松本俊彦先生らの研究報告会に参加してきた件です

公開日:  最終更新日:2018/03/11

本日は、松本俊彦先生らが厚労省科研費の「合同研究成果報告会」が開かれたので、
私も勉強のため、参加させて頂きました。

普段、研究会などにめったに参加できる時間がないのですが、
本当にたまたま空いていたので、ギリギリに申し込みさせて頂きました。
薬物の研究全般なのですが、これがとても勉強になりました。

まずお目当ての、松本先生の
「保護観察の対象となった薬物依存症者のコホート調査システムの開発とその転帰に関する研究」
ですが、あたしゃ最近やっとこのコホート研究って知ったんですよね。
研究に「前向き」とか「後ろ向き」とかあって、なんじゃこりゃ?って思いますけど、
なんかこう知らないことを覚えていくって、やっかいだけど、ちょっと楽しいですよね。

で、この発表は、松本先生らがなさっている
「Voice Bridge Project(声のかけ橋プロジェクト)」という、簡単に言えば、
精神保健福祉センターで、保護観察の人に定期的にお電話入れて情報収集するってなことらしいんですね。
ポイントは保護観察の終わりの頃に精神保健センターに繋ぐんじゃなくて、
最初からセンターに繋いでおいて、保護観察から地域への繋ぎをよくする、
だって保護観察が切れたら、わざわざ精神保健福祉センターにも行きたくないですよね。
でもすでに関係ができてたら、万が一再使用してしまっても、
繋がりのあるセンターに相談するってことも
可能になるのでは?ってことで、考えられたのだそうです。

で、これヒントになったのは、自殺対策だそうで、
自殺未遂で救急救命に搬送された人達で、その後どこにも繋がらなかった人達に対して、
3,4カ月に1度定型文のお手紙を出している群と出していない群にわけて追跡調査してみた所、
あきらかにお手紙を出していた方が、再企図率が低かったそうなんです。
で、それを適用してみたってことでした。

この研究やってみたメリットとしては、
精神保健福祉センターと保護観察所の連携がよくなったんだそうなんですね。
さらに、薬物の人達の困り事って、実は薬物問題よりも、
経済状況とか、家族のこととかそういった日常的な問題だったりするんだそうです。
と、そういうことが分かってくる。

最終的には、どのような人達が、ハイリスク群なのか?とか
一部執行猶予がいいのか?全部執行猶予がいいのか?とか、
そういうことが検証できることを目標にするんだそうです。

なるほどなぁ~って思いました。
いつも思いますが、こういう研究ってアイディアですよね。

んで、この発表で実はめっちゃ「わかる~!」って思ったことがあったんですけど、
この研究に同意してくれる人達に、話しを持っていくのに
「研究に参加して」って言うとあんまり参加してくれないけど、
「調査に協力しないか?」と言うと、協力してくれるって言うんですね。
会場の先生方みなさん笑っていましたけど、私はその感じ感覚に、むしろ泣きそうでしたね。

もうね~、依存症の真っ最中なんて自尊心がズタボロなんですよ。
自分がなんのために生きているのか全く分からないし、
自分が生まれてきた意味もずっとわからないまま生きている、
そうなるとですよ、ちょっとでも生きている意味を与えてくれるなら、
「一生懸命やろう!」なんて思っちゃうんですよね。

あと、横浜の精神保健福祉センターの白川先生が、
生活保護のケースワーカーさんにアンケート調査した発表も、
とても興味深かったですね。

やはり3年でころころ担当者が変わる、
生活保護の窓口の方々に、依存症を理解して貰う、
とくに依存症というのはお仕着せ支援じゃあんまり上手くいかなくて、
助かった人がまだ苦しんでいる人を助けるという
このリカバリーという仕組みを分かって貰うのが、大切だな~と思いました。

じゃないとワーカーさん達は「公的な施設の建設」ってなことを望んでいるそうで、
いやいやそんなことしたら、公務員の安心のために、
回復者の就労先である回復施設が潰れちゃいますよね。
それについては松本先生がガツンと「脱!箱もの行政」
を、おっしゃってくれたので、「さすが~!」と、
施設関係者の皆さんは大きくうなずいておられました!

あと嶋根先生のダルクの追っかけ調査も興味深かったです。
是非とも、ギャンブルの回復施設でもやりたいです。

あっ!そうそう、実は私松本先生の研究室の末席も末席の研究生に加えて頂いたんです。
ギャンブルは、薬物のように、現場を交えた研究を出してくれるような、
そんな先生方が殆どいませんから、学会などの研究発表が
センターや医療でやってるテキスト系心理教育の効果測定ばかりになるんですよね。
その路線かえていかないと、ホント地方のGAが潰れちゃうよ~と、
悲壮感を抱いており、先生にお願いした次第です。
薬物依存研究部メンバー紹介

研究生になるのに、履歴書を出す時「資格」の欄に書ける事なくって困っちゃいました。
私にあるのは、運転免許と、船舶の特殊と1級だけ。研究に1ミリも関係ないです。
仲間に「ね~、この場合この二つ書くのと、なんも書かないのとどっちがバカっぽい?」
と相談し、「あるなら書いといたら?」と言われ書いて出しましたが、
なんとか認めて頂けてホッとしてます!

私に研究は非常にハードルが高いのですが、
でも、誰かがやんないと!って思った次第です。
私は常々、暴言も吐き文句も言ってますが、
でも「自分の側の変えられるものは変えていこう!」と、
前向きな努力はしたいと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します!

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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