自殺予告が来たら・・・です

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今日は、実質的な仕事始めでしたが、
いきなり朝からヘヴィな相談が寄せられて、
本当に年末年始って嫌いだ!とつくづく思いました。

依存症者は、世間が幸せそうに見えるこの時期、
どうしても孤立しますよね。

で、一番心を痛めるのはもちろん「自殺予告」が届いた時です。
大抵の場合、失踪中であったり、一人暮らしをしている当事者から、
家族に自殺をほのめかすメールが入って、
慌てたご家族から、私のもとに「どうしたらよいか?」
と連絡が入ってきます。

大抵の人はこれを狂言ととらえるでしょうが、
必ずしもそうとは言い切れないのが、
依存症の恐いところです。

何度かブログに書いていますが、
私がまだ援助職となる前、普通のOLをやりながら、
自助グループのメンバーのスポンサーシップの一環で、
当事者の自殺にあったことがあります。

これが私の最初の大きな試練となりましたが、
この自殺は悔やんでも悔やみきれません。
というのもこれもまた何度か書いていますが、
当時はまだ「ギャンブラーは死なない。」「死ぬは全て脅し文句」と、
お医者様がセミナーなんかで堂々と公言している時代だったんですよね。

ですから自殺をほのめかすメールに対し、
即答せず、一晩考えよう・・・と提案してしまったのです。
私自身も「そう簡単に死なないだろう」という思いがありました。

では実際返信していたら、自殺は防げたのか?
それはもう確かめる術がありませんが、
でもご家族の気持ちは全然違うものになったのではないか?
と今でも自分を責める気持ちがあります。
あの件以来、何らかの反応は返すようにしました。

で、ここから先は、私が何となく経験から思っていることなので、
なんの根拠もエビデンスもありません。
ですからうのみにせず、ただの体験談として聞いていただきたいのですが、
私の考えでは、恨みつらみといっしょに、
「死んでやるかな!」とか、「死ぬから別にかまわない!」
といった怒りにまかせて言ってきた時は、
多分、死なないだろうなと思っています。

特に、ご家族にではなく、私と繋がりがあって、
私にそんな風に言ってくるときは、
どちらかというと「そっか~、困ったねぇ・・・」
というような感じでさらっと返すようにしています。

それよりも何よりも一番心配なのは、
ご家族に向けて「今までありがとう」というような、
メッセージを送ってきた時ですね。

このメッセージを入れて、その後ご家族が返信を入れても無反応・・・
こういった場合は、かなり心配になります。
ですから、即、捜索願などを地元警察に出して貰っています。

返信にも気を使いますね。
どんな風に返信するかは、ケースバイケースですが、
とても悩みます。

今日は、1件の自殺予告がこのパターンで、
いまだ連絡が取れず、気にかかっています。

逆に自殺予告をきっかけに、
「手助けするよ」とコンタクトをもち介入して、
施設入寮につなげるパターンもあります。
まさにピンチをチャンスに変えられるパターンですね。

自殺は本人はもちろん辛いですが、
周囲の人たちも、後悔や自責の念で長い間苦しむことになります。
私も、仲間の防げなかった自殺について考えると、
自分自身が受け止めきれない感情で、溺れてしまいそうになります。

ですから、ご家族と、もちろん当事者を守るために、
ギャンブル依存症の予防や啓発が
益々進むよう切に願う次第です。

そしてギャンブラーの命が守られるよう、
皆さま是非お祈り下さい。

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