依存症予防教室モデル授業総括です
本日は、今年最後の依存症予防教室モデル授業を仙台で行いました!
残念ながら、東北はすでに新学期となっているとのことで、
教育関係者の皆さまのご参加は少なかったのですが、
それでも総勢110名のご参加を頂き、本当に有難うございました。
2年目を迎えた、モデル授業が終わり、
私なりの総括をしてみたいと思います。
まず、ギャンブルに関する予防教育ですが、
国はIRのことがあるので「ギャンブル依存症の予防教育やります!」
と盛んに言っていますが、ギャンブルはおそらく学校関係者の間で、最も関心が低いと思います。
身体的ダメージのないギャンブルは軽視されがちですし、
なんせ依存症業界でも最後発で、これまで関心を持たれなかったわけですから、
他の分野で関心なんてあるはずがありません。
でも実際は、多くの中退事案が出ており、予防教育は絶対に必要です。
なんといってもギャンブルは、周りの学生たちが巻き込まれた場合の被害が甚大です。
この友人知人に多大な金銭問題が発生するのがギャンブルの大きな特徴です。
でも、そんなこと学校の先生は知らないんですよね~。
ですから学校の先生方に、危機意識を持って頂くにはどうしたら良いのか?
啓発の必要性を感じて頂くにはどうしたら良いのか?
これが一番の課題だと感じました。
対する、ゲーム依存。
これはギャンブルとは逆に、学校現場で最も関心を持たれており、
実際、学生に一番多く発症している依存問題です。
で、予防教育で話すべき内容はわかりますが、
困るのは実際に学校内にゲーム依存症の生徒がいる場合に、
何ができるのか?ということですよね。
受け皿がそもそもないですからね。
本人に介入できたとしても、じゃあそのあとどこに繋いだらいいのさ?
ってことになっちゃいます。
なので、学校現場で実際ゲーム依存が起きた場合に、
先生方が繋げる受け皿づくりが急務だと思います。
次に、アルコール依存症です。
アルコールはギャンブル以上に身近な依存症ですが、
それだけに依存症予防教室でありながら、教えるのは依存の問題だけではない!
ということですね。内容が多岐に渡っています。
身体的な害、イッキ飲み、アルハラ、飲酒運転など、
伝えなくてはならない内容が多いです。
アスクの今成さんのモデル授業を見て、
私自身「そうなのか!」と知ったことばかりです。
では、今成さん以外に、誰があれだけの知識と伝えるスキルを持っているのか?
となると、まずいないですもんねぇ・・・
人材育成は急務と思われますので、
アスクさんが、本年度からはじめるご予定の、
依存症の予防教育ができる人養成講座に期待したい所です。
さて、薬物依存症ですが、松本俊彦先生のご講義を伺っていると、
「もう、私の青春時代そのもの・・・」なんですよね・・・
私は、薬物依存にはなりませんでしたが、
家庭でも学校でも、色々としんどい事情を抱えていた学生でした。
なので薬物依存症の予防教育で何よりも必要なのは、
「犯罪者」というスティグマをとりのぞくことや、
依存症者の人権についても知って貰うことだよなぁと思います。
薬物というのは、アルコール・ギャンブルに比べたら、
かなりマイナーな依存症です。
でも、そこに手を出さざるを得なかった・・・ということはですね、
そうまでして忘れたいものや、そうまでしなくちゃ生きられなかった事情があるわけですよね。
そういった背景を理解し、犯罪者と排除していくのではなく、
助けになるよ!話しを聞くよ!という、応援団作りの教育が必要なんだなと思いました。
依存症者は、だらしのないダメ人間と思われがちで、
怒られてばかりいます。
でも、誰よりも依存症者に怒ってきたのは、自分自身なんです。
自分に腹を立て、自分に突っ込みを入れダメ出ししているんです。
そしてその声が、頭の中で大音量で繰り返されるので、
何かに依存して、しのぐしかなかったんですよね。
そんなしんどいことが頭の中でおこる、しんどい病気なのに、
みんなに怒られ、見捨てられていく依存症者。
予防教育の充実と共に理解者が増え、叱責よりも許しや癒しが与えられ、
今よりずっと多くの回復者がでてきますように!
今日は、厚労省の溝口さんも来て下さいましたが、
厚労省と文科省の連携も益々強化され、
さまざまな連携が生まれていくことを願っています。
御来場いただいた、先生方、皆さま、
本当に有難うございました!
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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)