衰退する地方のGAです

公開日: 

ここのところ地方出張に行くと「GAがなくなった」という話を、
連続して耳にしており、暗澹たる気持ちになっています。

GAというのは、ギャンブラー本人が集まっている自助グループで、
ギャンブラーの家族が集まっているのがギャマノンです。
ギャンブルに戻らない回復し続けるためには、
GA・ギャマノンは大切な社会資源です。

そしてこれだけギャンブル依存症が騒がれ、
対策の必要性を訴えていながら、衰退してしまう地方がある・・・
これらの地方には特徴があるのでは?
と私なりに分析してみました。

まず、最近GAがなくなった・・・もしくはグループが減っていると耳にした地方は4カ所。
県内から完全になくなったのは、島根と富山。
そして一度なくなったけれども、ギャンブル依存症のデイケアができて、
かろうじてそこの入寮者の方が立ち上げ持ちこたえているのが石川。
グループが減り、なんとか月1回だけ開催されているのが福井です。

こうみてみると壊滅状態なのが北陸。
そして、島根のお隣鳥取県はもともとGAがなく、
中国地方も空白地帯となっている訳です。

もちろん逆にグループが増え続けている、元気のある地方もある訳ですよ。
じゃあ、それら地域と何が違うの?と、
しょっちゅう旅巡業に出ている私が感じる肌感覚を、ここでお伝えしたいと思います。

まず一つ目。

1)病院や精神保健センターに囲い込んでしまいGAとの連携がない。

島根県なんかはこれにあたると思うんですが、
センターで熱心に、ギャンブル版の認知行動療法をなさっているんですよね。
これはこれで良いと思いますけど、こういう数回のプログラムってあくまでも
「入口」にすぎない訳じゃないですか。

だからここに集まってきた人達を、どうGAに繋げていくか?
すでにGAはなくなってしまいましたから、
島根県の精神保健センターさんは、これからGAの種をどう撒き、
どんな風に地域資源を育てていくのか?
しかもお隣鳥取県にもGAがなく協力が仰げない訳ですから、
これは大きな課題だと思います。

センターや病院に人を集めていって、
地域の自助グループに新しい人達が繋がらなくなれば、
元々のGAメンバーは活動を続けられなくなります。
自助グループメンバーにとって、それは死を意味します。

よく自助グループのメンバーと話しますけど、
センターさんの紹介で、人が繋がってくることって殆どないと言われます。
それは何故か?センターの人達が自助グループの魅力が分かってないからでは?
と思うんですよね。
確かに、地域によっては小さくて元気のないグループもあるかもしれませんが、
活発に活動し元気のある自助グループはどんな感じなのか?
是非、色んなグループをセンターの人達には見て頂きたいと思います。

2)核となる民間施設がない

ダルクさんとともにNAが広がってきたように、
回復施設ができると、その周辺には自助グループが育ちます。
ギャンブルは回復施設も少なく、そういった核になるものがありません。

福井と石川にデイケアができましたので、今後そこが核となり、
GA・ギャマノンが育つことを期待していますが、
中国地方や東北ってそういう施設が全然ないんですよね。
この辺にも原因があるのではと思います。

3)連携がない

これは自助グループの側の問題なんですが、
昨日夫らとも話したんですけど、
衰退してしまうグループというのは連携がないんですよね。

例えば九州なんかは福岡を中心に、
がっちりまとまっている感じ。
他県との交流も盛んです。
そして福岡、長崎にはギャンブラーを受け入れている回復施設があります。

それとGAとギャマノンの交流もある。
しょっちゅうお互いの合同セミナーを開いたり、
アディクションセミナーも各地で開催され人が繋がってきます。

4)マスコミの意識が低い

これはですね、富山とお隣長野を比較してみるとよく分かります。
ものすごい歴然とした差があるんです。

長野というのは精神保健センターさんと自助グループもがっちり繋がっています。
所長の小泉先生なんか、ギャマノンのイベントにわざわざいらして下さり、
ただのオーディエンスとして1日いらして下さるそうです。
そしてまたそこを中心にマスコミも協力体制にあります。
新聞で度々依存症を取り上げて下さり、
自助グループがイベントをやれば必ず取材に来てくれます。

当会の相談会のお知らせも載せて欲しいと言えば、快く掲載して下さり、
NHKのラジオまで告知してくれた位です。

ところが富山県。
どれだけ連絡し、相談会のお知らせを載せて欲しいと地元新聞社に言っても、
全く反応がありません。
仲間が何度も足を運んでくれ、やっと次回は相談会の告知をしてくれるようですが、
今のこのご時世に、こんなこと珍しいです。
仲間によると、地域のTV局でギャンブル依存を取り上げてくれるという話も、
浮上したことがあったそうですが、それも連絡ないまま没になっているそうです。

5)行政自体の意識がない

これも富山県の例ですが、相談会のお知らせを市報に掲載して欲しい
と何度もお願いしていますが、これも「市主催のイベントしか載せられない」
の一点張りなんですね。

だって市の取組みだけでは行き届かないし、
だからこそ民間との地域連携は当然じゃないですか。
情報が行きとどかず不利益を被るのは市民ですよね。

当会の相談会、お隣の新潟県などでも開催してますが、
当然ウエルカムで掲載して下さいますし、チラシも置かせてくれます。
この行政による対応の違いはなんなんだ!?と、面食らっています。

・・・とまぁ私が気が付いたことをつらつらと書いてみましたが、
自助グループというのは、多くの「友人」と呼ばれる、
行政やマスコミ等の協力がなければ存続していくのは難しいです。

その辺の意識が今後どこの地域でも底上げされ、
地域連携の好循環が生まれて欲しいと願っています。

私たちも今後も自助グループ、家族会、
そして行政や病院の皆様と益々連携強化が図れるよう、
パイプ役に邁進したいと思います。

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