鳥取アディクションセミナーです

公開日: 

今年は、鳥取アディクションセミナーの講師としてお招きただいたおかげで、
再び鳥取に来ております。

この短い期間に2回も鳥取にうかがえたこと、
すっごく幸せです。
昨日は、鳥取ダルクの千坂さんにアテンドしていただき、
鳥取で薬物依存症当事者の自助グループにも参加させていただきました。

ここ数年は、ずっと家族のミーティングばかり出ていますが、
自分の依存症が止まらなかった時は、
もちろん当事者のミーティングにも出ていました。

あと、依存症ではないですけど、お酒をやめたときとか、
施設のスタッフになっていた時も、
当事者ミーティングに参加していたので、
今日は久しぶりにあの頃のことを思い出しました。

依存症が止まらない時に、今日一日、今日一日と、
止めていく日々はとっても辛く、きつい道のりです。

なんせギャンブルや買い物のこと以外で、
ドーパミンが出ないんですから、普段が不快で仕方ないし、
イライラそわそわして落ち着きがないし、
何よりもそのことで頭がいっぱいになっちゃうのに、
それをやれない・・・やったら身の破滅だ・・・
とわかってる・・・そんな状況なんですから、
人生がまさに戦場にいるようでした。

これおおげさじゃなく、本当にそう思っていました。
例えばですよ、そこかしこに地雷が埋まってる状態で、
とにかくまっすぐ歩いて行けば大丈夫!と言われたってですよ、
恐くって歩けないじゃないですか。
地雷のこと考えないで、とにかくまっすぐ歩くんだ!
って言われたって、絶対考えちゃうし、
足がすくんでまっすぐ歩けないですよね。

私にとって、ギャンブルも買い物もなしに、
人生を歩いていくってそんな感じでした。

いやこんな恐ろしい人生だけど、
ギャンブルや買い物に目を奪われてるから、
なんとか歩けてるんですよ!
それなしじゃ歩いて行かれないです!
としがみついていましたからね。

ところがですよ、ギャンブルや買い物に目を奪われてるから、
なんとか地雷原でも歩いてこれたんだ!って思ってたのに、
本当は、ギャンブルや買い物のために
度々地雷を踏んでたんだ!って気が付いちゃったときの絶望感。

マジかよ~。
これから直視してここ歩いていくの?
こんなに問題山積みのこの地雷原を!?
と思いました。

でも、そこを道先案内人になって歩いてくれる人がいた!
「りこちゃん、大丈夫なんだって!」
「もう武装解除して歩けるんだって!」
「その重たい防弾チョッキ脱いでいいんだからさ~」
と、本当はここが戦場じゃないことを、
何度も繰り返し伝えてくれた人がいたんですよね。
それがミーティングにいた先行く仲間でした。

だけどですよ、度々地雷を踏んずけてたこっちとしては、
そんなこと信じられないわけですよ。
人なんか信じられないし、
自分の人生に祝福があるなんてことも信じられない。
平和があるなんて思ってもみないわけですからね。

まさにルパング島の小野田さんみたいなもんですよ。
あの方だって、さんざん呼びかけられたのに、
投降できなかったわけですからね。
実に気持ちよくわかりますわ。

しかも、自分が何十年も戦争中だと信じて、
たった一人で戦ってたわけですよ。
それを自分の思い込みだったとわかった時の、
悔しさ、むなしさ、悲しみ、恥ずかしさ、罪悪感、後悔・・・
こういったものとも戦わなくちゃならない。

そりゃあもうアディクションをやめた当初というのは、
本当に苦しみしかなかったです。

でもですね、人間、戦争が終わったら、
当初脱力していたとしても、やがて活力を取り戻すように、
復活していくんですよね。
自分で自分を再び戦場に引きずり込まない限りは。

この戦争が終わったんだか終わんないんだか?
よくわからない状態で、丸腰の自分でいるってのが、
本当に不安でしたね~。
不安のあまり、ついまた武装したくなるんですよね。
ギャンブルや買い物で。
それを持ちこたえられたのは、
本当に絶対に、先行く仲間のおかげです。

鳥取に来て、あの頃の自分をしみじみ思い出しました。
そして生き残れた奇跡に感謝しました。

鳥取県のキャッチコピー「星取県」ってご存知ですか?
私も常に、誰かを照らす星でありたいと、
改めて誓いました。
あの頃してもらったように、私も誰かにしてあげたい、
と思っています。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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