中学生の大麻所持!教師はいきなり通報しないで欲しいです

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先日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
中学生が大麻を所持していて、それを教師が通報したというのです。
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このニュースを見て「またか・・・」と、相変わらず教育現場が薬物問題に対し、
あまりに無知と無理解であることに、がっくりときてしまいました。
ご存知の通り大麻は使用だけなら罪に問われません。
所持していたかどうかが問題になるのです。
この少年は大麻を所持していたので逮捕されてしまいました。

ハッキリ言って、こういったケースで少年を逮捕しても、
少年の真の更生になど役立つとは思えません。
教師は通報せず、薬物依存の専門家に繋いで欲しいです。

そもそも中学生で大麻に手を出してしまう背景には、
なんらかの理由があるはずです。
そしてその根っことなっている生きづらさを見つけ出し、
適切なサポートが受けられるように周囲の大人は支援すべきであり、
教師は捜査官ではありません。

こういうことを言うと「大麻は犯罪だ!」「公務員には通報義務がある」などという人がいますが、
言わせて頂ければ、ギャンブル依存症に伴う、窃盗や横領といった立派な犯罪を、
「今度だけは弁償すれば許してやる!」と大目に見てしまう人などこの世に沢山います。
むしろ被害者のある犯罪こそ厳しく逮捕してほしいのに!と思ってしまいます。

また「通報義務」もありますが、「守秘義務」もあります。
実務をやっていると分かりますけど、お医者様だって、場合によっては警察だって、
刑罰ではなく、回復プログラムを優先してくれることなどいくらだってあります。

ちなみにアルコール・薬物依存症の治療に関わる医者の教科書的書籍
「新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン」にも

公務員の職務上正当と考えられる程度の裁量は許容されている。
『地方行政実務の法律相談上巻』には,「公立中学校の生活指導担当教諭が、喫煙をしている生徒を見つけたが、
いまだ生活指導の余地ありとして、教育上の見地から告発をしないことは、事情によっては『職務上正当』と認められる」
という例が挙げられている。したがって、相談支援、医療などを本務とする公務員が、
職務(相談支援医療)上正当な理由があれば、告発義務よりも守秘義務を優先することは可能である。

とあります。

80年代に作られた「覚せい剤やめますか?人間やめますか?」という、
下手くそなコピーのお陰で、日本の薬物政策は依存症に苦しむ人を回復に繋げ更生させるのではなく、
犯罪者として社会の片隅に葬ろうとし、薬物事犯の再犯率を高止まりさせてしまいました。
あの時代で思考停止している大人たちは、子供たちに関わる仕事に就かないで欲しいです。

ちなみに私は「大麻を解禁しろ!」とは思っていませんが、
犯罪としてのスティグマを強めることはデメリットしかないと思っています。
何故ならそれは、同じ問題で苦しむ当事者、家族、そして友人たちの
「相談してみよう!」という勇気を奪うからです。

今日は、そういった薬物依存症の娘や息子を持つ親である仲間達の経験、
悩みや苦しみをコメントとして寄せて貰いましたので、是非、ご一読下さい。

息子の薬物使用がわかった時、まず最初に頭に浮かんだのは「息子が犯罪者になってしまった」ということ。
薬物に関してほとんど知識はなかったのに、薬物所持・使用が発覚すると逮捕される、それだけは知っていた。
薬物をなんとかやめさせたい、だけどどうしたらいいかわからない。
誰かに相談したい。だけど、相談したらきっと逮捕される。頭の中で堂々巡りの毎日。
匿名のメール、電話相談も、きっと裏で警察に繋がっていて、メールから所在が特定される、
電話を逆探知されるんじゃないか?そしてある日、警察が捕まえに来るんじゃないかと、
それが怖くて長い間相談することができなかった。
医療にかかることは、さらに本人をその場に連れて行くわけだから、
診察中に隠れて通報され、逮捕されるに違いない、と恐ろしくてできなかった。
結果、息子の薬物の問題はどんどん進行していった。(母親)

 

誰に相談するのが安全か考えました。
病院に入院できないかと考え、知人にアルコール関連の病院の援助職の方がいたので、
その人なら安全だと思って話しました。が、警察に行くのが一番いいと言われて相談するのをやめました。
そこから、ダルクに相談する方向に変えました。(母親)

 

精神保健センターや児童相談所など公的な機関であればあるほど
相談すると警察に繋がっていていそうで怖くて躊躇しました。(母親)

 

地域の広報に載っていた「薬物乱用でお困りの方の相談窓口」
があったけど、電話のディスプレイで住所が分かるんではないか怖くて電話できなかった。
恐々公衆電話から相談したけれど何の解決策ももらえなかった。
後々、ナラノン(薬物依存症者の家族の自助グループ)も教えてもらったけれど、
ナラノンへ行った帰り警察の人が 待ち伏せしてるんではないかと行けなかった。(母親)

 

私は息子が危険ドラックだったので、みているうちにおかしくなったいたので
病院、保健センターなどへ主人とあちこち相談に行きました。
ただ、本人は連れて行ってはいません。
警察にも自ら相談に行きました。
息子をなんとかしたい気持ちでいっぱいでした
当時は合法ハーブと言われていて、逮捕されないという気持ちがあったから、あちこち行けたのかもしれません。
薬物に対して素人の親がまず相談できる、当事者の回復を考えてくれる日本の医療になったら、
早いうちに回復に繋がるのでは。と思っています。(母親)

 

誰にもバレてはダメだと思い、すべてを隠す選択をしました。
我々親も世間から孤立し、子供を益々ダメな人間という位置に追い込んでいき、
俺がどうにかしなければと追い詰められる結果に。(父親)

どうですか?お読み頂けるとお分かり頂ける通り、
皆、子供を思う普通の親たちで、普通の社会人です。
常識的な人間だからこそ、犯罪者の烙印が恐ろしく相談に行かれず、
問題を長引かせてしまっているのです。

今回の様に、教師がすぐに通報しまったという報道がなされれば、
薬物問題を抱えた家族そして友人たちは「絶対に相談などできない」という思いを、益々強くしてしまいます。
それは誰のためにもなりません。

犯罪についても科学的に解明されてきたこと、
犯罪に問わない方が効果が上がるとエビデンスがあるものなど、
時代の進歩によって、どんどん考え方や対応を変えて欲しいです。
思考停止している人は、支援者、援助職に就くべきでないし、
正しさだけでは人は助けられないことを知って欲しいです。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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