訃報:樹木希林さんに学ぶ夫婦の形です

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皆さんもうご承知の通り、名優 樹木希林さんが75歳という若さで亡くなってしまいました。
本当に残念で、思った以上に衝撃を受けている自分にも驚いています。

私たちの世代は、樹木さんがまだ悠木千帆さんと名乗っていらした頃、
「寺内貫太郎一家」「ムー」「ムー一族」と当時の大人気ドラマで活躍されており、
「なんかわかんないけど面白いおばさん」としてよく拝見していました。

樹木さんは若い頃から老け役で出演されてましたが、
私は、何と言ってもお年をとられてからの映画で、
樹木さんはその神髄を発揮されていかれたように思います。

我が家の祖母が嫌味や皮肉ばかり言っている人だったので、
樹木さんのあの何でも受容してくれる演技に、
憧れというか「こんなおばあちゃんと一緒に暮らせてたらなぁ~」
という思いを重ねていました。
もちろん樹木さんだって私生活は、別の人格でしたでしょうけど。

私が樹木さんの作品で一番好きなのは「あん」です。
まだご覧になっていらっしゃらない方は、是非ご覧下さい。
本当に静かで深い作品です。
そして樹木さんがなんともいえず素晴らしい名演技をなさっています。
あの作品は、樹木さんだからこそあれだけの評価を受けたのではないでしょうか。

もちろん改めて言うまでもなくカンヌでパルム・ドールを受賞した、
天才監督 是枝裕和作品「万引き家族」もめっちゃ良かったです。
こちらはもう多くの方がご覧になったと思うので、
私としては、同じ是枝作品で「海よりもまだ深く」もお勧めします。
これは阿部寛さんが、ダメダメギャンブラーの役で、そのお母さん役を樹木さんが演じておられます。

こうして映画好きの私が、ちょっと思い出すだけでも印象に残った映画の多くに、
樹木さんの出演があるんですよね。
もうあの演技が見られなくなるかと思うと、残念でなりません。
樹木作品この後、新作としては「日日是好日」、そして遺作は来年公開の「エリカ38」だそうです。
絶対、観に行きましょう。

さて、樹木さんと言えばあの圧倒的な演技の他に、
内田裕也さんとの結婚生活が印象深いですよね。
81年に、裕也さんが勝手に離婚届けを出してしまい、
その無効を樹木さんが裁判で求められました。

当時の裁判官が非常識で(今も?)、この裁判であろうことか樹木さんに
「あんなに嫌がっているんだから別れてあげなさいよ」と裁判で告げたのですが、
樹木さんは譲らず結局勝訴し、お二人は最後までご夫婦でいらっしゃいました。

今思えば、この裁判、樹木さんが頑張って下さり、勝訴してよかったですよね。
それじゃなかったら、あとに続く妻たちは夫の勝手な振る舞いに翻弄されかねません。
変な前例にならなくて本当によかったです。

この時うちの祖母がTVを見ながら「こんなにバカにされてまでしがみついてみっともない」
的な発言をしていたのをよく覚えていて、
私は子供心に「毎日働きもせずパチンコに行く夫にしがみつくあんたも同じじゃん?」
と思ったものでした。

樹木さんご夫婦は、壮絶な関係であったと拝察しますが、
老後は穏やかに過ごされたようで、
「そうそ!夫婦って本当に分かんないもんよね」と心から思っています。
さんざんギャンブル問題で離婚だなんだと大騒ぎしても、
案外老後は仲良く穏やかにやってます・・・なんて人も多々見ています。

私は、ギャン妻たちに是非とも樹木さんを見習って欲しい!と思うところがあります。
と言うのも、ギャン妻は離婚を選ぶ人もいますし、
例え夫が回復しなくても、そのまま一緒に夫婦でいることを選ぶ人もいます。
どっちでもいいのです。正解なんてないのです。
大事なのは自分の気持ちで、自分の気持ちがわからなくなっている妻たちに、
ちゃんと自分の気持ちの奥底をのぞきこめるだけの、心の体力を自助Gなどでつけて欲しいのです。

そしてですね、大切なのは人に何と言われようと、人がどう思おうと、
優先すべきは自分の気持ちであって、自分の気持ちに正直に生きることを、
恥じる必要などないのです。
特に「別れない」という選択をするなら、それを堂々と言って、
そっちの方向に進めばいいのです。

ダメなのは「好きだから、別れない」という気持ちを恥じて、
「別れられない自分」を自分で責めていること。
そしてそんな自分を誤魔化し取り繕いたくて、
「離婚してもいいんだけど、でも子供がね・・・」
などと言って、もっともらしい理由づけをすることですね。

こう言うの聞くとイラっとして「別れられるなら別れたら?」と冷たく言い放ち、
「本当は別れたくないクセに、強がんのやめな。」なんて、
ぐさ~っと本質をついちゃうので、みんなに怖がられてるんですけど、私。

でも、我々庶民のギャン妻は、樹木さんのような有名人なんかじゃありません。
TVでインタビューされることも、自分たち夫婦の問題を日本中に放映されることもありません。
樹木さんは、日本中のそれこそ裁判官からうちの祖母のようなギャン妻にまで、
「すがりついてみっともない」と言われても、別れなかったんですよね。

それなのに誰も気にしない、庶民であるギャン妻が、
一体何を気にする必要があるのでしょうか?
あなたの選択など、だれも興味ないです。どうぞ自分で決めて下さい。
そして決めたら、その中でいかに自分らしく生きていくか、
それは是非とも応援させて貰いますよ!

自分の選択に自信を持ち、恥じることなく、ゆるがない。
大切なのはその「自分に対する正直さ」じゃないかなぁと思うんです。
「一緒にいたけりゃ一緒にいなさい!ただし、干渉も尻拭いもしなさんなよ!」
ってことですよね。

人生と言うのは、終わってみるまで分からないもんですよね。
破天荒な内田さんだって、若い頃の考えのままじゃない。
今のご夫婦の様子を見ていたら、
樹木さんの選択を笑う人なんか誰もいないです。

そういう生き様を含めて、本当に大好きな女優さんでした。
もっともっと名語録を残して、私たちギャン妻に教えを諭して欲しかったです。

残念で、残念で・・・・
芸能人が亡くなったことで、こんなにショックなことって他になかった気がします。
合掌

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