解雇は最悪の選択です
昨日、弾丸沖縄出張に行って参りました。
さすがに疲れ果て、ブログがUP出来なかったのですが、
何をしに行ったかと申しますと、沖縄刑務所に面会と、
顧問先であるクオリサイトテクノロジーズ株式会社さんに、
新入社員の依存症予防研修に行ってきたのです。
この研修ももう3年目になり、
毎年恒例となってきました。
今年は、ネットのスクリーニングテストを皆でやったりして、
ワイワイと盛り上がり、質問も活発にでて、
楽しい研修会となりました。
企業内での依存症予防教育で、一番期待される効果は、
依存症に対する正しい知識が共有されること。
これによって周囲の人間に被害が及ぶことを防止でき、
更に、依存症に罹患していると思われる社員さんに、
早期介入出来ることです。
アメリカのEAP(従業員支援プログラム)では、
この雇用者側からの介入も盛んに行われており、
管理職向けの研修プログラムなどもあります。
バドミントン闇カジノ事件では、
一人の選手が周囲の選手にお金を借りまくっていたことが話題になりましたが、
もしこの選手団の中で、依存症予防教育が共有されていたなら、
こんなことにはなっていなかったと残念でなりません。
そして今回NTTさんがとられた、解雇という処分は最悪の結末です。
そもそもオリンピック選手でなかったら、
話題にもならないような無名の選手であったなら、
こんな処分がなされたのか疑問です。
また、解雇され、世間にこれだけバッシングされ、
試合にも出れず、借金を抱えた田児選手は、
今後どうやって再起を図るのか?
心配なりません。
誰かがサポートしていくこととなると思いますが、
企業側が批判を恐れ、厳しい処分を下し、
ツケは社会にまわすという最近の風潮に対しては、
甚だ疑問に感じています。
また、こうして問題を起こした社員に対し、
解雇という処分で切り捨てていく方針は、
再発防止策になりません。
このやり方を貫く限り、早期発見・早期介入など、
実現は不可能です。
依存症の問題は決してなくならないし、
マンモス企業であればある程、
依存症者は内在化している訳で、
問題行動は必ず起きるでしょう。
その時、社員を適切に介入し、回復へ導き、
そして回復後の職場復帰を支援してくれる企業であれば、
周囲の人も気がついた時点で、上司に相談することもできるでしょう。
「課長、田中さんから度々借金の申し入れがあるのですが、
彼女パチンコ好きですし、依存症になっているのではないでしょうか?」
といった具合にです。
けれどもこれが、上司に報告したら同僚が解雇されるかもしれないとなったら、
あなたなら報告することができるでしょうか?
自分の一言で、その人の人生を狂わすかもしれない・・・
そんな良心の呵責に耐える位なら、
小銭くらい貸しても良いや・・・とか、
借金を断るのはうっとうしいけど、我慢しよう・・・などとなり、
職場の人間関係は悪化し、ストレスはたまる一方です。
その上、周囲の人たちは金銭的な被害を受けます。
しかもその被害者が一人だけではなく多数いたとしたら?
金額が数十万単位になっていったとしたら?
あげく横領事件が発生したら?
問題が発生した時や、誰かが問題に気がついた時に、
早期に介入できる仕組みがない会社は最悪です。
解雇ではなく、本人も周囲も、
問題を明らかにすることで、身が立つようにしなければ、
問題は隠され、重篤化してしまいます。
解雇ではなく、
依存症や職場ストレスからの解放、
そして当事者の回復と、
職場復帰が可能な会社へと、
日本企業のあり方が変化していって欲しいと願っています。
すぐに解雇してしまう最近の企業の姿勢は、
ノイジーマイノリティに対し屈しているとしか思えません。
毅然と社員を守る方針を貫き、
企業は愛する社員の盾となって欲しいと、
心から願っています。
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