人と話すのが苦手なんです
今年のお盆は、本当に相談電話がひっきりなしにかかってくる状態で、
ギャンブル依存症問題が本当に顕在化してきたんだなぁと実感します。
そもそも盆暮れ正月といった、人が楽しそうにワサワサしている時って、
お金を使い果たし惨めな自分を目の当たりにするので、依存症者もざわざわするんですよね。
そして大体、死にたくなっています。
でも、人間なかなか死ねるもんじゃないですし、
誰だって本心では人生を楽しみたい!って思っているわけじゃないですか。
心のどっかでは、こんな生活から抜け出したい!
と思っていて、だからこそ電話がかかってくるわけですよね。
でも依存症者というのは、ものすごく面倒くさい人たちで、
「助かりたいけど、自分の思い通りのやり方で回復したい」
と思っているわけですね。
自分を責めずに、話を聞いてくれて、しかもとりあえずお金の問題を誰かがなんとかしてくれて、
落ち着いた状態で、じっくりと回復に取り組みますよ。
それも当事者同士みたいな、素人制は信頼できないし、惨めっぽいことはかっこ悪いので嫌です。
よくわからない曖昧なものではなく、なんとか療法みたいなしっかりしたエビデンスのあるもので、
専門家によって、確実に短期間で直してほしいんですよね。
やる気はあるんです!
と、これが本音ですね。
でも、こんなこと本人も混乱しているので言語化できないし、
そもそも本音に自分で気づいていたとしても、さすがにこんなこといえないですよね(笑)
そして依存症者は大抵こういいます。ほとんど全員が
「でも、ボク人が苦手で、人前で話ができないんです。」と。
いや、そりゃそうでしょう。
この世の大半の人はそうですよ。
だからこそ、人前で話すのが苦手じゃない、特殊な人たちが、
芸能人や政治家などの希少性の高い仕事に就いてるわけですから。
私は、人前で話すことは、全く苦手じゃないですし、
人と話すことも別に苦痛じゃないですけど、
そんなん自助グループの中では珍しいタイプです。
でも、だからといって人間関係に疲れていないわけじゃなく、
話はできるけど、人間関係はしんどいと思っていましたし今もしんどいです。
だから私は、相談電話で自助グループを勧めて、
人が苦手で、人前で話せないと言う人には、
「やっぱり~!そりゃそうだよね~。だから依存症になったんだもんね。
それがストレスだから、一人になりたくてパチンコ行く訳じゃん!
だからさ~、人間関係のストレスを少しでも減らせるように練習が必要な訳よ。
ちょっとでも、人と付き合うしんどさ減らしたいでしょ~。」
ってな具合にいいます。
そうすると「なるほど~!」って大体言いますね。
でもってですね「自助グループは、大体みんな人が苦手な人揃ってるから安心よ~」
と変なおすすめをしております。
時々「自助グループが苦手、人前が苦手な人にはどんなアプローチがいいですか?」
みたいに言う援助職に会うので、この人は正気か?と思いますね。
だったらあなたが生涯寄り添ってあげるしかないのでは?と思います。
人は、絶対に一人では生きられないんです。
だから、誰だってどこかのコミュニティには所属したい。
だとしたら自助グループは一番安全です。
そもそも話したくない人は、話せるようになるまでパスすりゃいいんです。
そんな人いくらでもいますよ。
だって例えばですよ、なんとかオタクと呼ばれる人たちっていますよね。
どう見ても、饒舌なタイプには見えなかったり、人間関係が苦手そうな人もいる。
一見暗そうな人に見える人もいますよね~。
でも、その人たちも、同じオタクが集まったグループだったら、
居心地良さそうにしてるじゃないですか~。
自助グループなんて、まさにオタクの集まりですよ。
当事者なら、ギャンブル好きで、人を避けてきたオタク。
家族ならギャンブラーやダメンズが好きなお節介オタクな訳じゃないですかぁ~。
家族の仲間となんか、
「私が、やらなくちゃ!」
「この人は何にもできない」
「私がいなかったらこの人は死ぬ」
なんて思い込んでいたオタク話でいつも盛り上がって爆笑してますよ。
そんなのよそでは絶対に話せなかったし、
みんな来た当時は、ボソボソ、モゴモゴ笑顔もなく、能面のような表情で、
実に無愛想な人たちでした。
でも人は変われるんです。
人が苦手という人の言葉を鵜呑みにして、
援助職が人から遠ざけるようなアプローチを模索するのはやめていただきたいですね。
人は、人付き合いが面倒だし、苦手だからこそ、
わかり合えるかけがえのない仲間がいるコミュニティが必要なんです。
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