引っ越しは最大の防御です

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最近、ヘヴィな案件を次々と引き受けておりますが、
こういった案件は「とりあえず病院に入った」「なんとか施設に行った」
となっても、まだまだそこからが長い戦いになります。

とりあえず家族と分離できたことで、家族はホッと一息つけますが、
これで安泰なんかでは全くないです。

病院もいつかは退院する訳ですし、施設なんかは簡単に飛び出せます。
ですから彼らが「あぁ、もう回復するしかない」もしくは
「自立するしかない」と、腹落ちするように環境を整えなくてはなりません。

いいですか~、ご家族の皆さん。
あくまでも「環境を整える」のが重要であって、
「はっきりと言って聞かせる」なんていうなまっちょろいことでは、
こんな重篤な案件は解決しませんよ。

ところが重篤な案件を抱えたご家族ほど、
家族の病も重篤な訳で、とにかく頑固です。

まず、帰ってくる家があったのでは、回復はなかなか出来ません。
帰ってくる家があったほうが、回復できるケースというのは、
例えば、ギャンブルなら、
「ギャンブルの問題以外は、良い人で仕事も真面目。
家族関係も良好で、子煩悩」
こんなケースですね。

不思議なんですけど、ギャンブル依存症の家族の中には、
家族関係は良好というケースも多々あります。
うちがそうでしたが、なんせギャンブルはやってることが全く分からない。

パチンコの場合は、匂いで分かる・・・という場合もあるようですが、
アルコールのように、酩酊状態になると暴力をふるう、暴言を吐く、
というようないわゆる身体的な酔いがないので、
私のように単純な奥さんだと「さすがにもうやってないだろう!」と、
信じ込んでしまって、はなっから疑っておらず、夫婦関係は良好なまま・・・
ってなことも、結構ありますね。

でも、帰ってくる家があったら回復できないのは、
いわゆるひきこもり系というか、
自立できたことがないタイプ。
仕事も続かず、友人関係も上手く行かず、学校も中退してしまい、
特にスキルもない。そして何よりも暴力的という問題があって、
家族はその暴力の恐ろしさで、長年言うことを聞いてしまっていた・・・
というパターンですね。

こんなケースは、一旦本人がどこかに落ち着いたら、
その隙に家族は、行方をくらましましょう!
さっさと引っ越すべきです。

もうね~、この私、引っ越し業者と不動産屋に表彰して欲しい位、
数多くの仲間を引っ越しさせましたね。
時には、夜逃げの手伝いもします。
「今のうちに、逃げよう!」なんて時は、デカイ車借りて、
「今から駆けつけるから!」なんてこともガンガンやりますね。
仲間に声かければ、2~3人はすぐにお手伝いも集まります。

でもって、住民票は自分以外とれないように手続きして、
引っ越し先がバレないようにする。
ここまでやっとくと、当事者も何とかなっていきますよ。

ところがこの引っ越しの決断がなかなかつかない仲間っているんですよ。
私にはそれが1ミリも理解できないです。
なんで~?一体何が一番大事なの~と思っちゃいます。

自分の息子(大体こういうパターンは当事者は息子が多い)の、
命と将来と、たかだか不動産とどっちが大事なのさ~と檄を飛ばしますね。

大体出てくるのは
「住み慣れた家」
→いやどこだって、1年も住めば慣れるから

「思い出が色々あって」
→引っ越し先で、安心してゆっくり思い出しましょう。
どこでも思い出には浸れます。

「近所に住んでる家族の反対」
→勝手に反対させときましょう

「一緒に住んでる家族の反対(夫や子供の場合)」
→じゃああとはお願いね!と言って、自分は逃げる。
(そうすると、大抵はあとから逃げてきますけど・・・)

「引っ越しが大変」
→便利屋と引越らくらくパックの合わせ技があります!

「介護老人を抱えている」
→行政と連携して、引っ越し先でも介護できるようにしましょう

で、一番厄介なのが
「どうしても老親が離れたがらない上に、名義が老親のもの」
というのがあるのですが、この場合仕方がないので、
どうしても引っ越せない場合は、私はセコムをつけて貰います。

但し、めっちゃお金はかかります。
でも、病院や施設から飛び出してきても、勝手には入れないし、
抑止効果はあります。

と、こんなことを言って、引っ越しを実現させますね。
大体、私の仲間も、この程度は共通認識としてあるので、
引っ越したほうがよい!となった場合は、
頑固な家族でも、多くの仲間に励まされてるうちにその気になります。

もしくは、それでもグズグズ言ってたら、
「じゃ、もう好きにして貰うしかないけど、だったら我々は手伝えないからね。」
と言ってひいてしまいます。
そうすると「それは困る~」とばかりに、いきなり決断できたりします。

まぁ、我々ガンガン言うし、アドバイスもとにかくきめ細かい。
不動産の物件も、アドバイスもするし、
私は、緊急時にはアパートの保証人になったりもしてますね。
家族の仲間は責任感あるので、これまで何人も保証人になりましたけど、
家賃滞納で迷惑掛けられたことなど一度も有りません。

病院、施設に入ったからってそれで終わりなんかじゃありません。
この病気は生涯続くのですから、
生涯お互いが自立できるように、そして安全に生活できるように、
作戦をたて、行動する必要があります。

まっ、大体ですね、こっちのほうがここまで熱くなって必死にやって、
「りこさん、怖~い」となって、ひかれて時に悪者になる。
でもって、何年か経って「あの時言ってた意味がやっとわかった」
なんて言われるのが常ですね!

でも私は、安泰に暮らせる結果ができれば、
その人が私をどう思おうが、どうでもよいので全然気にしません。
誰も死ななければそれで良い!

人の人生に切り込み、大きな決断をさせるのは、
こっちも勇気がいりますけど、
半端なことじゃ、この問題解決できませんからね。
腹くくってまっせ~。
だから困ってる家族も、腹くくらなあきまへんで~!
わかった~!?あなたにいってるんですよ~あなたに!(笑)

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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