キングオブコメディ高橋さん逮捕Vol.2刑罰と治療の関係です

公開日:  最終更新日:2015/12/29

昨日、キングオブコメディの高橋さんが、逮捕された件について、
ブログに書いた所、驚くことがおきました。
普段、仲間うちで細々と読まれているようなこのブログ、
今日はリツイートも多く、しかもなかなか繋がらない・・・
何かが変?と違和感を感じていた所、
なんと午前中ですでに4万PVもあり、現在までに25万PVにもなっていました。

様々な方にご一読頂き、賛否両論のご意見を頂いているようで、
大変有難く思ってます。
今日も、あくまでも自分の専門の範囲で、
この事件について検討し、所感を書きたいと思います。
議論の高まりにより性依存症に対する社会の認知が進み、
再犯防止策が様々な角度から検討されることを、願っております。

まず、ギャンブル依存症でも、性依存症でも、その他どんな依存症でも、
何か事件が起きた場合に、「依存症ってなんでも病気のせいにするな」
「病気だなんて甘えるな!」という意見をよく目にしますが、
依存症プログラムの厳しさや苦しさをご存じないから、
そう言われるのではないかなぁと思います。

どんな病気でも、治療と言うのはつらいものです。
もちろん依存症という病気の治療も例外ではありません。
回復プログラムは痛みを伴う作業なんです。
それもとてつもない心の痛みです。

代表的な依存症のプログラムは、徹底的に過去の振り返りをします。
依存症者にとって、そして高橋さんのような成育歴やトラウマを抱えた方には、
もうこれだけで相当つらい作業になります。

何故なら、思い出したくない過去があって、
それを忘れたいがために、自己治療的に依存症を使って来たのに、
そこと向き合わなくてはならないのです。

辛かったこと、悲しかったこと、
恨んできたこと、恐れてきたこと
記憶がある限り全ての事を想いだし、
紙に書き出すのです。

もうそれだけで、投げ出してしまう人もいます。
そして、スリップと呼ばれる、
再び依存生活に戻ってしまうことを繰り返す、
そんな仲間を何人もみてきました。

私も、最初の頃は、
子供の頃の家庭での問題、学校でおきた壮絶な事件を想い出し、
そこに向き合った時に辛くて辛くて、
頭の中の記憶を全て消せることができたらと、
七転八倒苦しみました。

今では考えられない元気キャラの私ですが、
当時は、抗うつ剤と精神安定剤と、眠剤を服用していました。
そうしなければとても生きていけない位、
頭の中で駆け巡る、記憶の攻撃に耐えられなかったのです。
あの時の光景、あの時の絶望感、恐怖。
それらをまざまざと想い出すのです。

高橋さんの場合、そのひとつがお母様の自殺であったはずです。
お母様が自殺された時の高橋さんの年齢は、
諸説あると伺いましたが、いくつであれそれ以上の悲しみや、
恐怖、そして絶望感はなかったはずです。

お母様が自殺するくらいですから、それまでの
毎日の生活も決して明るいものではなかったはずです。
そして、ここが問題なのですが、
こういう家庭に育つと、家庭内で起きている問題は、
「自分が悪いからだ」とか「自分が生まれてきたせいだ」
と子供たちは思ってしまうのです。

だから依存症者は皆、自分が嫌いで、自分を許せないのです。

想像でしかありませんが、高橋さんもこんな風に思ったはずです。
そして自分を責めたはずです。
「お母さんを守ってあげられなかった」か、
「お母さんに捨てられた。僕は愛されていなかった」と。
想像でしかありませんが、けれどもかけはなれてもいないと思っています。
これはトラウマを抱えた依存症家庭で育つ
子供たちの良くある光景なのです。

依存症者の心の中には、
どんな時もこの自分を見捨て、自分を嫌っている自分がいます。
だからなんらかの行為やモノでその暗い気持ちを、
一瞬でも忘れられた体験は、一般の人より強烈に感じます。
それが高橋さんの場合、残念ながら犯罪行為だったのです。
例え一瞬でも楽になれる・・・その刺激を求めているうちに、
いつしかその行為がやめられなくなっていきます。

もし、依存症者が、自分を愛し、自分を赦し、
大事に出来る人だったら、おそらくもっと早い時点で止められるのです。
でも依存症者は自分が嫌いで、自分を見捨てています。
だから自暴自棄な生き方が染みついていて、
心のどこかでは「自分なんか死んでも構わない」といった、
自分を見限った感情があります。
「依存症は、緩慢なる自殺」と言われる所以です。

地位や名誉があっても、自分が嫌いなのです。
だから世の中で起こる依存症者の事件は非常識で不可解です。

大金持ちの大王製紙の息子さんが、大金をわざわざ賭けごとに使い、
海外セレブの、ウイノナ・ライダーが万引きをするのです。
そんなことをしなくても、お金なら十分にあるのにです。

角川春樹社長やトンボ鉛筆の社長が覚せい剤で捕まったり、
どこかの校長先生が1万2千件もの買春行為をするのです。
まずいことは分かってる・・・でもやめられないのです。

このように過去と向き合う作業を全てやるのですが、
一般の方は、おそらくここで
「だから罪を犯したことも仕方がないよね」
という言い分を持ちだすと思っているので、
「甘えるな!」と、なってしまうのだと思います。

でも、このプログラムはそのあと、
傷つけた人への埋め合わせというモノがあります。
自分が誰かを傷つけてきた行為を、今度は全てさらけ出さなくてはならないのです。
「確かにあなたの過去は過酷で辛かったよね。
でも、そのためにこういうことを他人にやっていいわけではないよね。」
と、今度は自分がやらかしたことに向き合うのです。

これは本当に辛いし、きついです。
今まで依存することで、現実逃避してきたことから、
シラフになって向き合い、しかもそのことに関し全て謝罪し、
俗に言う償いをするのです。
ひどいことをしていればしているだけ、
その埋め合わせはハードルが上がります。
それでも一人ずつ向き合い、謝りに行くのです。

その謝罪で、新たな罪の発覚に繋がり、
再び刑に服さなくてはならないリスクがあるとしてもです。
依存症のプログラムは「逃げ」ではありません。
むしろ可能な限り真摯に対応しなくてはならないのです。

それはなぜか?

もちろん、自分を好きになるためです。

まず過去どんな辛いトラウマがあったとしても、
それは自分のせいではなかったと、
過去の記憶をまず上書きします。
そして、当時の自分は精一杯生きてきたと、
自分の頑張りを認めてあげます。
それはすぐにできることではありません。
でも少しずつやれるようになってきます。

そして、いくら辛いことがあったとはいえ、
人を傷つけてはいけないと、謝罪する。

こうしてやっと人は自分に誇りをもち、
自分を愛することができるのです。

こんなことを言うと、犯罪者が何を言っているんだ!
という批判を受けることもあります。
けれども、犯罪を犯したとしても、
刑期を終えれば誰でもその日から一般市民なのです。

その時に、依存症者がなんのプログラムも受けず、
相変わらず自分を嫌い、自分を見捨てたまま、
社会に出てきたらどうでしょうか?

刑務所に入ったことで、ますます自暴自棄になっているかもしれません。
だったら簡単に再犯してしまうのではないでしょうか?
だから、日本の再犯率は高いのではないでしょうか?

自分を愛せない人に、他人を愛せるわけがありません。

高橋さんは多くのものを失い、
多くの人たちを傷つけてきたことでしょう。
ここから回復し社会復帰するのも、
きっと大変なことだと思います。

でもだからと言って、スキャンダルリンチとでもいうような、
攻撃をしかけ、甘えるな!と日陰に追いやっても、
社会は決して良くなりません。
それよりも皆で協力して、真の再発防止に努めるべきだと思います。

罪を犯した人が、刑に服することは当然です。
でも、社会が依存症と言う病気を理解してくれたら、
依存症者が治療に繋がることもできると思います。
世論が盛り上がれば、拘置所や刑務所のあり方も変わるかもしれません。

この事件をきっかけに、刑と治療の両方が必要という
理解がすすむといいなと願っています。

※キングオブコメディ高橋さんの件に関して、
3回に分けて投稿致しました。あわせてご一読頂ければ幸甚です。

VOL.1
http://officerico.co.jp/blog/?p=3314

VOL.3
http://officerico.co.jp/blog/?p=3326

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