神戸でのイベントと・・・訃報です

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この週末、自助グループのイベントに参加して参りました。
今年で3回目となる、神戸での宿泊イベントなのですが、
あまりの楽しさから、年々参加者が増加しています。

修学旅行のように、40人余りが、せんべい布団を敷き詰めて、
寝転ぶさまは、圧巻です。
夜中まで、おしゃべりに花が咲き、
涙あり、笑いありの2日間となりました。

私も、多くの仲間とここ最近の出来事を分かち合って貰ったり、
逆に仲間のモヤモヤを聞いたりと、
充実した時間が過ごせました。

仲間との再会、濃い時間の過ごし方は、
12年たった今でも私のエネルギー源です。

そんな中で、とても悲しいお知らせを知りました。
皆が寝静まった頃、ある仲間と話をしていたのですが、
「りこさん実はね・・・」と、
先月また仲間の自死があったことを、知らせてくれました。
明日、そのご家族が来るから、りこさん話をしてあげて・・・と。

その仲間とは、私が考える会のセミナーを明石で開催した際に出会っており、
大変ショックを受けました。
こうして仲間と出会い、繋がりがありながらも、
回復しきれずに自死を選ぶ。

それだけ依存症からの回復は決して簡単なものではなく、
回復プロセスには大変な痛みを伴うのです。
家族・本人両方の立場を経験した私には、
その両方の辛さや悲しさが分かります。

私自身、ギャンブルが止まった後、買い物依存になり、
その買い物依存から抜け出すのに4年もの歳月がかかりました。
鬱になり、クリニックに通い、抗うつ剤、精神安定剤、睡眠薬のお世話になっていました。
常に死と隣り合わせで、毎日死ぬことばかりを考えて生きていました。
最後の1年間は、借金も完済し、物質的な問題は何もなくなっていたのに、
それでも死しか道はない・・・と思っていたのです。

あの苦しみを知っているだけに、
死を選ぶ気持ちも分かります。
けれどもなんとか回復できた私は、
回復できること、回復の道を伝えたいのです。

時間もかかるけれど、回復を信じて欲しい。

「仲間に死んで欲しくない」
それが私の活動に情熱を傾ける、原点です。
でも、私たちの力だけでは小さすぎて、
こうして毎年多くの仲間達が、自死を選んでいきます。

このブログを読んで下さっている皆さん、
私と繋がっている、自助グループの仲間は、
それこそ1500人位の規模でしょう。
536万人いると言われている、ギャンブラーのうちの、
たった1500人です。

それなのに、こうして度々自死による訃報をお伝えしていることを、
どう思われるでしょうか?
今年に入り、訃報をお伝えしたのはこれで3人目です。
日本のこれまでのギャンブル政策は、間違っていると思いませんか?
これほど多くの人たちが死を選ぶ産業に対しなんら対策を課さず、
手助けは民間のしかも我々のような弱小ボランティアに頼りきっている現実を、
どうお考えになるでしょうか。

どうか声をあげ、力を貸して下さい。
野放しのギャンブルは、多くの命を奪っているのです。

今日のイベントに、自死した仲間の奥さんと息子さんがいらしていました。
固く握手をして、Hugして声をかけさせて貰いました。
奥様は「まだ実感がなくて・・・」と言っておられました。

そして何度もご家族から聞いた言葉。
「やっと楽になったのだと思います。」
そうおっしゃっておられました。
事実その通りなのだと思います。

けれども私は、仲間の自死を耳にするたびに、
力及ばない自分に罪悪感を感じています。
仲間が死をもって伝えてくれたこの病気の現実。
仲間の死に必ずや報いたいと思っています。
社会のギャンブルを取り巻く仕組みを変えたい・・・
そう強く願っています。

無念でなりません。
ご冥福をお祈りいたしております。

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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