IR法案通過後から、カジノだけでなく既存のギャンブルに対する依存症対策を！
とずっと訴えて参りましたが、本日は視点を変えて、
では、カジノならではの依存症対策
には何が必要かということを書きたいと思います。
実は、案外この視点が抜けていて、
殆ど、議論にあがってきませんが、私はカジノにはカジノだけの、
最大の問題が3点あると考えています。

まず一つ目。
カジノというのは、人がいくらお金を賭けているかが、
丸見えのギャンブルであり、チームプレイの要素が強いのです。
他に、こういうギャンブルはあまりありません。

例えば、競馬、競艇、競輪、オートレース、パチンコ、パチスロで、
「あっ、この人いくら賭けてるな？」などと分かるものではありません。
また、「皆で、勝って胴元をやっつけようぜ！」などということはありませんし、
皆、自分がいくら賭けたかなど、むしろ隠してこっそりやっています。

ところがカジノというのは、特にカードゲームでは、
客が何枚カードをひくかなどで、
ハウスと呼ばれる胴元の勝敗に影響するため、
チームプレイのようになったり、つい見栄を張ってしまったり、
大きく賭けて、勝ち上がっていく人などを目の当たりにするので、
自分も煽られて、あっという間に大きくなってしまいがちです。

お金に余裕のある、大王製紙のような方でも、
あのような事件を起こしてしまう訳ですから、
カジノのメインターゲットとなるであろう、多少収入に余裕のある方でも
あっという間に、のっぴきならない所に、
はまりこんでしまうことは充分考えられます。

ですから問題点の一つ目は、
カジノにくるようなお金持ちは依存症にならないという誤解が社会にはありますが、
そうではなく、カジノ独特の見栄や雰囲気で多少お金のある、
特にプライドの高い見栄っ張りな性格の人は、ひとたまりもないよ！
ということをきちんと啓発するべきだと思います。

さらに二つ目。
カジノは、セレブな雰囲気があるため、
女性の依存症者が増える可能性があると思っております。
現在、ギャンブル依存症者の男女比は、
男性 8.8％　女性1.8％と言われ、
圧倒的な男性優位の病気と言われています。

けれども、それは日本のギャンブル場の雰囲気が、
女性にはなじまないものであるためという要因は大きいと思います。
現に女性のギャンブル依存症者のほとんどはパチンコ依存症者であり、
パチンコは、女性客でも入店しやすい雰囲気づくりに、
尽力してきたわけです。

カジノには、アミューズメントパークに遊びに行く感覚で、
「ちょっと行ってみない！？」と言えてしまう雰囲気があります。
これは要注意だと思っています。

女性は「自分はギャンブル依存症などなるわけがない」
と思っている節があります。
「女性でもギャンブル依存症にはなりますよ！」
という啓発が必要だと思います。

こういうことを書くのは躊躇されますが、
けれども真実でもあるので、思い切って書きますが、
女性がギャンブル依存症に陥り、お金に切羽詰まってくると、
売春などの行為でお金を得る人まで出てきます。
女性の依存症対策は、これから絶対に必要になります。

そして3つ目の特徴。
これは世界のカジノで報告されていますが、
カジノディーラーの依存症発症率が高い！
ということです。

多分、カジノができたら、従業員はカジノの出入り禁止、
などという項目が入るとは思いますが、
そんなの闇カジノやオンラインカジノが、これだけはびこっている現代で、
なんの効果があろうか・・・といった感じではないでしょうか。

ディーラーはですね、正直ヘッポコピーな客、
もしくはヘッポコピーに見えるだけかもしれませんが、
そういった負けてばっかりの人達をみている訳ですよ。

そうすると「俺なら、詳しい分勝てるんじゃないか？」と勘違いも生まれるし、
単純にゲームの面白さにも惹かれてしまうことでしょう。
また常に客と勝負している訳ですから、テンションんも上がりっぱなしですよね。
様々な要因があるでしょうが、ディーラーへの依存症対策は、
きっちりと強化していかなくてはなりません。

これからは既存のギャンブル依存症対策推進が鍵になりますが、
こういった「カジノならでは・・・」の対策も、
検討強化しなくてはなりません。

IR誘致に手をあげるおつもりの自治体さんは、
どうぞその辺覚悟して、お取り組み下さい。

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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研)　ギャンブル依存症(角川新書)