松本俊彦先生著「薬物依存症」です

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一昨日にハームリダクションの国際セミナーに参加したので、
もっと色々知りたくなり、昨日、新潟に向かう新幹線で、
松本俊彦先生の新刊本「薬物依存症」をイッキ読みしました。

いつも思いますが、松本先生って語彙が豊富ですよね~。
文章が大人!←当り前か(笑)
とにかく文章が全部、友達と話してるみたいになっちゃう私とは大違いですが、
まぁ、私の良さもあると信じて、このご著書で新たに沢山学びがあったので、
今日はその感想を書きたいと思います。

まずめっちゃ共感した所
・薬物依存症者は働き者も多い
・本人自身仕事ができているうちは依存症じゃないと思ってる
・「これが最後の一発」といいながら、ちっとも最後になんない

ぎゃ~!これは薬物をギャンブルに置き換えたら、まんま仲間の話であり私の話しです~。
そうなんですよ!薬物もそうらしいですが、
ギャンブル依存症者を「遊び人で怠け者のクズ」と世間は思ってるんですよ。
だから「自分は違う!」と思っちゃって顕在化してこないんですよね。
このイメージ払しょくしないとダメですよね。

ちなみに私も最初にギャンブル依存症って言われた時
「えっ?それって大学出のサラリーマンでもなるんですか?」
なんて聞いちゃいましたもん。ひどい偏見持ちでした。
そして「今日を最後にしよう!」と自助グループに繋がっていながら、
最後は買い物が止まらず、4年間も苦しみました。

次、昨日のハームリダクションに繋がりますが、非犯罪化を言うと
・「刑務所で依存症プログラムをやればいい」という人々が現れる

いやいやプログラムやってるし、刑務官は一生懸命やってんっすよ、
でも、再犯率が高い訳だから、地域でやんなきゃダメなんだよ!ってことが書かれてますが、
これは依存症者として「その通り!」って思いますね。

つまり刑務所って、めっちゃ安全で統制がとれてる場所じゃないですか。
ある意味、自立できない人でも食べて行かれる。
でもですよ、問題は世間の冷たい風の中で、シラフで生きていく!ってことじゃないですか~。
これは私めちゃくちゃわかりますよ。
「前科」というハンデがなくったって、「依存症者の夫」「二人の乳飲み子」「多額の借金」
という目の前が真っ暗な状況を抱えて、とにかく稼がにゃ生きていけん!ってなった時、
本当に辛かったし、不安だったし、恨みや恐れでいっぱいでパンパンでした。
だから折角、自助グループ繋がったのに買い物が止まんなくなっちゃったんですもん。
4年かかって止められましたけど、地域で自助に繋がってなかったら、人生を生き直すことできないです。

次に、自助グループのことも沢山書いて下さってて、嬉しかったですけど、
・自助グループで回復できるのは「スーパーエリート」
・自助グループにはなかなか繋がれない
・なんでかって言うと理由は色々あれど結局「はじめてんとこ、一人で行くの不安じゃん!」って事じゃね?
(注:松本先生はこんなタメ口では書いてません。これは私の超意訳です・・・念のため(笑))
ってあるんですけど、これはもう「そうです!」としか言いようがないくらい「そうです!」。

15年、自助グループに繋がってみて、自助グループだけで回復できる人って、
2%位じゃね?って思ってます。単なる肌感覚ですけど。
でもそんな状況でありながら自助グループだけで回復してる人が最も多いのは、
間違いなくギャンブルだと思います。
身体症状がないから病院の経験もないですしね。
ですから薬物依存症の方の場合、回復施設も沢山あるし大事な社会資源ですよね。
リハビリ選んで施設行くなら、刑務所入んなくていいってのが現実路線じゃないかな~と思うんですよね。

でなんでこんな繋がってくる率低いのって
「はじめてんとこ、一人で行くの不安じゃん?」ってそりゃそうですよね。
コミュニティができてるとこ入って行くんですから、転校生みたいなもんっすよ。
そんなん気にしぃの依存症者が一番苦手なことじゃないっすかぁ。

だから今SBIRTSと呼ばれる、三重の猪野先生らが
「自助グループ行く前に、メンバーの誰かに繋いで一緒に行って貰おう作戦」
をはじめていて、めちゃくちゃ上手くいってるそうですけど、
これ色んな自助グループの先行く仲間が協力したらいいですよね。

で、松本先生らが言ってるのは、
・じゃあ自助グループ繋がれなかったら回復できないの?ってなるとヤバいよね
・ってことで、スマ―プ作ったんだよ~ん
ってことなんですね。

で、ここについては、私もいや自助グループ繋がれなくても止められる人はいまっせ!
ってことは仲間にもしょっちゅう言ってます。そりゃそうです。
だって我々のバイブルであるBig Bookにも「これが唯一無二の方法だとは思ってません」って書いてありますもんね。

んで、スマ―プの説明でなによりも「へぇ~!」と思ったのは、
それによってダルクに繋がる人が増えたそうなんですよ。
で、なんでかって言うと、スマ―プやってる時にダルクのスタッフの方と交流がうまれてるから!
ってことなんだそうなんですよ。

これこれ!この介入的役割も果たすプログラムに、
「回復してる当事者が参加する」ってのが大事ですよね。
そして我々の側もスキルを磨いて行くことですよね。

でも、ギャンブルなんか全くお声掛かんないですからね。
そもそも「ギャンブルプログラム」作る時に、当事者家族の意見すら聞かれないですし、
プログラムも良心的な所で「1回だけ地域のGAメンバーが体験談を話しに来る」ってな感じ。
殆どがセンターや医療の職員で完結しちゃってるから、自助グループが潰れたりしてるんですよね~。
って、つい昨今のギャンブルプログラムのあり方への不満になっちゃいましたが、
この度々顔つきあわせて交流するってホンマ大事だと思います。

例え、その時は施設や自助グループに繋がらないでも、
依存症なんて慢性疾患ですから、将来何があるか分かんないし、
その時に、回復し続けてる人達を、
一人でも多く見てるってことはきっと役に立つと思うんですよね。

何よりも我々依存症者は「他の誰かを助ける」という役割をあてられることで、
居場所ができ、自尊心が上がり、自分自身が回復し続けられる、
再び輝くことができるんだ!って、その循環を阻害しないで欲しいです。
ワーカーさんや支援者が私たちの居場所を奪わないで!って思ってるんで、
なんでもできるだけ当事者、家族を混ぜて欲しい!勝手に押しつかないで欲しい!
ってことは、切にお願いしたい所です。
そして地域の回復者はどんどん協力していきましょう。

そして最後の方で
・「安心して止められないと言える社会に」って先生おっしゃってますけど、
ホンマその通り!我々も隠すんじゃなくて「あの~、ギャンブルで借金できちゃって」って、
気軽に相談できる社会になって欲しいんです。

考える会を立ち上げた時に仲間達に呼び掛けたんですけど、
「我々の子供たちなんてさ、遺伝と環境要因があんだから、依存症になるリスクは高いわけじゃん。
そん時さ、また我々と同じ思いをさせていいの?子供が依存症になっても安心してられる社会にしようよ!」
ってことを言ったのを覚えてます。

社会の理解が欲しい。
心からそう思います。

「弱い立場の人」なんて言われるのも嫌です私。
だって弱くないも~ん。
じゃんじゃん稼いでですよ、さらに公営ギャンブルという税金を人一倍払ってですよ、
借金をバリバリ返しきって、日本経済に貢献して、税金だって滞納してない。
なのになんで私が「弱い立場の人」なんて呼ばれるのか?気が知れないです。
ギャンブルの殆どの仲間がこんな感じですよ?

確かに依存症者の中には社会的には弱い立場の人もいるけど、
そこがアイデンティティなんかじゃない!
依存症者には「再び輝いた人」として、
社会できちんとポジションを認めて欲しいと思います。

私たちは回復者でありチャレンジャーであり、
そして友愛の精神で結びつく共同体の住人です。
そのことをもっともっと知って欲しいです。

というような、まるで私の気持ちを代弁してくれてるようなことが、
松本先生のご著書には、繰り返しますが大人の言葉で書かれています。

ところで只今絶賛発売中なのに、こんなネタバレして良かったのだろうか・・・?
と、ふと思いましたが、でも、もう書いちゃったからお許しください!
皆さん読みましょう!

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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