訃報です

公開日: 

皆様5/7のブログで、自殺未遂をした仲間が一命を取り留めたけど、
精神科との連携がないまま病院を追い出されてしまって困っています、
というブログを書いたことを覚えていらっしゃいますでしょうか?
なすすべがないんです

今朝、この仲間が再び自殺を図りついに亡くなりました。
とても、とても残念です。

仲間の自死は、いつだってとても辛いです。
でも彼は、行政や関係機関の連携、
私たちの「助けて欲しい」の声に、たった一人で良い、
真剣に関わり動いてくれたなら、絶対に助けられたと、
悔しくてなりません。

彼は、救急救命から「身体的な外傷がない」という理由で、
自殺未遂を図ったその日に、出されてしまいました。
入院させて欲しい、せめてどこか精神科に転院させて欲しい、
という願いはついに聞き入れられませんでした。

そして地方行政も警察も精神科病院も、
「絶対に危ない。保護入院させて欲しい。」の声を、
聞き届けてはくれませんでした。
彼の死はいつにも増し、悔しく、残念でなりません。

ギャンブル依存症は、社会の誤解や無知からいつだって軽視されています。
「自己責任」や「自己管理」の問題とあしらわれてしまいます。
でもギャンブル依存症は、れっきとした病気であり、
行きつく先は「死」なのです。

それなのに不正が蔓延し、それを見逃しているばかりか、
不正で得たお金に、多くの人たちが群がり、
国の福祉に貢献するという名のもと、射倖心は煽られ続けてきました。

このギャンブル産業のメリットばかりに配慮された社会の元で、
私たちの多くの仲間は発症し、苦しみの中、死を迎えています。
どれだけの人間が死ねば、この苦しみが理解されるのでしょうか。

私は40代からこの問題に関わり、毎年、毎年、
数名の大切な仲間の自死に出会います。
年が明けるたびに「今年は誰の自死にも出会いませんように」と願い、
月が変わるたびに「今月も無事に過ごせますように」と祈ります。
それでも必ず毎年、大切な人の死に出会います。
一般の皆さんにこの悲しみがご理解頂けるでしょうか。
あなたの友人は、毎年数名も自殺されるでしょうか?

せめて今回のように、連携があれば助かる命は助けたい。
ギャンブル依存症を甘く見ないで欲しいのです。

あまりのショックに、思わず参議院議員の薬師寺みちよ先生に、
メッセージを入れてしまいました。

先生が、厚労委員会で自殺対策にご尽力されていたこと、
自殺の重要原因にギャンブル依存症があることを、
ずっと気にかけて下さっていたことから、
とっさに先生のことが浮かんだのです。

混乱していたので、ただ単に「残念で、悲しくて、悔しいです」と、
とりとめのないままにメッセージを送ってしまいました。

薬師寺先生は、本当にすぐに動いて下さり、
自殺総合対策推進センターのセンター長の先生に、
面会できるよう取り計らって下さいました。

薬師寺先生はいつだって「我々の責任でもある」と、
必ずご自分が率先して動いて下さいます。

だから私も思いました。
「あぁ、彼が死を持って伝えてくれたメッセージを、
必ずや私も自分の責任で果たしていこう」と、
そう気付かせて貰いました。

この件が起きたのは、福島県です。
福島の行政に関わる皆様や、メンタルヘルスに関わる皆様、
どうか一度私たちの話を聞いて下さい。
今回のをフィードバックし、
県内のネットワーク作りや、問題点の洗い出しをしたいです。

彼がどんなに苦しく、助けを求め、
そして私たちもどれだけ助けて欲しかったか。
私たちだけの力では、できることには、限界があります。
「彼の死を無駄にしたくない」心からそう思いました。

すぐに福島の仲間に電話をし、
「まず行政に勉強会を働きかけて欲しい」
「彼のメッセージを、自分たちの責任で伝えていきたい」と、
話しました。
彼の無念さを想うと、仲間と話しながら涙が止まりませんでした。

本当に本当に、もがき苦しんだ最後でした。
本当に本当に、私の中にも無念さが残る死でした。

一人悲しみの涙にくれていると、
薬師寺先生がお電話を下さいました。
「遠慮せず何でも言って欲しい」とおっしゃって頂きました。

薬師寺先生、ありがとうございます。
誰にも動いてもらえず、結局あれから2週間。
彼は私たちの手のうちからこぼれて行きました。
間にあわなかったけれど、
先生はこの件でたった一人動いて下さった方でした。

いつもいつも指の間から命がすりぬけていくような、
むなしさを感じます。

でも誰か一人の行動から助かる命もある。
励まされる人もいる。

助けて欲しい、助かりたいともがき苦しみながら死んでいった彼と、
助けたい、助かって欲しいと願いながらも、
どうやったら助け出せるのか分からなかった私たち。
もう同じ悲しみを繰り返したくないと思っています。

仲間の死に、いつも仲間達とこう話します。
「これで楽になったよね」って。
残された私たちはそう信じたいし、
辛くて、そう考えるしかないけれど、
あえて私は、今日は自分に正直に言いたいのです。
「彼は、本当は生きたかったんだよね。」って。

助けたかったです。
誰の仲間の自死にも、後悔と自分を責める気持ちしか残りません。
いつでも、どんな時でも。

悲しく、悔しいです。
この悲しみや苦しみがこれで最後になりますように、
どうか皆さまお祈り下さい。

~☆~
助けてあげられなくて、ごめんね。
力不足で、ごめんね。
皆が言うように、あなたが今日から安らかに笑えているといいな。
お父さんも、お母さんもあなたを助けようと必死だった。
あなたを心から愛していた。
信じて欲しい。

ご冥福をお祈りいたします。
合掌

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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