南北会談、山口さんの事件と大きな事件があり、埋もれてしまっていますが、
これほど政治が混迷を極め、与野党の対立が激化している中でも、
予定通りIR法案は閣議決定され、IR実施法が国会に提出されました。

いよいよ日本にカジノができるのか!?正念場を迎えるわけですが、
我々にとっては、その前になんといっても「ギャンブル等依存症対策基本法」が、
依存症の当事者・家族のために充実した内容となって成立して欲しい！
という悲願があります。
そこで本日、ギャンブル依存症に関わる三団体
公益社団法人　ギャンブル依存症問題を考える会
特定非営利活動法人　全国ギャンブル依存症家族の会
一般社団法人　グレイス・ロード（ギャンブル依存症専門回復施設）
が連携し、
厚生労働省で記者会見を行い、声明文を発表しました。
早速ニュースでも取り上げて頂きましたが、
ギャンブル依存症問題を考える会、閣議決定受け会見（TBSニュース）
ここにその全文を記します。

声明文

１）概要
　本日IR実施法が提出され、今国会で審議されることとなりましたが、
既にこの国で蔓延している、ギャンブル依存症への具体策が全く見えておりません。
　IR実施法に先駆け審議される予定である、「ギャンブル等依存症対策基本法」は、
与党及び、立憲民主党からそれぞれの案が提出されたまま、与野党間の協議が開かれていません。
このままでいくと、「ギャンブル等依存症対策法案」の審議がおざなりのまま、
「IR実施法」が成立してしまい、脆弱な対策の上に更なる新しいギャンブル産業を産むことになります。
日本は既にギャンブル依存症の罹患者は320万人と推計されており、
当事者の周りに3人の問題に巻き込まれた家族や友人・知人がいたとしたら、
実に1000万人、人口の1割近い人々がこの問題に苦しんでいることになります。

２）問題点
　「ギャンブル依存症等対策基本法」及び「IR実施法」の最大の問題点は、
ギャンブル依存症の当事者・家族の声が反映されていないことにあります。
「ギャンブル等依存症対策基本法」与党案には関係者会議が盛り込まれておりません。

　依存症関連で先行する法律「アルコール健康障害対策基本法」には関係者会議が規定されており、
医療、福祉、行政機関、民間団体、当事者・家族、産業側の代表者が一堂に介し、
基本計画策定のために関係省庁と協議しました。
関係者会議がなければ、現場感覚のない官僚の皆様が机上で法案を作成することとなり、
効果が伴わない基本計画となるおそれがあります。

　また、野党は与党との協議に応じておられず、ギャンブル依存症対策は政争の具とされています。
私たちは、この法案が成立することを心から待ち望んで参りました。
どうか、この法案についての与野党間の協議を実施し、
ギャンブル依存症者とその家族が救われるよりよい法案にして頂きたいと思います。

　一方、「IR実施法」のギャンブル依存症対策では、
当事者・家族は推進会議のヒアリングにすら、呼ばれることがありませんでした。
その結果「入場料6000円、入場回数は週3回かつ月10回まで」という
依存症対策案が採用されましたが、
私たちはこれだけでは十分な依存症対策とはならないと考えます。

　また、カジノにはオンラインカジノなどの問題もあり別途対策が必要ですが、
それらがまったく検討されていないのは、当事者・家族の声を聴く姿勢がないための手落ちだと考えております。

３）私たちの願い

　ギャンブル依存症等対策基本法は、この問題に苦しむ当事者・家族が待ち望んだ法案です。
そしてこの基本法ができることで、これまで放置されてきた、
ギャンブル依存症に対する社会問題の解決、社会負担の軽減に貢献できるはずです。
　どうかギャンブル依存症対策を、「カジノのみそぎ」のごとく、おざなりにしないで下さい。　
カジノ建設のタイムスケジュールにあわせるのではなく、
ギャンブル依存症対策の拡充を最優先にしてください。
当事者・家族の声を聴いて下さい。

そして、カジノ推進派のためのギャンブル等依存症対策基本法ではなく、
当事者・家族そして日本社会のための法案とするべく、
まず、当事者・家族が共に法案作りに参加できるシステムを構築して頂きたいと切にお願い申し上げる次第です。

以上

どうか我々だけでなく、社会の皆様方にも、
この問題に関心を高めて頂き、
我々の後押しをどうか宜しくお願い致します。

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現在国内の推定罹患者320万人（2017年厚労省）のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を！

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研)　ギャンブル依存症(角川新書)