元極楽とんぼ山本氏TV復帰番組についてです

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皆さんは、お笑いコンビ 元 極楽とんぼ 山本圭壱さんが、
2006年度に未成年の少女と飲酒させた上、性的暴行を加えたとして、
被害届が提出された事件を覚えておられると思います。

この事件、被害者の少女とそのご家族との示談が成立し、
結局、告訴は取り下げられ、不起訴処分となりましたが、
山本さんは、所属していた吉本興業から契約解除され、
TVの世界から姿を消しました。

そしてあの事件から10年が経過し、つい先日の7/30に、
山本さんが「めちゃめちゃいけてる」という番組でTV復帰を果たし、
大反響を呼んでいることを、皆さんはご存知でしょうか。

この番組、相方である、加藤浩次さんが中心となり、
ナインティナインさんやロンブーの淳さんなど、
人気芸能人がずらりと並び、
皆さんが号泣しながら山本さんに苦言を呈すという、
感動的なシュチュエーションに作り上げられていました。

相方の加藤さんは、最後には共に土下座して謝罪、
山本さんの奥様までもが涙ながらに登場しました。
そしていかにこの10年、加藤さんが周囲のTV関係者に頭を下げてきたか、
奥様はいかに苦悩する山本さんを支えてきたか、
コンビ愛、夫婦愛の深さが語られていました。

山本さんを支える周囲の皆さまの愛情に関しては、
私も確かに疑う余地がないのかと思います。

しかし、このような感動的な番組作りは、被害者に対する配慮に欠けると、
番組関係者は思い至らなかったのでしょうか?
実際、その日のTwitterには、山本さんに同情が集まり、
人気者がこれだけ泣いて支えているのだから許してやるべし、
コンビ愛に感動した、もう10年たったのだから良いだろう等というコメントが並び、
被害女性に対しては、10年前の写真週刊誌の記事が再びUPされ、
「金目当てのえん罪」などと、書きたてられることとなりました。

この事件の被害者だけでなく、こういったセカンドレイプに苦しむ、
性暴力、性虐待の被害に苦しむ方々が、現代社会に沢山いることを、
番組関係者はご存知ないのでしょうか?
そういった方々に対する配慮を、一瞬でも考えられなかったのでしょうか?

「もう10年もたった」と、ネットでは書きたてられていますが、
性被害にあった方々にとって、10年はあっという間です。
10年間そのトラウマは、過去にならず苦しみがずっと続くのです。
いえ、場合によっては生涯その傷は癒えることがなく、
それゆえレイプは「魂の殺人」と呼ばれるのです。

また、この事件との引き合いに、
「覚せい剤を使った芸能人は復帰しているのに・・・」
というコメントも多くみられました。
しかし、覚せい剤の自己使用事犯の芸能人と、
性的加害者との決定的違いは「特定の被害者が存在すること」です。
同列で語れるものではありません。

確かに、山本さんの場合、不起訴となり示談も成立していることから、
山本さんの社会復帰について、サポートするべきだと思います。
この番組を禊として、極楽とんぼのお二人は、
ライブツアーを敢行されるそうですから、
TV番組ではなく、観たい人だけ観に行くという選択権が与えられる、
舞台でのお仕事に関しては、私はありだと思いますし、
そうまでして相方との復活を望む加藤さんのコンビ愛には敬服致します。

しかし、同時に性被害のトラウマに苦しむ方々が多くおられ、
しかもそのサポート体制も充分でない現状があるのに、
山本さんが不特定多数が偶然目にする可能性の高い、
TVタレントとしての復帰することは難しいのではと思います。
ハッキリ言って、山本さんが登場することで、
当時の苦しみをまざまざと思い出しそのトラウマに苦しむ人がいるのです。

この番組では、最後に山本さんが、
「来週からレギュラーに復帰したい・・・」等と言いだし、
笑いをとるというオチになっていました。

皆さんにとっては「もう10年たった」ことであっても、
心から笑うことのできなくなった人たち、
何十年も苦しみ続けている方々がいることに、
どうか思い至って欲しいと願っております。

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