「誕生学」は学校教育で取り入れるべきではないです

公開日: 

うっかり気が付かなかったのですが、1/19に「誕生学」について書かれた
松本先生の記事がシェア拡散されていて、
それに伴い、様々な方が後追いブログを出したり、コメントされていました。

それらを読んで「松本先生らがおっしゃったいることはもっともだ!」
とかつて死にたくて、死にたくて、仕方がなかった中学生だった私も、
当時の想いがよみがえり、怒りすら湧いてきたので、
少々タイムラグはありますが、後追いブログを書きます。

まず、最初のきっかけとなった松本先生の記事はこちら。
是非、皆さんに読んでいただきたいのですが、
「誕生学」でいのちの大切さがわかる? – 精神科医 松本俊彦

なんと、この誕生学という理論は、
虐待など様々な環境等のなかで「生きづらさ」を抱えた、
子供たちに対し「命の大切さ」をお話ししてあげることで、
自傷行為を改善できると真面目に説いているらしいのです。

本気でそう信じているとしたら、
おめでたいとしか言いようはありません。
何故なら、「自傷」を繰り返すような過酷な人生を生きている子が
そんな分かりきった、使い古された言葉を一言かけられたくらいで、
変われるはずがないからです。

それはまさにかつての私です。
生まれてからずっと私という存在に対し、
祖父、祖母、母から「金がかかる」と言われ続け、
必要なものすら与えられない、貧困家庭で育った私は
「自分なんか産まなきゃよかったじゃん」
と、何故生まれたのか意味が分からず、早く死にたいと願い続けていました。

中学時代の私は、いじめにあっていたこともあり、
しょっちゅう自分で自分の首を絞めていました。
それでも死にきれない自分を「臆病者」と責め、
益々自分が情けなく、惨めで、自分が大っ嫌いでした。

一度だけ、母に「死にたい」と漏らしたところ、
「若い頃は誰だって死にたいのよ!」と怒鳴られました。
それ以来、二度と誰にも死にたいと漏らさず、
ひたすら死を模索し続ける日々でした。
まさに松本先生のおっしゃる通りの青春でした。

誕生学の人に私は聞きたいです。
あなたは本当に追いつめられた子供の気持ちが分かるのですか?
例えば、親や身近な人に、性虐待を受けた子供にも、
いきなり無防備に抱きしめたりするのですか?
そんなことをしたらパニックになりますよ。
危険ですからそのような無責任なことを広めないでください。

ふざけたふりをしながら、父親や友人、時には教師に抱きしめられ、
そのままだんだんエスカレートし、性被害に及んでいる子は、
そしてそのことを誰にも言えずに、死にたいと思っている子は、今も昔もいるんです。
「ふざけながら抱きしめる」なんて、軽々しく言わないで下さい。

この記事を受けて「難民高校生」の著者仁藤夢乃さんのブログがこちら。
誕生学で命の大切さがわかる?綺麗ごとで子供たちをおいつめないために

まさに、私の感じていた気持ちと全くいっしょです。
虐待されている子供に「子供は親を選んで生まれてきた。」と言う無神経な残酷さ。
こういう鈍感な人たちに、ずっと怒りを感じていました。

仁藤さんのブログに私の言いたいことがそっくりそのまま書いてあったので、
引用させて頂きますが

「そう信じることで、その人自身が救われているのかもしれず、
それだけならいいんだけど、そういうことを信じている人の中に、
子どもを救いたがったり、支援したがり、教えたがりの人が多いんです。
というか、誕生学協会が、講師になれる人を増やして教えを広めるやり方をしているんだけど。

その言葉に追い詰められる人がいることを知ってほしい。
特に苦しい状況にある子どもにはそんな声かけしないでほしい。
だけど学校でそういう授業を導入するところも増えてきていることに危機感を持っています。」

まさにおっしゃる通りだと思います。

そして、なんと驚いたことに、
実は「誕生学」とはこういった教えを広めている、
資格ビジネスだった!と知り愕然としています。
そのことを、未来メモリーさんというブロガーの方が書かれた
記事がこちらです。
教育現場を侵食する誕生学が胡散臭い
なんなんだ!この高い料金設定は!
しかも、こんな資格ビジネスに、
何故、教育現場はやすやすとのっているのでしょうか?

ハッキリ言います。
子供は黙っていても、親が大好きです。
嫌いになれないし、危険な親でも離れられない・・・
それが子供の切ない性なのです。

学校現場で「誕生学」など教える必要はありません。
それはやりたい家庭が勝手にやればよいのです。

むしろ学校に必要なのは、危険な親がいることこそ教えるべきではないでしょうか?
さらに危険な友人や、近所の人や、時には教師がいること。
そして、そのあなたが大好きな人たちから、
もしもこんな嫌なことをされたら、
嫌だと言っていいこと、逃げていいこと、
こうやって逃げておいでと逃げ方を教えること、
何よりもそれは親を裏切ることでも、悪いことでもないことを
教えてあげることだと思います。

そして私は、本当に本当に本当にこのことを伝えたい。
どんなに愛してると伝えても、どんなにあなたが大切と伝えても、
どんなにどんなにどんなに、手を差し伸べても、
多くの仲間たちは、助けの手をつかまずに死んでいきました。

「こんなに愛されてるって分かっているのにね」と、
笑っていたのに、その1か月後に死んでいった仲間たち。
その無念さを身近に感じている私たちには、
軽々しい言葉をかけたぐらいで、人の命が簡単に救えるなんて、
思い上がった考えは持てないです。

謙虚に、謙虚に、謙虚に、
仲間にこれ以上死んでほしくない、私にできることはなんなの?
と自問自答する日々が、今までも、そしてこれからも続くのみです。

誕生学を教育現場に持ち込む必要などありません。
やりたい人が趣味で、自分の家庭でやればよいのです。
子供たちには、もっと教えるべき大切なことがあります。
現場の教育者には、正しい判断をして頂けるよう願います。

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