「甘え」を落とし所にするのは危険です

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昨日のブログをアゴラさんに掲載して頂きましたので、
まだお読みでないかたは是非ご一読下さい。
清水アキラさんは家族会に繋がるべき

この事件でも「2世は甘えている。だからこんな事件をおこすのだ」
と盛んに言われていますが、本当にそうでしょうか?

私は、著名な方の息子さんや娘さん、大企業・中小企業の跡継ぎなど、
様々な方のご相談に関わりますが、
「この親は甘くて甘くてどうしようもないな・・・」
なんて人には出会ったことがありません。

どんな家庭でも皆さん教育方針がありますし、
子供には、自立して欲しいと願っています。
ただ一様に共通しているのは、家庭内で何か問題が起きた時に、
「どうしたらよいのかわからなかった」
と、対処法を知らないために、問題を悪化させています。
一体、何故なのでしょうか?

それは社会やメディアが思考停止しているからだと思っています。
特に依存症の問題に関しては、
不可解なことが沢山起こります。

かつてはスポーツに打ち込んでいた青年が、突然パチンコにのめり込んだり、
勉強に打ち込んできた娘が、摂食障害で命を落としかけていたり、
ごく普通の子供たちが、ゲームに夢中になり、取り上げたら暴れ出したり、
と、どんなご家庭でも身近に起こりうる問題なのに、
これらの問題が起きた時の原因が全て、
「親の育て方が悪く、甘えさせてからだ。」となり、
そして解決策は、
「腹を割って話しえ。」
と、落とし所をつけられてしまう・・・これが現代の日本の現状です。

そんなばかな!と思いませんか?
世の中様々な考え方、親の気質があります。
一つとして同じ家庭などないのですから、
全員が甘やかして育てた!などと不可解な現象が起こる訳がないのです。
ところがその様々なご家庭で、同じような問題が起きているのです。
それは何故か?
それこそが「病気」の証明だと思いませんか?

金持ちでも、貧乏でも、頭が良くても悪くても、
様々な個体差があっても、病気になったら皆、同じ症状が現れます。
だから病気なのであって、その解決策に有効な原因と解決策を、
社会は流布すべきです。

例えば「糖尿病」になった場合。
食べ過ぎによる肥満が一因にあったとします。
その場合、原因を「甘えてるからだ!」
解決策を「家族でよく話しあえ!」と言うでしょうか?

原因は「カロリーオーバー」。
解決策は「食事制限と適度な運動」となりますよね。
そこに甘えがあろうがなかろうが、そんなことはどうでもよい。
これからやるべきことを明確に伝えることが大切な訳です。

依存症も全く同じなのに、役に立たないどころか、
問題を悪化させ、しかも潜在化させてしまう、
「甘え」と「腹を割って話し合え」の一辺倒。
社会もメディアもそれを流布することがいかに危険かが分かっていません。

原因は「ドーパミンの機能不全という病気にかかった」
解決策は「家族、本人共に支援者に繋がり、リハビリをして少しずつ改善すること」
必要なのはこういう役に立つ情報です。

社会もメディアも依存症に関しては知ろうともしない。
あまりに不勉強であるばかりか、
自分たちの「罪」にも気が付いていません。

あなたが責めた一言で、
「やはり自分が悪いのだ」と、自分を責めどこにも繋がらず、
命を落とした人がいる・・・それが現実なのです。

自分の道徳的優位性を満足させるために、
「甘え!」という言葉をふりかざすことをやめて下さい。
それは、人を殺す言葉の兵器なのです。

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