北海道男児置き去り事件の教訓です

公開日: 

日本中が大騒ぎとなった、北海道男児置き去り事件。
少年が無事保護されて一件落着となりましたが、
お父さんの置き去り行為は「しつけ」か「虐待」かで、
意見は真っ二つに分かれていますよね。

道警函館中央署が、心理的虐待の疑いがあるとして、
北海道函館児童相談所へ書面で通告したことに対しても、
「当然」という声と「やりすぎ」という声が起きています。

そしてこの事件については、
海外メディアも報じていますが、
海外メディアでさえも、肯定派、否定派の二つに分かれているようです。

さて、みなさんはどちらの意見でしょうか?

私がもし「どう思う?」と意見を求められたなら、
ものすごく悩みます。
でも自分なら絶対にやらないし、
もし夫がやろうとしたら止めると思います。

では、この行為は「虐待」に当たるのでしょうか?
もし、あなたが児童相談所の職員だったら、どんな判断をしますか?
そして同じような事件が起きないためには何をするべきでしょうか?
すごく判断に悩みますよね。

児童相談所も公務員の皆さまのお仕事ですが、
ということは当然に異動がつきまとう訳です。
昨日まで、住民票を管理する部門にいた方が、
ある日辞令で突然児童相談所に異動になり、
異動初日にもしこの北海道の事件の通告が手元に届いたら、
どう対応されるのでしょうか?

そしてもう一つ、これは日本のメディアの皆さまに、
是非申し上げたいことがあります。
「もっと解決策こそ報じて欲しい」と。

この北海道での事件は、尾木ママがまた失言をしていたようですが、
こういう専門外のタレントさんに、コメントして貰う理由がわかりません。

さまざまな事件や事故が起きた際に、
いつも感じる中途半端さ。
「再発防止策が求められます。」
「再犯防止にしっかりと取り組んで欲しいですね。」
「今度は家族の心のケアが大切ですね。」
こんな無難なタレントさん達のコメントを発信することに、
なんの意味があるのでしょうか?

私は、今回の件で是非社会の皆さまに、
こういった難しいケースの再発防止のために、
様々な研究者が、様々な取り組みをしていることを、
今こそ発信して頂きたいと思っています。

何故なら、私も研究の下働きを担当させて頂くようになって分かったのですが、
研究者の先生方というのは、使命感に燃え様々な研究を、
社会に役立てようとされていて、
その情熱や愛情そして労力には実に頭が下がる思いでいっぱいになります。
でも、ハッキリ言って発信力がない。

何よりも衝撃だったのは、
売れない本が、資源ごみになるのと同じように、
人目につかない研究結果など、何の役にも立たないのだ
・・・ということを知ったことです。

例えば、依存症や児童虐待などの研究が行われたなら、
当然に、それを必要とする現場や、支援者、相談窓口などには、
その研究結果は共有されるものだと思ってました。

けれども、それこそノーベル賞を受賞するような研究ならともかく、
そんなことは実際あり得ないんですよね。
学会発表などはありますが、それでも全ての研究が知れ渡るものでもありません。
現場に届くものなど、一握りではないでしょうか?

ですから、メディアの皆さんは、こういった日本中を巻き込んだ事件が起きたなら、
是非、綿密な取材によって、
「再発防止策にこんなことが役立ちそうです!」ということこそ、
発信して頂きたいし、それがメディアの方々の真の役割ではないかと思うのです。

今回の事件で、私は是非知って頂きたい研究があります。
それは、国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センターさんで採択された、
筑波大学の森田展彰先生がリーダーとなって進められているこちらの研究です。
全国調査データベースを用いた児童虐待の予防・早期介入システムの開発

私も依存症問題についてこの研究の末席に
かかわらせて頂いておりますが、これはつまり、
今までに児童相談所に虐待通告された事例の全国調査データと、
乳幼児健診受診者調査の分析を行って、
「こんなことがあったら、一時保護しよう」などという、
対応策の指針になるものを作って、
児童相談所の皆様方に、役立てて頂こうというものです。

例えば、まだ分析結果が出ているわけではないので、
ここに書くことは、今だけ使う例えですが、
「顔にあざ有」「複数回の骨折の記録」「年齢の平均より著しく少ない体重」
こういったデータを入力したら「一時保護の必要あり」と表示されるとか、
その表示方法もまだ決まっていませんが、
こういったアプリを作って、児童相談所の方の判断に使って頂こうというものです。

今回の北海道の件は、虐待かどうかの判断はともかくとして、
一歩間違えば死に繋がるところを、たまたま無事にすみましたが、
ご存知の通り、痛ましい児童虐待による事件は、
現在でも多々起きており、児相の皆さまの判断はとても難しいと感じています。
ですから現場の皆さんが少しでも楽になれるようにと、
先生方もご尽力されている訳です。

更には親御さんにも「こんな時どうしたらいいの?」という、
指針になるようなアプリを提供できればと考えています。
今回のケースでも分かるように、
親もどうしつけたら良いか?どんな風に子供に教えたらいいか?
皆、悩みながら親をやっているわけで、
北海道の事件は、誰にでも起こりうることだからです。

けれどもこういった研究を行い、結果を分析し、
何らかの成果物を作ったとしても、
それを使って貰わなければなんの意味もありません。
そして周知はとても難しいものです。

研究者の先生方の全員がFBのお友達が5000人ってわけでも、
Twitterのフォロワーが何万人もいるわけではありません。
YoutubeにUPしても、せいぜいPVなんて数百がよい所です。

だからこそメディアの皆さま方には、有益な情報を発信して頂きたいし、
メディアの皆さまと研究者の先生方、
そして我々のような現場の活動が、
三つ巴でWinWinになれるような、
そんな社会の好循環を心から望んでおります。

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