笑うことはゆるされない・・・です
依存症のご家族の相談を聞いていると、
何故、自分をそんなに追い込む必要があるのか?
と思う位、自分たちを罰している人達がいます。
例えば、暴力、暴言、脅しなどにさらされ、
どうにもならなくなり、親御さんが家を出た・・・
というケースがありますが、そんな時に何故か親御さんの方が、
安全な居場所を確保せずに、車上生活をしていたりします。
そんなことをしていたら、下手するとエコノミー症候群で死んじゃうので、
私はすぐに家具付きのウィークリーマンションに避難するよう指示しますが、
何故、自分たちはお金がないわけではないのに、
有効なお金の使い方をしようとしないのか?イヤ出来ないのか?
それはひとえに「こうなったのは自分のせい」と思っているからに他なりません。
だから苦しんでいる子供を放っておいて、
自分たちが楽になってはいけない・・・と思っているんですよね。
この人間の心の動きってすごく不思議ですよね。
「自分のせいだ」「自分は楽しんじゃいけない」「笑っちゃいけない」
と思うようになります。
例えて言うなら一般の人達も、国内で大震災があった時など、
東京で楽しんでちゃいけないんじゃないか?
そんな気持ちになれない・・・
ってことは普通にありましたよね。
あんな感じを思い浮かべていたくとちょっと想像がつくのではないでしょうか?
私もそう感じていたこともあるし、今も仲間の自死などに出会うと、
そう思ってしまう部分があり、いつまでたっても完全にはぬぐいきれないので、
その気持ちも分かります。
時々、「あたしゃ、自分を許せなくて、こんなに働いているんじゃないか?」
と思うこともあるくらいで、本当の所はよく分からないです。
でも、自分もそっちに引っ張られることがあるけれども、
この考えは間違っているんですよね。
自分が辛く苦しく、余裕がなかったら、人なんか助けられない・・・
それは昔から言われている永遠の真理だと思います。
病気の真っ最中に、病人を助けることなんかできないですもんね。
だから普通の人達が、もし依存症のご家族に出会い相談を受けることがあったら、
1)どこか支援団体や自助グループに繋がること
2)当事者はどうあれ自分たちは安全な場所に身を置くこと
3)自分の人生を楽しむこと
この3つをサポートしてあげて欲しいなぁ~と思います。
但し、この3つは必ず1)から順番にやることが大切で、
一気に3)まではいかれません。
焦らずにご家族がそう思えるまで、サポートしてあげることが大切で、
特にサポーターも一人で抱え込まないで欲しいです。
私だって絶対に一人で抱え込んだりしないし、できないです。
必ず、自助グループか家族会の力を借りています。
時々、関わっている人が一人で抱え込んだ挙句、
その人が、まだ準備のできていないご家族を変えたくて変えたくて
焦った挙げ句、我々の所に来て、なんとかしようとする・・・
こんなパターンがあるんですが、これは絶対にうまくいきません。
最初の頃私も巻き込まれてしまいましたが、
最近はこんなパターンの時は、
「まずあなたが手放して下さい。」
と伝えるようにしています。
家族も支援者も、自分が一緒になって苦しくなったらダメなのです。
自分たちがお構いなしに人生を楽しめるようになったら、
当事者も回復するのです。
罪悪感に負けないようにしなくてはなりません。
心配、恐れ、不安といったネガティブな感情には依存性があります。
いつもそのことを考えていないと不安・・・という悪循環です。
問題は解決せず、益々ひどくなるのに、
それをやっていないと不安になる、依存症者と全く同じです。
どんなに当事者が辛い状況であっても、
家族は笑うのです。
笑うことはたやすいことで、
そうすると自分だけがずるいような気がしますが、
それは誤解です。
愛する人が苦しんでいる時に、自分だけが笑うことは、
相当辛い努力をしなくてはできないのです。
そしてそれこそが真の愛情なのです。
クリックでランキングがあがります。
にほんブログ村
依存症 ブログランキングへ
現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!
[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)