映画「ひとよ」これは仲間たちの物語です

公開日: 

話題の映画、白石和彌監督の新作「ひとよ」楽しみにしていたので、
公開初日で速攻観て参りました!

はぁ、佐藤 健 君かっこえぇ~!
そして松岡茉優さんがめちゃくちゃ深みのある女優さんに成長していたのに驚きましたね。
松岡さん「桐島部活やめるってよ」の時から、注目してましたが、あの頃よりずっと存在感が増しましたね~。
松岡さんは、明るくはつらつとした青春映画みたいな作品より、
こういう影のある役の方がずっとずっと、お美しく個性が光る感じ・・・。
なんて映画評論家みたいですけど!

さて、この「ひとよ」ですけど、どんなお話か皆さんご存知ですか?
映画「ひとよ」公式サイト

子供たちを守るために、DV夫を殺害してしまった母が、15年後に家族のもとに戻ってくることから物語が始まるんですね。
家族は、再びつながることができるのか?というのが根底に流れるテーマですけど、
これ我々のような、機能不全家族に育ったAC達には、ヒリヒリしますよ。

子供って、子供時代には親の決断に抗うことなんかできないじゃないですか。
そして我が家もそうでしたけど、機能不全家族って「なんでこうなるの?」ってことが突然起きますよね。
でも、疑問や質問を差しはさむことなんかできないわけですよ。
親は答えてもくれないし、都合の悪いことを聞けば怒り出しますからね。
なのでファミリーシークレットが沢山あるから、家の中の空気がいつもぎこちない・・・
「何を考えているんだろう?」と家族で探り合うあの感じ・・・

「ひとよ」の中ではこのぎこちない空気感が、見事に表現されていて、
ヒリヒリの中に、何とも言えない切なさを感じます。

それとですね、舞台がよくある地方都市の雑然としたお家なんですけど、
これがまた郷愁を誘うんですよね。
私、どういうわけだか裏口のドアについているすりガラスに反応しちゃって、
「あ~、このすりガラスが懐かしい・・・」と出てくるたびに思ってしまいました。

最近、加害者の子供たちとして生きてこられた方々が取材を受けたり、執筆されたりしはじめたので、
私、すごく関心があったのですが、そもそも我々の周りには、
加害者というか犯罪者の子供になってしまう人が、それこそ沢山いるわけじゃないですか。
実際、私も逮捕はされませんでしたけど、横領事件をおこした父親の娘ですからね。

そういった子供たちが、社会の中で必死に生き延びていくために、
何を身に着け、何を失うのか?実によくわかる映画です。
だから是非、我々家族支援に関わる人たちには観て欲しいな~!と思いますね。

そしてこの映画の良いところは、ストーリーは重い話ですけど、
全体的にはすごく優しさあふれる作品になってるところですね。
脇を固める方々の役柄が、優しい人ってか、お人よしさんでめっちゃほっこりします。

あと、田中裕子さん!
なんか久しぶりに主役のお姿を拝見した気がしましたけど、
相変わらずお美しく、そしてほんっとうに演技力がおありですよね~。
もうね、思い込みの激しい、しかも茶目っ気のあるお母さん役ぴったりでした。

我々の青春時代には田中裕子さんって超売れっ子の女優さんでしたよね。私も、大好きでした。
「タコが言うのよタコが」なんてなまめかしいCM今でもよく覚えてます。
あの時代は、アンニュイな女優さんが多く、時代の空気感にもマッチしていましたよね。

今でも田中裕子さんで忘れられないのは、映画「天城越え」のワンシーン。
手ぬぐいの端っこをくわえ、のちに重要証言をする羽目になる少年と出会い、
妖艶な笑顔で「咲いた咲いたの花、平凡な名前よね~」というシーン。
あれを鮮明に思いだしちゃいました。

田中裕子さんは、今でも緊張感と茶目っ気の両方の表情を、
観ている人の期待を裏切りながらなまめかしく表現する人だなぁと私は思ってます。
「ひとよ」色んな所に見どころがありますから、皆さん是非観てくださいね。

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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