取り組み、本当に少しずつ回復していきます。
施設でのリハビリはおよそ1年から1年半が必要と言われ、
長嶋さんもやがて退院し、自宅でのリハビリプログラムを開始したように、
依存症者もやがて、社会でプログラムに取り組む訳です。

リハビリというのはどんなものも同じですが、
使い続け、やり続けなければ、また機能が不全になるわけで、
そのために施設を出た後も自助グループに繋がり続けるわけです。

依存症が特別な過程をたどる病気だとは思いません。
ただ単に先入観や偏見を捨て、
様々な不可解な言動は「病気の症状なんだ」と受け入れてもらえれば、
ずっと早く、回復のレールに乗れて、しかも社会的負担も減り、
誰にとっても良いことだらけです。

ですから「あっ、それ依存症かもね。一度診断受けたら?」と、
気軽に言って貰える社会になって欲しいのです。
現在のように依存症がまるで、人生が終わった証しのように扱われるのは、
社会にとっても誰にとっても何のメリットもありません。

私の、つたない文章ではなかなか伝えきれないとは思います。
でも、マスコミの皆さんをはじめ、
援助職、相談業務に携わる方、さらには一般の皆様方の中に、
私の意図をくみ取って頂けた方がいらっしゃったなら、
是非この「依存症は適切なリハビリを受ければ回復できる病気」
というメッセージこそ、発信して頂けたらと思います。

田児選手は、反省していないのでも、ダメ人間なのでもなく、
「ギャンブルをやっていたから、バドミントンが強くなった」
と、脳内のドーパミンの大量出血により、
間違った思いこみが起こっているのに
誰にも助けてもらえずにいる人なのです。

例えていうなら、脳梗塞が起き、
ろれつが回らなくなり、手足が働かなくなったのに、
その様子を「変な奴!」とさらしものにされ、
「調子に乗ってたからだ」とか「金もらっていい気になってたからだ」と言われ、
病状はどんどん進むのに、反省が足りないと責められ、
「こんな変なやつ、放っておこうぜ。あいつはもうダメだよ。」
と、切り捨てられた人なのです。

私は彼をどうしても助けたいのです。
血を流し、一人でさまよっている彼をどうしても助けたい、
そして、このような悲劇を繰り返したくない。
真の再発防止策を国に取り付けたいのです。
力を貸して下さい。
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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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