ギャンブル依存症者の闇です

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ギャンブル依存症の支援をやってると、
本当に面倒くさい事ばかりです。

考え方が凝り固まっていて、融通がきかなかったり、
自分の考えと違う人がいると、全否定できたり、
人を変えようとしたり、批判したり、
まぁそういう生きづらさは、誰しもが抱えていて、
なにもギャンブル依存症者だけじゃないかとは思います。
Twitterなんか見てると、世の中こんな人ばっかですもんね。

ただ、最近だんだん気がついてきたんですけど、
スリップを繰り返している人ってのは、
当然我々の言葉で言う「霊的に病んでいる人」な訳じゃないですかぁ。
じゃあそれって具体的に言うとなんなの?ってことですけど、
そしてそういうスリップを繰り返す人ほど

・等身大の自分が認められない
・人の痛みがわからない

この闇から抜け出せないんです。
自分もそうだったからわかるんです。

まず、この等身大の自分が認められないって言う人はですね、
大抵は頭でっかちなんですね。
で、「自分はやればできる!」と思っているか、
「自分だったらこうするのに」と他者を攻撃しているか
このどっちかですね。

実際、自分が一歩を踏み出してみると、自分の小ささとか、
実は何も知らないこととか、上手く出来ない事とか、
そういうことにぶち当たる訳ですよね。
大したことない自分に気がついちゃう。
でもって、ここで踏ん張れるかどうかがスリップの境目な訳です。

そういう時に自助グループに繋がっていて、
かっこわるい自分をさらけ出せたり、
どうしたらいいか?教えを乞えたりすると、
持ちこたえられるんですよね。

私もホントそんな感じでした。
今もそうですけど、人生って分かんないことだらけの中で、
手探りでやっているような状態じゃないですか。

で、なんとかぎっりぎり持ちこたえられてきて、
最近ですよね
「あぁ、今の自分てこんなもんなんだ。人って成長しながら生きるんだなぁ」
って分かるようになって、その自分の成長過程に付き合えるようになったんですよね。
昔は、自分の実力のなさが嫌で嫌で、恐くて、辛くて、持ちこたえられなかったんです。

だから批判に打たれ強くなりますよ。
弱さを知ってる人、自分の小ささを知ってる人は、
コケようが、間違えようが、「まっ!それが今の自分だし。」って、
あっさり認められちゃうからです。

で、もう一つの問題「人の痛みが分からない」
これはですね、もうたった一つのことですよ。
これが回復しないとスリップし続ける・・・
それは「他人の金に無頓着」ってことです。

つまり金銭的埋め合わせをちゃんとやらないと回復しないです。
それがハッキリわかってきました。
私が、回復できた一番の幸せ。
「親が金を貸してくれるような人ではなかったこと」
この一言ですね。

そもそもギャンブラーですから金銭感覚は狂ってます。
今も、あんま直んないですね。
こんだけ活動に全てぶっこんじゃうんですから(笑)
でも、そのツケは全部自分ですから、まいっかと思ってます。

ところが
「散々人の金使ったのに、そこに対してお詫びしようという気持ちがなく、
金銭を返そうともしないどころか、いまだに金を出させようとする。」
こんなタイプはまずコケますね。

先日、グレイスロードの佐々木代表から、こんな話を聞きました。
佐々木も私も、親には頼れない、仕事をすればそれなりに稼いでくる、
でも依存症で全部使っちゃった!という共通のタイプです。

グレイスロードでは毎夏入寮中に親御さんの協力を得て、
サマープログラムをやっていて、海に行ったり、キャンプしたりって
経験をして貰っているんです。
他の施設の人と合流し、仲間を増やすことや、
依存症がとまったあとの余暇の過ごし方を学ぶ機会にして貰うんですね。
割とどこの施設でも、こういうレジャープログラムは取り入れていると思います。

で卒業した後に
「すっげ~楽しかったけど、またキャンプあるんですか?」となる。
「お~、よかったらおいでよ~。仕事休み貰えるならさ~。」
と、当然誘うじゃないですかぁ、そうすると

「はい!じゃあ親が金出してくれたら行きます!」

「・・・オイオイ!」

ってな突っ込みが入るんだそうです。

あ~!わかるわぁ~と、思いながら聞いたエピソードトークでした。
もうね~、これって本人もそう言うタイプなんですけど、
親も本人の自立をさせきれないんですね。
ホント子育てをするなら「金銭的自立」
これを教育するのが一番大切じゃないかと思っちゃいます。
良い学校に入れるより、こっちの方が後の人生をよっぽど左右しますよ。

この金銭的自立があるかどうかで、
依存症を発症した人の予後は大きく違っている気がします。

もちろん「稼ぐ」ということが難しい人の場合は、
別の手立てが必要なんですけど。

「親は金では頼れない!」
その苦労が、人の痛みのわかる人に育てる秘訣だと思います。

みんなそれ逆やってるんですよね~。
「人様に迷惑をかけちゃいけない!」
ってな親の思いで尻拭いばっかしてるから、
「人様の痛みがわからない」
人に育っちゃうんですよね。

学校でたら、自分で稼いで自活する!
この経験と自覚こそ、東大出るより自分を助けてくれます。

「稼げるのに、自立できない」
こんなギャンブラーに、日々ほとほと手を焼いております。

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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