ギャンブル依存症者の頭の中です

公開日: 

先日、森田先生らと共同で開発している、
イーラーニングのモニターをしていて、
ギャンブルで頭の中を乗っ取られていた頃の、
狂った考えを様々に思い出したので、
今日はそのことを書いてみます。

良く誤解されるのですが、回復する前も今も、
頭では全てを理解してます。
でも、腹落ちしていないというか、
「それは分かっているけど、ラッキーの確率がゼロではないんだよね~」
と、それをどうしても捨てられないんですね。

つまり
「ギャンブルをやり続けたら負けることは分かってる。
だけど大穴がでるのもまた事実。
だから1回大穴をとって借金が返せたらもうやめよう。」
ということをそれこそ何年も考えてたんです。

この「最後の1回一発当てて今の問題を全て解決することに賭ける!」
という状態がず~~~~~っと続いたんですよね。
「やり続けたら負ける。だからやめる気はある、でもそれは今じゃない!」

「だってもう、これだけ莫大なお金を突っ込んだんだし、
それ以外に解決策なんかないじゃん!」
そう思っていましたね。

ギャンブル依存症者にとって、
「今まで使った時間とお金、もうそれらすべてが取り戻せないんだ・・・」
その事実に直面し受け入れることは、あまりの罪悪感で、死ぬほど怖いことなのです。

でも我々夫婦は、本当に金に切羽詰まって、
お手上げしたんですよね。
あれがもし、お金を何とかしてくれるような親がいたら、
白旗あげらんなかったですよね。

だってこっちは取り戻すことを「良い事」と思っているんですから、止められないですよね。
「家族のためにも、取り戻さなきゃ!」と思ってるんです。

そして病気を発症していると
「いつか取り戻せる」という、ゆがんだ考えが占めるようになるんです。
脳って、虐待やDVでもそうですけど、
あまりに痛めつけられると、それを守ろうと誤作動が始まるんですよね。

私の場合、
「ギャンブルには、今だ解明されていない、なんらかの法則がある。
そしてその法則を最初に解明するのは私だ。」
「自分にはツキがあるし、博才もあるし、キャリアが違う。」
「負けたらその倍を賭け続けていけば、かならず取り戻せる(バカラをやっている時」」
という考えが頭から離れなかったですね。

バクチというのはですね、常に大きくかすりもしないなんてことはありません。
パチンコもリーチまでならよくくるわけですよね?
私は競艇とかカジノでしたけど、「実に惜しい!」という時が常にあるんです。
だからハマっちゃうんですよね。

例えば、私の場合は競艇で、連複の時代だったのでこんな感じ。
3-5
5-3
3-6
6-3
と買っていて、来たのが6-5とかね。

「なんだよ~!見えてたのになぁ。」
「3の濱野谷出遅れたよな~」とかね。

これは、自分はレースは見えてるんだけど、
たまたま3号艇の濱野谷選手が、スタートで出遅れたんだよね。
そうじゃなきゃ、私の読みはあたってたのに!って思う訳です。
これのスタートの失敗が
「コース取りに失敗した」とか、
「4号艇が膨らんだから、3号艇のまくりざしが決まらなかった」
と様々な理由にすりかわり、結局負けるわけです。

「でも、自分は勝負自体は読めている!」
って、そう思っちゃうんですよね。
だから「もうすぐ大穴をモノにするはずだ!」って思ってるんです。

一方バカラっていうのは、オイチョカブみたいなもんなんです。
我が家なんぞ、子供のころから家族で花札に興じていたので、
「なんだドボンか~」とか「よっしゃ~クッピン!」
なんて、それこそ幼稚園児からやってたんですよ。
あれ、今から考えると不思議ですよね?足し算ができたのだろうか?
絵柄で覚えちゃってるんですよね~、きっと。

だから、自分はかなりのキャリアがあるから勝負勘がある!と思ってましたよね。
バカラってのは、プレーヤー、バンカーのどっちかがず~っと続いて出るのを「ツラ」
逆にプレーヤーバンカーが変わりばんこにでるのが「テンコ」っていうんですけど、
今回どっちが出たかな~ってな「罫線」ってのにメモをとっていくんですね。
そうするとその罫線に法則があるような「気がする」んです。
この「長ツラに乗れなかったのが痛かった~」とか「やっぱツラのあとはテンコなんだな!」とか。
そしてその法則を見つけるのはこの私だ!と思ってました。

今なら分かります、その不確定要素がありすぎるからバクチであって、
理論なんか効かないんだよね~ってことがです。
いや当時も分かってたんですよね頭では、でも信じたくなかったんです。

ギャンブル依存症から脱出するには、とにかくギャンブルから離れること。
ウイルス感染したパソコンを、いちいち一カ所ずつ見て回って訂正したりしないですよね。
ワクチン入れて、デリートして使う。

人間の脳は、そういう訳にはいかないですから、
とにかくギャンブルで誤作動して間違った考えで占められてる脳なんだから、
ギャンブルに触れないようにする。
それっきゃないんですよね。
そして辞めてても、ギャンブルに触れたらいつでも誤作動が始まります。

現にこうやって書いてるだけで、
「あ~、やりたいな~」って思っちゃいますからね。
危ない・・・危ない・・・

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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