特異なケースでかたずけるな!です

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千葉県の女児殺害事件は、保護者会会長が容疑者として逮捕されました。
決め手はDNA鑑定のみなので、彼を犯人と断定することはできませんが、
もしそうだとしたら、大変衝撃的な結末を迎えたわけです。

それに伴い、今日はこんな新聞記事がでました。
「特異なケース、子供見守り否定しないで」

私は、この一文に激しい怒りと、違和感を感じたので、
今日はそのことを書きます。
その一文とは、京都産業大名誉教授(刑法)の藤岡一郎先生という方がおっしゃった、

「今回の事件は特異であり、多忙な保護者に代わって
子供を見守る地域活動を否定してはいけない」と理解を求める。

というものです。
そう確かに、子供を見守る地域活動を否定するつもりはありません。
けれども今回は特異なケースと言ってもよいものでしょうか?
そもそも本当に特異なケースなのでしょうか?

この「特異なケース」という無防備な考えは、
多くの再犯防止への取り組みを阻害している、
勝手な思い込みではないでしょうか?

私は、つねづねギャンブル依存症の巨額横領事件における、
企業の対応でこの無防備さに大変憤慨しています。
「今回たまたまおきた特異なケース」この呑気さで、
常陽銀行など2度も大きな巨額横領事件にあっているのです。

まして、今回の事件では、幼い少女の命が奪われているわけで、
そういった事件が顔見知りの犯行だったことは、
それほど特異なケースなのでしょうか?
かつてママ友によって、幼い女の子が殺害された事件だってあったではないですか。
何人の子供たちが殺されたら、特異なケースではなくなるのでしょうか?

また私は、依存症の世界に身を置いているので、
性虐待の話しを、すごくよく体験として耳にします。
その時、最も多いのが、家族の犯行と顔見知りの人の犯行です。

今回の事件は、性虐待ではないかもしれませんが、
幼い女の子が被害にあうという事件では共通しています。

幼い女の子が、顔見知りの大人によって、
何らかの事件に巻き込まれる・・・
それを特異なケースとかたずけていたのでは、
有効な再犯防止策など生まれるはずもありません。
この先生のように「特異なケース」と最初から思っていたら、
いくら「再犯防止」をうたったって、お題目に過ぎないのではないでしょうか。

どんな事件だって、全て特異なケースであり、
一つ一つの事件を教訓に、丁寧にできることを改善していくしかありません。
そうしなかったら被害者の方が浮かばれないではないですか。

私はこの様々な事件で安易に使われる、
「特異なケース」という世にも無神経な言葉が、
心の底から大っ嫌いです。

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