環境要因の大切さです

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依存症というのは、遺伝的要素の強い病気なので、
当然、環境にも影響を受けます。

環境がかならずしも原因になるわけではないですが、
私のようにギャンブル依存症が世代伝播してきた家系には、
特に独特の環境があります。

それはギャンブルに幼い頃からなじみ、
ギャンブルを楽しんでいる親たちをみていると、
ギャンブルのある環境が当たり前と思ってしまうこと。

そして、何より問題なのは、そういった親たちのうちの何割かは、
子供にもギャンブルをさせてしまうのです。
昨年、そういったデータを出すことができたので、
今年度は、もう少し広範囲で調査がなされることと思います。

そして、久里浜の樋口先生に教えて頂いたのですが、
成長過程の子供たちの脳というのは、大人とは違い、
線条体の方が前頭前野のよりも活発であるため、
理屈よりも感情が前に出てしまうのだそうです。

つまり「これ以上やったらまずいな」とか「やり過ぎだな」
と考えるストップ機能が弱いために、
依存症にはなりやすい訳です。
ですから、アルコールやたばこ、ギャンブルといった、
リスクの高いものには年齢制限が設定されているわけで、
それは科学的根拠に基づいて決められているわけです。
(そして年齢制限のないゲーム依存に苦しむ子供たちが増えているわけです。)

ちなみに日本のギャンブル依存症者の8割は、
パチンコ依存症と言われております。
それなのに現在、一番年齢制限が低いのがパチンコで、
18歳未満が禁止とされています。
パチンコも公営競技と同じく、
20歳未満禁止と引き上げるべきではないでしょうか。

で、先ほど申し上げた通り、子連れでギャンブル場に行く親の中には、
子供にもギャンブルをさせてしまう人がいて、
子供があたったりすると、
「すごい!すごい!」とべた褒めしたりするのです。
すると子供はすっかり有頂天。
嬉しくって、また褒められるようにと張り切りだします。

また逆に、子連れでギャンブル場に行っても、
親がギャンブル依存症だったりすると、
子供なんかほっぽりっぱなしの親もいるし、
ギャンブルに負けて、機嫌が悪くなる親など、
問題のある親は実際にいます。

また、特に地方在住の方だと、
親はギャンブルはホンのお遊び程度なのだけれど、
他のレジャーがあまりないので、
週末はしょっちゅう親子でギャンブル場に行っていたという方もいます。
そして「楽しく遊んで帰ってきた」と。

けれどもそのお子さんにギャンブル依存症が発症してしまい、
「子供の頃連れて行ったりしなければよかった・・・」
と嘆き悲しまれている親御さんもみてきました。

リスクは間違いなくあるのです。
ですから、子供の遊び場をギャンブル場にどうしても置きたいのなら、
もっときっちり線引きをするべきです。
子供の入れる場所はここまで、
レースの見える所、大人たちが熱狂している所には立ち入り禁止
という具合にです。

筑波大学の森田先生、首都大学の新井先生らの研究で、
ギャンブル依存症者166人に向けたへのアンケート調査があるのですが、
ギャンブル依存症に罹患した人の中で、
家族がギャンブルをやる人は62%と、
やらない人を大きく上回っているのです。

ギャンブルをする家族の有無

そして多くの人達は、こういったリスクを全く知らされていません。
何故なら、ギャンブル産業はこれまで、
都合の悪いデメリットについては一切封印し、
自己責任という形で、蓋をし続けているからです。

デメリットの部分にも、もっときちんと情報公開すべきです。
そして、極力デメリットの部分を減らした上で、
ギャンブル産業は社会と共存していくべきだと考えます。

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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