この5年間をどうするのか?です

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最近各地でギャンブル依存症の相談会を開催しているお陰で、
地域の状況がよく分かってきました。
そして益々暗澹たる気持ちになっています。

ギャンブル依存症対策で、最も欠けているのは、
否認するギャンブル依存症者に介入する仕組みです。
どうやって困っている家族を助け出し、本人を回復に繋げるのか?
この難題に積極的に取り組んでいる自治体はありません。
今の所どこも「来るのを待つ」という姿勢です。

しかしですよ、実際問題それじゃ表面に出てくる、
比較的軽症な人達しか救えません。
そして医療はその役割に向きません。
それなのに、現在の対策はアルコールのパクリなので「医療の強化」しか出てきません。
これでは、ギャンブル等依存症対策基本法もIR実施法も内閣官房が管轄になっている意味がありません。
厚労省に持ってきた方がマシです。
いやマジで、今の厚労省のメンバーの方が、よほど管轄を超えた連携を模索してくれますよ。
金融庁などともガンガン連携してくれていますから。

それはやはり幅広く現場の声を聞いてくれるからだと思います。
内閣官房も誰のための依存症対策なのか?
当事者・家族の意向を無視した、依存症対策なんか有り得ないんですから、
もう少し我々庶民の意見も聞いて頂きたいと思うんですよね。
皆さんがエリートなのは重々承知してますけど、こちらも必死のお願いです。

で、基本法がこれからできるにあたって、関係者会議が入ったことは非常に喜ばしいです。
アルコールの例をみてみると、基本法が成立した翌年から関係者会議が始まり、
2年かけて国の基本計画ができた。
そこから各自治体が国の基本計画にそった計画を1~3年くらいで作る。
ってな流れになるようなんですね。

とすると短く見積もっても、実際基本法が動き始めるのって5年くらいかかる訳ですよね。
しかも動き始めて、そこからやっと育ち始める訳じゃないですか。
でも、それじゃあカジノができちゃうんだから、スピードが遅すぎるわけです。

ギャンブルはそもそもの土壌がアルコールほどありません。
むしろ皆無です。一部の先生方を除いて、
殆どの医療がここ2~3年の間に、年間せいぜい数十例を診ているにすぎません。

そしてギャンブルはアルコールと同じように、医療中心の対策を作ったのでは全くダメです。
それでは殆どをとりこぼします。
身体に大きなダメージのでるアルコールだから、医療中心、医療窓口でも当事者は繋がってくるのです。

ギャンブルは身体なんか壊れません。ぴんぴんしてます。
むしろ借金に追われ、働きまくったりしていて、身体は人一倍丈夫です。
ギャンブルは、お金です。中心をお金の問題にまつわるところに置かなければ、
とりこぼしだらけです。
だから何と言っても家族支援です。それを強化することが重要課題です。

そもそも治療法も治療薬もないのに医療に繋いだって、
社会負担費が増加するだけで、社会のためにもなりません。

医療に繋ぐ案件は
・診断時
・うつや統合失調症、双極性障害、発達障害などの重複障害がある
・自殺企図、自殺念慮が強くある
この3点に絞られると思います。

で、やらなければいけないことは、
・啓発啓発啓発!とにかく「ギャンブルの借金を家族が肩代わりしてはいけない!」
という知識を、徹底的に広めること。
「うつ病の人に頑張れって言っちゃいけない」
って、今じゃ誰でも知ってますけど、かつてそれを啓発していた時代があったじゃないですか~。
あれです!あれ!あのくらいポピュラーになるまで啓発する。
それだけで、グイッとギャンブル依存症は減ります。間違いないです。
その広告費に、どかん!と予算を割いて欲しいんです。

・そして適切な家族相談が受けられる人材をそこここに沢山作る。
とにかくギャンブルの相談と言うのは、身体が壊れてという大きな道筋がなんもありません。
相談に来る人が、神出鬼没どこに現れるのか?全く分からないのです。
そもそも一般の人は「精神保健福祉センター」なんて知らないし、
保健所なんて予防接種と母親学級以外用がないと思っています。

まして「精神なんちゃら」とつく所は、ギャンブラーの家族には敷居が高すぎます。
幻覚幻聴があるわけでもない、身体がボロボロになっているわけでもない、酩酊で訳わかんなくなったりもしない、
ギャンブル以外は普通にシャキッとしてる人が「精神疾患です!」と言われても、信じたくない気持の方が強いです。

私が思うに、ギャンブルは社会福祉協議会さんを中心に据える方がうまくいく気がします。
精神保健福祉センターより、地域に分散しているのでアクセスが良いし、老親も訪れやすい。
「精神疾患の相談」っていうより、「生活のお困りごと相談」のほうがずっとピンと来ます。
生活困窮者の支援などもされているので、支援の内容がギャンブルに合っています。
そして自助グループにも理解があり、家族支援などの協力体制が作りやすい。

医療はどうも抱え込み気味なのと、家族に対する配慮がない場合が多いんですよね。
家族に無理難題を押し付けるというか、
「それができるんなら相談しないよ!」ってなことを平気で言うので、
家族がそこで絶望するパターンですね。これホント困ってます。
だから「何年前に医者にこう言われて、それっきりだったんですけど・・・」
みたいな人、相談会に結構来るんですよね。

あと最近は、プライドが高い先生が多いんですかね?
自助グループで違うことを言われたと家族が言うと、
「もうギャマノン行かなくてよい」なんて言いだすんでびっくり仰天ですよ。
何人も「もう行きません」って言ってきてますからね。
昔からの医者は「仲間に聞きな~」と絶対に、自助Gを尊重してくれました。

いかんいかん、医者の愚痴になってしまいましたが、
とにかく社協さんや消費生活センター、弁護士会、司法書士会、民生委員、地域包括支援センター
などなど、あらゆる生活に密着した、相談事を聞く立場の人に、
ギャンブル依存症の家族相談が受けられるように、人材育成をする!

相談窓口の人に覚えて欲しい事は、
・借金の肩代わりをしちゃダメ
・家族がまず対応を変えること
・家族の対応を自助グループか家族会で学びなさい!
と伝えてくれりゃあいいんです。
ここで、変に家族を抱え込まずに、道先案内人になってくれれば良いんですね。

と同時に、各地に自助グループと家族会を立ち上げ、家族相談の受け皿を作る。
ギャマノンの様な、12ステップグループはお仕着せじゃできませんから、
とにもかくにも、家族会を各県に最低3カ所くらいはできないと。
できれば各市に欲しい所です。
それだけ家族会がメジャーになって、どこにでもあれば、
相当ギャンブル依存症の深刻化が防げます。
しかも、家族会なんかそれほどお金かからずに運営できますからね。

拠点病院事業も良いですけど、それよりもカジノができるまでの、
この5年間に速攻で作らなきゃならないのは、
とにかくお金の出所をおさえる!家族支援を充実させることです。

それでギャンブル依存症は全然変わります。
特に日本は家族社会なんですから、家族の意識が変われば、
相当良くすることができます。

そして、問題はカジノができるまでの、この5年間の予算の仕組みです。
この予算のあり方について、書こうと思ったのに、
つい日頃の愚痴が出て、前哨戦が長くなりすぎたので、
この続きは、また明日書きます!

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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