JRAの家族申告のつっこみどころです

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12/25にJRAから発表された、ネット投票に対するの家族申告プログラム。
今週28日から家族の申告があればインターネットでの馬券販売を停止できるというものですが、
一瞬画期的に見えたこの取り組みも、よくよく内容を見てみたら、
おそらくギャンブル依存症のことなど全く分からない、
もしくは興味もない人が考えてたとしか思えない、
突っ込み所が満載の代物なのです。

何故、ギャンブル依存症対策と銘打ちながら、当事者と家族の意見を聞いて頂けないのでしょうか?
所詮は、カジノの言い訳にしたい程度で考えられた対策だからでしょうか?
そこは分かりませんが、こういった取組みを始めて頂くことには感謝しますが、
効果があるものでなければ意味がありません。
むしろ効果がないのに「対策をやった!」と言いはられては迷惑なので、
今後、是正すべき点は是正して頂きたいと思います。

まず、最大のネックは「診断書もしくは診断書に代わる客観的な判断材料となる情報の提出」とある点です。
そもそも家族がやむを得ず申請しなくてはならないのですから、
本人はギャンブル依存症を否認した状態であるはずです。
となると、医療を素直に受診するとも思えません。
また診断書に変わる客観的な判断材料とは何を指し、
それを家族が手に入れられるのか?大いに疑問です。

次のネックは、この家族申告が認められているのが、
「会員本人と同居している親族」という制限がつくのです。
これは意味が分かりません。何故、同居していないとダメなのでしょうか?
ギャンブル依存症のために別居を余儀なくされるご夫婦は少なくありません。
また、別居しているご両親や祖父母のところに無心にくるケースも多々あり、
今年の2月には、孫が度々年金暮らしの祖父のもとを訪れお金の無心をし、
祖父が断るとついに殺害にまで及んだケースがありました。
祖父殺しの23歳男 ホスト時代の知人語る「クズだった」(日刊ゲンダイ)

ギャンブル依存症者による金銭問題は、
家族の同居・別居に関わらず、降りかかってきます。
この規定はどうか撤廃して頂きたいと思います。

また、一番依存症について理解がないのはこの部分です。
家族申告で販売停止となった処置を解除したい場合、
【利用停止前】会員本人による「異議申立て」
【利用停止後】会員本人による「解除申請」
を可能とするが、いずれも「ギャンブル障害」の回復証明等の要件を設定。

とあるのですが、この部分を読んだ時は、
思わず爆笑してしまいました。

「回復証明」?そんなものを一体どこの誰が出せると言うのでしょうか?
ギャンブル依存症者の嘘に、身近にいる家族ですらまんまと騙され続けているのです。
その辺の医者が診察して、騙されないわけがないですし、
実際、家族の間では、騙された医者の話しなどゴロゴロ転がっています。

また、真に回復したギャンブラーであれば、
利用停止解除の申し込みなどするわけがありません。
ギャンブル依存症者には、一生涯ギャンブルと上手につきあえる日など来ないことを
身に沁みて分かっています。
一度罹患してしまったら、完治はない慢性疾患なのです。

ですから途中で「少しだけやろう!」と解除申請をしたなら、
それは「回復証明」ではなく「再発証明」にすぎません。
一度利用停止にしたなら、一生涯利用停止にするしかありません。
中途半端に解除する仕組みなどいらないし、
それができてしまうなら、家族申告などお題目だけのザル規定にすぎません。

以上、この度発表された家族申告制度の、
3大ネックを書いてみました。
JRAさん、どうか早急に改善して頂きたく、
ご検討のほど宜しくお願い致します。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
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三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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