何故私がパチンコ業界に失望しているかです

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私は、2014年にギャンブル依存症問題を考える会を立ち上げてから、
パチンコ業界と関わるようになり、
業界の依存症対策に対する淡い期待がことごとく裏切られたことから、
今では失望しか感じていないのですが、
今日は、その辺の経緯を書きたいと思います。

私は現在ギャンブル依存症問題を考える会で団体の代表をやっておりますが、
それとは別に「極力、家族負担の少ない回復施設作りたい」ということを、
悲願に思っておりました。

2015年2月に現在のグレイスロードが、協力してくれることとなり、
私のコンセプトを受け入れた、回復施設を山梨県で開設してくれることになりました。
私は、経営にはノータッチですが、家族のパイプ役など、
少しでも苦しむご家族の役に立てるようにと、関わらせて貰っております。
現在では、長崎でも協力者が現れ「グラフ長崎」という回復施設が立ち上がっております。

グレイスロードを始めた際に、「なるべく綺麗で、センスの良い癒しのインテリアで・・・」
など、私から様々な注文をつけたり、全くのゼロからの開始でしたので、
車の購入費等、開設には500万円以上のお金がかかり、
ご家族の皆様方や、キリスト教会の皆様方、山梨県の地元の方々、
依存症に関わる援助職やドクターの皆様がたなど、沢山のご支援を仰ぎ、
やっと開設にこぎつけることができました。
今でも、代表の佐々木からは「やせ細る思いだった・・・」と言われます。

けれどもわずか半年で、入寮者がいっぱいとなり、
やっと開設した物件だけでは、キャパシティーオーバーになってしまいました。
わずか半年では、もう私もすっからかんですし、寄付金も集まりません。
でも入寮者を断るわけにはいかない・・・と、どうしようか悩んでいました。

そこで考えたのが、「遊技協会に寄付をお願いしよう!」ということでした。
というのも、その少し前に、業界14団体で構成するパチンコ・パチスロ産業21世紀会が、
朝日新聞と産経新聞の大手新聞2社の朝刊に全面広告を掲載したんです。

全面広告には『パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです』大見出しと共に、
依存(のめり込み)問題対応ガイドラインを制定していることや、
リカバリーサポートの運営支援に協力していることが掲載され、
実に「安心娯楽宣言」と銘打たれていたのです。

その年、私たちは3人のパチンコ依存による自殺者を出しました。
つらく悲しい経験でしたが、この広告を見た時には、
「パチンコも変わろうとしているんだ・・・」と、
素直に信じ、希望を見いだしておりました。

ですから、「依存症回復施設の増設費用およそ200万円がどうしても負担できないので、
14団体で36万円ずつ献金して頂けないでしょうか?」
とお手紙を差し上げたのです。

これまでも回復施設開設に関わる際には、
教会関係や、企業、個人など様々な所に、お手紙で協力を仰いで参りましたし、
他にはニュースレターなどでもお願い致しております。
その結果多くの方々にご協力頂いて参りました。

ところがこの手紙に、パチンコ業界から激怒されたのです。
ある議員の仲介で、業界の方にもお目にかかりましたが、
何故か最初から喧嘩腰でしたし、
様々な所から聞いた話によると「金目当て」とか、
ここには書けないようなひどい侮蔑の言葉がありました。

この時、ハッキリと確信しました。
あの「安全安心宣言」の新聞全面広告はブラフに過ぎない。
自分たちのイメージアップに、何千万もかけて依存症を利用しただけで、
真剣にパチンコ依存症対策を考えてなどいないのだ・・・と。
「なんて人達だ・・・」と、この時大きく失望しました。

パチンコの営業に関する全面広告なら分かります。
また、パチンコ店に余裕がなく、寄付金が無理な話であるとか、
もしくは単純に寄付金に協力したくない・・・というのなら、
100歩譲って理解もします。
(それでもご自分たちの責任の一端はあるのでは?と思っておりますが)

でも、あの気色ばみかたや、ものの捉え方は、
私には理解しがたいものでした。
パチンコ依存で、多くの方々が苦しんでいる。
それをこれまで助けようと、全く関係ない一般の方々がお金を寄付して下さり、
我々も採算度外視で、やっている最中、
業界14団体に36万円合計約200万円の寄付をお願いすることが、
そんなにも叱られなくてはならない、非常識な行動でしたでしょうか?
1店舗ではありません、業界団体に36万円です。
各店舗の負担がいくらかと言えば数千円の話ではないでしょうか。

結局、この話はもちろん流れ、私は再び売れるものをガンガン売り払い、
(ブックオフで本まで売りました。確か2千円位にしかなりませんでしたが(笑))
佐々木と共に、仲間にも献金を再びお願いし、
なんとか200万円かき集め、物件を借りることができました。

そして、この後、私はあの「パチンコ不正くぎ問題」を初めて知るのです。
確かに、寄付が貰えなかったと言って、恨む話でもないと思い始めた時でした。
けれども自分たちは、不正に射幸心をあげていたの?
それでいて、いけしゃあしゃあと、大金を使って新聞広告に「安全安心宣言」ってね、
パチンコ業界ってうそつきじゃん!と怒りに震えました。

そうやって依存症者を増産しているから、依存症対策に協力したくないの?
客が減るから対策したくないって思ってるの?
とあまりの利己主義的な考えに、本当に腹が立ちました。
あの不正くぎに対する怒りは、今でも全く収まっていません。
なんとかこの問題に、納得行くカタをつけたいと思っています。

少なくともあの時、私に罵詈雑言を向けられる筋合いも、
喧嘩腰で来られるいわれも、1ミリもなかったと思っております。

私は、IR法案に対する姿勢でもお分かり頂けるように、
基本的に「北風と太陽」なら、太陽政策を取るタイプです。
そして、長谷川氏との対談でもお分かり頂けるように、
利害のある人とは、なんでも率直に正面から話し合いたいのです。

でも、パチンコとは、「それが出来ないんだ・・・」と最初に悟ったのが、
2015年の夏のことでした。

それからは、もう直接の話し合いなどあきらめて、
政治に働きかけよう!国に助けてもらうしかない!と頭を切り替え、
質問主意書などをガンガン出し、政治家の先生方に対するロビー活動を頑張るようになりました。
2017年現在、ずっとタブー視されていたパチンコ問題が、
ここまで国会議員の先生方の間で、堂々と語られるようになったことは、
大変嬉しく、先生方のご尽力に心から感謝致しております。

また、あの時は、苦しかったですが、わずかな寄付金をもらって、
パチンコ業界のことを深掘りせず、
(いやむしろ私のことですから、感謝すらしていたかもしれません。)
国に働きかけることを知らずにいたら・・・と思うとぞっとします。
ですからあの時の事はあれでよかったと、今では恨みもありません。

けれども現在も尚、私たちが「ギャンブル依存症は病気」と啓発活動に、
人生をかけ、自腹で走りまわっていても、パチンコ側の関係者は、
それを打ち消そうと尽力しているようです。
「ギャンブル依存症は精神疾患ではない」
という説を広めたいようです。けれども
「ギャンブル依存症=精神疾患」は、WHOでも認められており、覆しようがありません。

さらには、不正くぎの撤去、新台入れ替えにかかった業界の費用1500億円は、
ギャンブル依存症対策費だ!と言いだす人がいるとかで、
あきれかえっています。

この後に及んでも、言い逃れや言い訳ばかりして、
大規模なギャンブル依存症対策に着手しようとしない、
パチンコ業界に、私は失望はしていますが、
あきらめるつもりは全くありません。
これからも抜本的なパチンコ・パチスロ依存症対策が打ちだされるまで、
頑張って行くつもりです。

あの時、お金がなくて、一体どうなる事やら・・・と、
悩みに悩んでおりましたが、
それでもなんとかなったのは、応援して下さった、ギャンブル依存症の家族と
一般の皆様のお陰です。
本当に、ありがとうございました。

そして、あの時、パチンコ業界にけんもほろろに扱われたのは、
神様の配慮だったなぁ~と、なによりも感謝しております。
あれで私は目覚めたのですから!

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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