あくなき人間の欲望についてです

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依存症の支援をしていて「うっとうしいわぁ」と思うのは、
一般の人の「欲」です。

それも、金銭欲、名誉欲、権力欲といった、
分かりやすい欲望じゃない。
おそらくご本人全く意識していない、
むしろ「美点」と勘違いしている欲です。

その最たるものが、「良い人に見られたい」欲望。
これがホンマうっとうしいです。

依存症なんてね、支援しない支援を学ばなきゃならないのに、
そういう自分が許せず、また耐えられないんです。
だから「手を出さないで欲しい」と言っても、
「そうは言っても、お金もなく、行くところがなかったら困るだろう」
と、援助してしまう人。

大体こういう人は
「優しくて親切な人に見られたい」
という欲望に取りつかれています。

ホント一般人でもいます。
「この人病んでる・・・」と思うレベルの、
余計な手出しがやめられない人。
他人の目、他人の評価、自分がどう見えているか?
が、気になってしょうがないんですよね。

そして次に困っちゃうのは、「必要とされたい、頼られたい」という欲望ですね。
日本の中小企業の社長に多いのが圧倒的にこのタイプ。
今も、横浜で1件抱えてる案件が、このタイプの社長で、
ギャンブラーの社員が、度々使いこみしているのにクビにしない。
「もう一度チャンスをやる!」と言って、お金の管理を始める人。

家族が「やめてくれ!クビにして欲しい」と頼んでも、
「俺が何とかしてやる!」と、言うことを聞いてくれないタイプ。
本当に心から疲れます。
自分が、管理コントロールすることで、感謝され、
難問を解決したHeroになりたい・・・
そんな甘い夢を見るのはやめて欲しい!と思います。
よっぽど自分の家庭で相手にされていないのでしょうか?

そしてこの欲望に連動しているものに、
「人を思い通りに支配したい!」という欲望があります。
これが我々でいう共依存ですが、
これがまた共依存じゃない人はこの世に居ないんじゃないか?
と思う位、一般人にもはびこっています。

そもそも「思い通りに支配できる!」という幻想が人間にはあるわけで、
だからこそ、世界中に独裁者の例は枚挙にいとまがなく、
モラハラ、パワハラもなくならない訳ですよね。

ギャン妻に「あれが悪い、これが悪い」と的外れなアドバイスを指図してくる舅姑。
ギャンブラーに泣きつかれ、しゃしゃり出てくる第三者。
家族の要望は一切聞き入れず、自分のやり方を押し通す弁護士。
自助グループと自分のやり方が違うと、自助グループ非難を始める医者。

もうありとあらゆる所にこの、「人を自分の思い通りにコントロールしたい!」
という欲望にかられた人達の地雷がゴロゴロしていて、
実は、依存症支援の多くの時間を、この第三者をどうかわしていくか!?
ってことに費やされたりしています。

そしてそういう自分のあくなき欲望に気が付いていない・・・
無自覚な上に、
「親切で面倒見の良い俺」
「俺が何とかしてやる」
「自分のやり方に間違いはない!」
と、欲望の美酒に酔っ払っちゃってるんですよね。

ソクラテスじゃないですけど、我々家族もそりゃあ病人ですけどね、
自分が「知らないってことを知っている、
自覚があるだけ、ずっとずっとマシです。

でまぁこういう人って、大抵の場合私なんより数段力があるし、
権力も信用もあるんでね、ホント私なんぞ、
下手にでながらぺこぺこ頭を下げ
「社長、有難いんですけど、依存症という病気はですね・・・」
「先生のご意見も分かるんですけど、依存症の場合はなかなかそれだと難しくてですね・・・」
とイチから説明し、最後は家族の泣き落しで手をひいてもらう。
こんな茶番劇を何十回と繰り返し、消耗しています。

ほんっとに、もう心から願いたい!
「依存症の正しい知識を、国は全力をあげて啓発しろ!」

いやマジで、役にもたたない、
「もしも北朝鮮のミサイル飛んできたら」なんてCMより、
依存症の啓発CM作った方が、よっぽど日本の国力上がるから!
過労死する前に、是非とも宜しくお願い致します。

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三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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