問題意識をもとう!です

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昨日、鳥取セミナーから戻りましたが、色々考えさせられる時間となりました。
一番よかったのは、島根の精神保健センターさんとお話しできたことです。

実は、自助グループの仲間たちは全く知らないと思いますが、
今、島根の精神保健センターで開発された、
SAT-Gというプログラムがあるのです。

薬物で松本先生らが開発した、SMARPPのギャンブル版です。
で、このプログラム、SMARPPもそうですけど、
汎用性があり、入り口のプログラムとしては有効のようで、
こういった取り組みが始まったことは、喜ばしいことだと思うんです。

けれどもSMARPPがそうであるように、このプログラムは本来、
次につなげていく性格のものであるはずなんですね。
だってどう考えたって、数回のプログラムでを受けただけで、
やめ続けられるはずがない。
いや絶対いないとはいいませんが、
それでやめ続けられる人は、少なくとも我々が相手をしているような、
とっても大変な依存症者ではないですよね。

ですから、本来はこのプログラムを受けて、
そこから自助グループや回復施設につながった人が何%か?
ってことが重要かと思うのですが、
このプログラムを受けている間、77%の人がギャンブルをやめている、
ということが異常にフューチャーされていて私は懸念を感じています。

島根県のGAがつぶれてしまい、受け皿になるものがないことから、
そういった数字しかだせないことはわかるのですが、
そんなこと言ったら、回復施設の中断率は施設にいる間だけなら
90%以上やめてるって言えちゃいますよ。
でもそれはそれほど重要じゃな数字じゃないってみんなわかってるわけです。

大切なのは、その後のこと。
ギャンブルを1年くらいやめるのなんか、どこにつながってなくても、
ギャンブラーなら実践できた経験があるはずです。
でも、やめ続けられない・・・それが問題です。

で、ですねこういった取り組みが始まると、汎用性があることから、
精神保健センターさんなんかでわっと広まるわけですよ。
そして後追いのところで、こんな記事が出される。
静岡のセンターがプログラム実施 脱ギャンブル依存へ無料指導

これマスコミの書き方も悪いし、全く分かっていないと思うのですが、
そもそも島根県さんはこのプログラムが評判になって、
人が集まってきたので、マンツーマンじゃなくグループ療法に移行しているんですね。
依存症に効果があるのは、なんといってもグループ療法です。
だからこそ自助グループがこれだけ効果を上げてきたわけです。
つまり同じ経験をした仲間たちの体験が役に立つわけですよね。

ところがまるで心理士、保健師、精神保健福祉士などの専門職員が担当に付いて、
マンツーマンで指導することが素晴らしいことのように書かれてます。
こういう当事者制を馬鹿にしたような、いかにも
「専門家がやったほうがよいに決まってる!」みたいな書き方には、
めちゃくちゃ腹が立つんですよね、私。

あと、この記事だと各地の精神保健センターさんが、
同じようなプログラムを始めたら、
まるでカジノOKみたいじゃないですか(怒)。
何度も言ってますけど、ギャンブルには受け皿がない!
それが大問題なんだちゅうの!

アルコールには断酒会さんがありメンバー8000人
そしてAAグループのメンバーがおよそ5000人
そして全国津々浦々にミーティング場があるわけですよ。
ギャンブルはアルコールの10分の1の規模しかないんですから、
そこ何とかしなきゃいけないわけで、それは絶対時間がかかる。
だからカジノに急ぎたい国はそんなこと触れたくないし、
言われたくもないし、聞こえないふりで突っ走りたいわけですよ。

ですから島根の精神保健センターさんにくれぐれも、
これさえやれば回復するといった誤解が起きないように、発信していただきたいこと、
なんといっても自助グループを育てて欲しいこと、
精神保健センターさんが頑張って、地元のGAがつぶれたのでは、
意味がないこと、それは我々にとって死を意味すること、
何よりも、このプログラムでカジノへGO!のお墨付きを与えないで欲しいこと
そしてさまざまな関係者の話で思っているのですが、
こうして自分から相談したり、自分の足で相談に来る、
比較的軽症な人ばかりをセンターが扱い、成果として発表しているけれども、
重症患者つまり、家庭内暴力、重複障害、犯罪まで至っている人たち、
こういった人たちは、民間に押しつけで、民間は何の支援もなく、
どんどん大変になってるという現実を受け止め、
とにかく我々民間の話を聞き、取り入れ連携して欲しい!
と切に切にお願いしてまいりました。
今回、鳥取でお会いできたのはまさにハイヤパワーですね!

私は、こういう入り口プログラムができることは、
すごく喜ばしいと思っています。
でも、それで自助グループが増えていかないのはおかしい!
だからそのあり方にまだまだ問題や改善の余地もあるわけだし、
とにかく重症な人たちを押し付けられ、右往左往している
私たちの民間の現場の話を聞いて欲しいんです。

そして、じゃあどういった連携が良いのか?
話し合い試行錯誤していく必要があると、
その実現を心から願っています。

国も行政も医療も何故我々の意見を聞かぬまま、
何かをはじめてしまうのか?
そして改善点が出てきたら、何故率直に話し合い、
改善していかないのか?こんな簡単なことがなぜできないのか?
よくわからないです。
そして我々に対する要望、何をどう変えていったらよいのか?
むしろガンガン言って欲しいです。

そして我々依存症者もいい加減まとまり、
こちらの要望を発信し、
さらにはエビデンスをちゃんと出していこうじゃないですか。
金儲けに突っ走っているところはともかくとして、
お金も透明で、プログラムもさまざまに取り入れ、
真摯に取り組んでいるチームを、
アルコール・薬物・ギャンブルで大同団結して作りましょうよ。

国も行政もそして世論も、実態だけじゃ動いてくれないし、
我々のような声は、できるだけ聞きたくないわけですから、
とにかく聞いてもらうためには、こっち側が意識をもち、
動いてもらえるような数字を出さなければならないと思います。
面倒くさがらないでそれをやろう!
身内側にも切なるお願いです。

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