アルコール法案とギャンブル法案のなりたちの違いです

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今日は、ギャンブル依存症対策法案について、
アスクの今成さんに助っ人して頂きながら、陳情して参りました。

で、ですね帰りのみちみちアルコール健康障害対策基本法の成立に至るまでのお話しとか、
アルコール依存症の対策にまつわる、様々な活動をされて来られた方々の歴史を伺い、
ギャンブルとは層の厚さ違いを、実感することとなりました。

なんせ断酒会の歴史はすでに50年以上。
そしてアルコールの市民活動の草分けであるアスクさんは、
設立してすでに30年以上たってるって言うんですから、
そりゃあもう全然違うはずですよね~。
こちとらまだ3年なんですから。

で、ですね、世の中の人をはじめ、仲間でさえも、ギャンブルだと
「自助グループと言えば、アノニマスグループのことを指すのだ」
と思っている人達がいますが、自分たちで助け合っているグループな訳ですから、
別に「無名性=実名や顔出しをせず、個人が特定されないこと」が、
絶対条件なんかじゃないわけです。
そして断酒会さんは、実名で活動されてる自助グループな訳です。

んでもってこの断酒会さんってすごいんだなぁ~と改めて知ったのですが、
50年の歴史の中で、地域の行政や病院とがっちり連携を作っていたばかりか、
地元選出の国会議員ともしっかり繋がっていくわけですよ。
だからアルコール健康障害基本法を作る前から、断酒会さんは、
国会議員にはたらきかけ、アルコール問題議員連盟という議連を作ってらしたそうなんですよ。

でもって、アルコールには、アルコールの医学会があり、
さらにはWHOが世界戦略の一つにアルコール問題を掲げた。
そこでこのタイミングを逃さず、法案を作ろうよ!ということを、
三重の猪野先生が呼びかけられ、アスクさんが事務局となって、
断酒会さんがネットワークを駆使し、この法案が作られていったんだそうなんです。

さらにすごいのは、アスクさんらが既に、
サントリーさんら業界団体と話し合える関係にあって、
業界団体が自主的にこの法案に賛同して、
さまざまな規制にも協力して、一緒に作り上げてこられたそうなんです。

それまでアスクさんらは、業界とさまざまにぶつかっているんですよ。
でも、サントリーさんら業界団体は、その問題提起に対し、
「話しあう」という選択をされたわけです。
実に羨ましい限りで、私たちも絶対に業界団体との話し合いが必要だと思っています。

だからどちらかと言えば、そんなにやる気になっていたわけでもない、
色んな議員や官僚に一生懸命働きかけて、
皆で力をあわせて、やっと成立にこぎつけた!
こんな背景があったそうなんですね。

だから法案成立の際には、皆で成立を喜びあう!
めっちゃ羨ましいシチュエーションがあったらしいんです。

対するギャンブル。
GA、ギャマノンというアノニマスグループ以外、
な~んもありませ~ん!というのが現実です。
でもってもちろんアノニマスグループは政治に働きかけたりしません。
「外部に意見を持たない」という伝統があるからです。

これはもちろん素晴らしい仕組みであり、私ももちろん、
「アノニマスグループでは、この無名性を尊重すべき!」
と、思っております。

でも、海外などでは、やはり別団体が様々にあり、
アノニマスグループとそうではない市民団体と、
両方掛け持ちでやって、発信と回復プログラムを分けて、
活動してこられたりしているわけですよ。

でもそれが日本のギャンブルにはない。
あっても小さい団体が地域に点在しているのみ。
そして医療も殆ど関わって来なかったため、
専門の医学会もない訳です。

さらに、法案が提出されるかどうか、
なんとか可決されるまで持っていけるかどうか、
ハラハラドキドキだったアルコールに比べ、
ギャンブルは言い方悪いですけど、
「IRの言い訳」としてこの法案作られることになったという側面がある訳ですよ。

で、法案を必死で働きかけ、なんとかここまで持ってきた市民団体が、
実にギャンブル依存症問題を考える会しかなかった!という現実。

そしてじっくり内容を練ったり、相談したり、考えたりする時間も与えられぬまま、
今秋、だされるIR実施法までに、なんとか対策法案を形あるものに!
という思惑があるため、ものすごく急ピッチですすめられているわけです。

この状況ご理解頂けるでしょうか?
あまりの孤軍奮闘ぶりをみて、アスクの今成さんが、
様々に色んなことを教えて下さり、必要な人に繋いで下さって、
なんとかかんとかやっている次第です。

断酒会さんが50年、アスクさんが30年の歴史を背負って、
さらに医学会、産業界のタッグを組んで作り上げた法案作りと同じようなことを、
設立からわずか3年、会員数およそ300人程度の当会が、
必死になってやっている・・・これがどんだけしんどいことか、
ご理解頂ければ幸いです。

しかも業界からの協力ゼロ、かつ、管轄省庁はいくつにも分かれた巨額産業。
関わる人々は大金持ちで、政治家とのつながりもぶっといわけですよ。
我ながらようやってるわなぁ・・・という気持ちになります。

ホント会を作ったときなんか、こんなことになるとは、
1ミリも思わなかったですからね~。

ですから、ギャンブラーの皆さん!
是非とも、これからアノニマスグループの枠だけでなく、
社会を変えていく働きを、御一緒に致しませんか?
様々な団体が立ち上がって、組織を作り、共同できれば幸いです。

よく「法案なんか作ったって何も変わらない」という人がいますが、
それは全然違います。
法律で社会が急激に動くわけではないですが、
法律で社会は緩やかに変わっていきます。
ある意味法律により市民権を得る部分があるのです。

そして法律は作って終わりなんかじゃありません。
作って運用し、改正し、やってみて、再び改正し・・・
ということを繰り返し育てていくものです。
ある意味「法は生き物」なのです。

ですからギャンブル依存症対策法案はこれからが大切です。
ここからスカスカしている、社会資源を育て、運用していかなくちゃならない訳です。
ですから実名、顔出しで声をあげて活動しよう!
という方がいらしたら、是非やりませんか?
団体を立ち上げるノウハウが必要でしたら、
私の小さな知恵で良ければいつでもお貸しいたします。

そしてこれからは、アルコール、薬物、ギャンブルは、
大同団結をして、依存症者が生きやすい社会を作っていかなくてはならないと思います。
既に、アルコールのアスクさん、薬物のやっかれんさん、ギャンブルの当会と家族側は連携ができてきました。
当事者も、アルコールの断酒会さんやマックさん、薬物のダルクさんらは、既に連携があります。
ないのはギャンブルの当事者団体です。
私も夫と共にこれから種をまかねばならないと思っています。

ギャンブラーの仲間の皆さん、どうか是非、今こそ行動して欲しいです。
宜しくお願い致します。

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
ギャンブル依存症対策を求める10万人署名プロジェクト

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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