そもそも違法にするメリットはあるのか?①です

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高知東生さんの件で、マスコミ報道は過熱を極め、
愛人と言われる女性の過去まで、スキャンダラスに暴いていく、
本当に日本のTV局の弱い者いじめの図式には心からうんざりです。

本当に報道すべきものも、スポンサーの顔いろ次第では一切報道せず、
また、プロダクションの力関係で、真実は簡単にねじ曲がって伝えられているのに、
誰からも非難のこない、違法薬物問題については、
一斉に徹底的に叩くという、オリジナリティとセンスのなさ。
結局大衆におもねっているだけですよね。
ホント地上波なんてさっさとなくなれ!と思うこともしばしばです。

そして私たちの側ももっと声をあげていかなくては・・・と思っています。
幸いにして、薬物依存に関わる精神科の先生方には、
松本俊彦先生という論客もいらっしゃいますし、
応援して下さる、新聞記者さんなども増えてきました。

薬物のご家族はやはり「違法」ということがネックになって、
声もあげにくいし、助けも求められません。
どれだけのご家族がこういったメディアリンチで傷つき、
苦しんでいるか、鈍感なTVマンには分からないのでしょうか?

それでいてパチンコ番組やパチンコCMには平気でおもねる。
あれだって現在不正釘台が70万台も出回っているんですから、
この矛盾には腹が立って仕方がないです。

ですから声をあげにくい薬物のご家族の分も、
ギャンブルの家族である我々が声をあげてやろうじゃね~か!
みたいな気分になっています。

そもそも薬物の自己使用を「違法」にしているメリットなんて、
一体どこにあるのでしょうか?
日本は、売人や製造といったものと、
自己使用の区別もついていないのでは?と思います。

例え自己使用が違法でなくなったとしても、
手を出す人たちの比率は今と変わらないはずです。
「ダメ絶対」のリスク教育で手を出さない人は、
違法だろうと合法だろうと手を出さないからです。

そして、自己使用が違法でなくなれば、
もっと相談がしやすくなります。
薬物のご家族に聞くと、相談電話1本でも、
「通報されないか?」「逮捕されないか?」と不安になり、
なかなか電話できないそうです。

「暴力団の資金源に・・・」とこれまた誰しもが考えつくような、
ロジックで正義感を振り回してますけど、
それだけ暴力団が巧妙なんですよね。
誰だって、最初から「暴力団ですけど、覚せい剤入りますか?」
と言われたら、絶対手を出さないでしょうけど、
何らかの理由でメンタルが弱っている時に、
ウツウツとして心が苦しくて仕方がない時、
自己肯定感が下がっている時に、
「この薬ですっきりできるよ。1回だけなら大丈夫だよ、あげるよ。」
と、普通の顔をした、ちょっとした顔見知りに近づいて来られたら、
人間、魔が差す時はあると思います。

そもそも本当に覚せい剤だと分からない事もあると思います。
私も1回だけ「あれって覚せい剤のことだよね?」と、
本当はどうだったのか分からないけど、売人に近づかれたことがあります。

まだ若い頃、私はバリ島にはまってしょっちゅう遊びに行っていました。
バリというのは、夜通し遊べるエキサイティングな街です。
ところが滞在中遊んでばっかりいると、当然眠くなっちゃうわけで、
「あ~ぁ、寝ないでずっと遊べたらいいのにね~」などと、
でっかい声で、オープンカフェで騒いでいました。

するとどこからともなく、どこの国の人かもはっきりしない、
日本語ぺらぺらの人が近づいてきて、私たちの席に座りました。
最初は、たわいない世間話だったんですけど、そのうち白い錠剤を出してきて、
「これさ、最近開発された眠くならない薬なんだけど飲む?一晩中遊べるよ~」
と言ったのです。

私たちは「え~、何それ?それって危なくないの?覚せい剤じゃないの?」
と聞きましたが「違うよ、ちゃんと医者が開発して、普通に売られてる薬だよ」
と言うのです。他にもいかに安全で合法的かということをもっともらしく話すのです。
確かに見た目は普通の処方薬の様で、何知識もなかった私たちは、
「へぇ~そうなんだ・・・そんなものが出来たんだ・・・」と散々迷いましたが、
結局こんな異国の地で、何かあったら大変だわ・・・と思い、
「でもいい。今日は帰って寝るね~」と言ってバイバイしました。

帰る道すがらも友達と半信半疑で、
「あれって覚せい剤のことだよね?」「でも覚せい剤って粉じゃない?」
???と言う感じで「寝ないで遊べるのが本当だったら魅力的だが・・・」
という未練を残したまま、帰ったことをよく覚えています。
今でも「あれは人生で一番の危ない出来事だった」と想い出します。

薬物乱用防止教室なんて教育を全く受けて来なかった我々世代、
巧妙な人に近づかれたらひとたまりもないというのが実感です。
私の場合はたかだか「遊びたい」という欲求だったので、
リスクが回避できましたけど、
逆に弱っている時、どうしようもなく辛い時に、
「すっきりできて、元気になれる薬だよ。合法だよ、大丈夫だよ」
と近づかれたら、間違いなく手を出すと思います。

思い出話を書いたら、長くなったので、
この続きはまた明日書きます。

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