呆然!とんでも対応の医療者です

公開日: 

このところギャンブル依存症の対応に関して、
医療・行政と我々が扱っている案件が、
あまりにかい離していて、最近は茫然自失、絶望しか感じていません。

実は、この度もとんでもない話が飛び込んできたんです。
プライバシーに関わるので、あまり細かくは話せないですけど、
ざっくりと概要だけ書きますが、
これはもう依存症にちゃんと長年関わってきて下さった先生方なら、
絶対我々に同情してくれるはずです。

相談は当事者の親からで、本人は仕事があまり続かない状態で今は完全にニート。
でもって、親に毎日お金をせびっている状態ですね。
そしてお金を出さないと、包丁を持ち出す。
ある日、家に帰ったら、家の包丁が全て壁に突き刺してあったそうです。

そんな状況で怖くて仕方ない。
地域の精神科に通ってはいたけれど、
5年から6年の間処方されるお薬は、
抗不安剤と睡眠導入剤。
一向によくならないので、本人はもう医者にも行かなくなったとのことなんです。

でもって、お母さんは一人奔走して、
依存症で有名な病院を含む他の医療機関、保健所、精神保健センター
ありとあらゆるところに相談に行っているんですけれども、
そこで言われることは全て同じ。
「本人を連れてこい。」
「脅かされてもお金を出しちゃダメ。」

だ~か~ら~、家族だってそうありたいと望んでるけど、
それがなかなか出来ないのが依存症の家族なんだから、
しっかり自助グループに繋いで下さいよ!(怒)
自助グループに通っているうちに、家族も段々境界線が作れるようになるんだから!!!
その方曰く、どこに行っても自助グループなんて教えてもらわなかったってことなんですよ。

でも、ある日依存症で有名な病院に行ったら、
ギャンブルの自助グループのチラシが目に止まって、
やっと繋がってくることができたんだそうなんですね。

さらにたまたま私が出たTVを観たとのことで、
そのことを仲間に話したら、私の電話番号を教えてくれた
ってなことで、電話がかかってきて、
「んじゃ、会って話聞こうか!」ってことになったんですよ。

でもって、何が驚いたって、
もともと通っていた精神科に本人が通わなくなっちゃったものだから、
今度は親が通ってたそうなんですね。
で、事態が全然よくならないってことを医者に話したら、
なんとその医者
「食事に睡眠薬を混ぜて出して、眠らせてしまえ」
と言って、液体になってるセレネースって薬を処方してきたって言うんですよ!

で、お母さんは言われるがままに、
食事に混ぜてセレネースを出しているんだけど、
怖くなってきちゃった・・・というんです。

「そりゃあ~そうでしょうよ!」
と私もびっくり仰天しちゃって、
そんなこと許されるの???とめちゃくちゃ疑問です。
これOKなんですか?

でもって「事態はそれで改善したの?」と聞いたところ、
寝る時もあるし、寝ない時もあって、
事態は特に変わっていないとのこと。

そもそもセレネースってネットで見ると、
眠剤でもないようですけど、
でもとにもかくにも、本人の薬を母親に処方して、
ご飯に混ぜて食べさせるってこと自体がありなんでしょうか?
こんな話は初めて聞きました。

で、まずは、とにかく世帯分離して、
本人には生活保護で一人暮らししてもらったらどう?
とアドバイスしたら、それも考えて相談に行ったけど、
「親に財産があったら生活保護は出せない。」
「生活保護のことは親類全てに話さなきゃならない。そんなの困るでしょ~」
と、この担当者もめちゃくちゃなこと言って、なんの力にもなってくれないんだそうです。

もう、めちゃくちゃ・・・
ここ決してそんな小さな地方都市じゃないんですよ。
聞いたら絶対「えぇ~!あそこで~!?」とびっくりするはずです。

もう、なんか本当に疲れちゃってます。
日本中、ギャンブル依存症対策全く進んでないです。
この状況で、この予算規模で、こんな現実で、
本当にもうすぐカジノができちゃうんでしょうか?

我々、こんな案件ばっか関わっていて、活動資金も貰えなくて、
折角、公益になりましたが、精神的にも金銭的にも、もう潰れちゃいます。
注目が集まって、相談は増えるけど、困難事例の受け皿も連携も全然ないんですから。
とにかく民間に予算をつけて下さい。
それも一刻も早く!誰か~お願いします。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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