キングオブコメディ高橋さん逮捕ですVol.3加害者の更生と被害者ケアです

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昨日、本日とキングオブコメディ高橋さんのブログを書いて参りましたが、
いまだこの記事拡散されているようで、本日は30万PVがありました。
拡散力って一度広まるとすごいんですね。
特に初日の記事を読んで頂いているようです。
ありがとうございます。

さて、今日は加害者の更生と、被害者のケアの観点を少し書きたいと思います。
今回の件で、私は「加害者の真の再犯防止のためには、刑罰だけでなく治療も必要だ」
「そして加害者の社会復帰を暖かく見守れる日本であって欲しい」と書きましたが、
この加害者の更生と被害者の感情って、やはりなかなか相容れないものかと思います。

被害者の方にしてみれば、加害者の社会復帰など望めるわけもないけれども、
でもかといって、刑期が終わればいつかは社会にでてくることを、
受け入れなくてはならないわけですよね。

もしも一度罪を犯した人は、2度と刑務所からださないとか、
社会復帰をさせない!となったら、
大変な税金を国民は負担しなくてはならなくなります。
現実的には有り得ないわけですよね。

そして、加害者が有罪判決を受け刑に服したら、
被害者の方のトラウマやPTSD、悲しみや悔しさといったものが消えるのか?
といったらそうとばかりは言えないと思います。

もちろん刑に服すことは、未解決事件などに比べたら、
被害者の方のお気持ちも少しは救われるでしょう。

けれどもそれで全てが解消されるわけではないですよね。
ですから、被害者のケアというものも、当然必要で、
加害者には更生プログラムを、そして被害者には被害者プログラムを、
この2本立ての道筋が必要だと思います。

実際、そういった取り組みはすでに始まっていて、
さらにその取り組みを広げていこうというのが、
現在の流れですよね。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H0F_S5A400C1CC0000/

けれどもそれらの取り組みは、いかんせん始まったばかりで、
加害者の更生プログラムの充実もまだまだですが、
被害者の心のケアも、いまだ追いついていません。
どちらも両輪で進まなければ、安全安心の社会にはならないのだと思います。

私は、加害者の更生=被害者をないがしろにしている
ということでは決してないと思っています。
加害者がどのような境遇であれ、被害者の方には、
加害者のことで頭の中を乗っ取られてしまう様なことがないように、
しなくてはなりません。

そのためにはやはり回復プログラムが必要で、その充実こそが、
被害者の方に寄り添うことではないかなと思っています。

高橋さんのことを最初に書いたブログにあるように、
依存症者の中には、過去に犯罪やDV、虐待などの被害ににあった方も多くいるわけです。
もし、そういったトラウマや、PTSDに適切な心のケアがなされていたら、
依存症の苦しみに陥ることもなかったかもしれません。

実は、この私も過去にある被害にあった一人です。
このことは仲間の間でしか語ってきませんでしたが、
依存症のプログラムを通じ、回復していくにつれ、
忘れようとしていた過去が、自分の人生に大きく影響していることが、
分かってきました。

そして忘れたくても、忘れられない、
記憶の地獄にさいなまれていたのです。
最後の最後まで残ったのがこの記憶でした。

同じような状況、似たような人、
そういう場面に出会うと、恐くなりその場にいられなかったり、
異様なまでにその人やその場に、好戦的な態度で臨んだり、
今だから理解できる、自分の中におこる不可解な態度に、
悩み、苦しみ、そして人間関係を壊していました。

そのことを仲間にはじめて話した時、
ものすごく驚かれ、「それ今だったら犯罪だよね!」と、
私のためにすごく怒ってくれたのですが、
逆にその反応で、またしばらく自分の感情に蓋をしてしまいました。

けれども仲間達は、私の依存症や共依存の問題の根底には、
そのトラウマがあり、そこから癒される必要があることを、
理解したようでした。
でも私だけが、それを認められませんでした。
今でも、そんなことに自分の人生が影響されているなんて、
絶対に認めたくなかったのです。
「そんなに大したことじゃなかった!」意地でもそう言い張りたかったのです。

けれども、やはり意地や根性だけでは、
私は回復しきれませんでした。
私の回復はアメリカの依存症回復施設で、
研修を受ける機会に恵まれたことです。
今でも、それについては心から感謝しています。

アメリカの依存症回復施設には、
性暴力やトラウマの被害者、加害者、
どちらにも向けたプログラムが充実しています。

私はそこで、大変な衝撃を受けることとなりました。
小さな子供の頃、親に性的虐待を受けたとか、
ゲットーで育って、10代で売春を強要されたとか、
想像もつかないような地獄の体験をした人たちが、
自分の体験を堂々と語り、そして回復者として、
明るく生きていたのです。

そこで私は初めて「共感」という勇気を貰い、
プログラムに向き合うことができるようになりました。
そこから真の回復が始まったと思っています。

私はたまたまアメリカで回復プログラムに出会いましたが、
もちろん日本でも、まだそう多くはありませんが、
プログラムを受けることができます。
これから益々、そういった場所や機会が充実して欲しいと、
心から願っています。

お陰様で私は今はもう、
その事件の記憶に自分が刺されることもなくなりました。
相手は、もちろん社会にいますし、
その消息もなんとなくは知っています。
でも、今はその人に対する、恨みや恐れで、
頭の中がいっぱいになることもありませんし、
その時のことを忘れるために、
依存症を使う必要も感じていません。

私は私。
もう脅かされないので、その人が今、幸せであろうが、不幸であろうが、
自分は関係なく、ずっと幸福であろうと思っています。

私は、自分のギャンブルや買い物依存症の問題で、
家族を傷つけたし、夫や父、祖父のギャンブル依存症問題では、
傷ついてもきました。
犯罪には至りませんでしたが、依存症が進行していたら、
もしかしたら何か事件をおこしたかもしれません。
過去の記憶が、自分をめった刺しにする凶器でした。

トラウマや虐待といった辛い経験から、
被害者が加害者になってしまうこともある、
高橋さんの事件でも、そして私自身の体験でも、
そう痛感しています。
だからこそ負の連鎖を断ち切るためにも、
双方のプログラムの充実は急務だと思っています。
刑罰だけでなく、治療も必要だと思っています。

社会は、刑期を終えた加害者を受け入れなくてはならないのです。
その事実には、確かに感情が粟立ちます。
その感情はもちろん私にもありますし、
非情な事件であればあるだけ、やりきれない気持にもなります。

でも、それを受け入れるしかないのであれば、
より安全、安心な方法を模索するしかないのではないでしょうか?
そして、負の連鎖をどこかで断ち切るべく、
被害者にも加害者にも寄り添う人が必要だと思います。

加害者には真の更生をして貰うこと、
そして被害者にはその傷を癒して貰うこと。
その二つのための社会的リソースがあれば、
加害者の更生と、被害者のケアは相反するものではあるけれども、
成立は可能だと思います。

憎しみからは、なにも生み出さない、
誰のためにもならない、
それは真実だと思っています。

※キングオブコメディの高橋さんの逮捕について、
3回に分けて投稿いたしました。
あわせてご一読頂ければ幸甚でございます。
VOL.1
https://officerico.co.jp/blog/?p=3314

VOL.2
https://officerico.co.jp/blog/?p=3320

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