山谷ドヤ街の現在・・・です
我々の仕事は、ドヤ街とは切っても切れない縁があって、
失踪した依存症者がよく潜伏していたりします。
時々、事件を起こした依存症者の面会に、
西成警察のようなドヤ街のど真ん中にある、
警察署に面会に行ったりもします。
でも、東のドヤ街と言えばなんといっても山谷ですけど、
こっちの方は、殆ど仕事で呼ばれることがないんですよね~。
なんでかな~?と思っていたら、今日ニュース番組でやっていましたが、
現在の山谷はすっかりバックパッカーと、高齢者福祉の街へと、
生まれ変わっているのだそうです。
私たち夫婦は、今から20年以上前ですが、
ギャンブルに狂っていた頃、浅草に住んでいたので、
車で、この山谷を通過することが時々ありました。
当時は、あしたのジョーで有名な泪橋のあたりに来ると、
高架をくぐるところがあるんですけど、その橋のところにでっかく、
「ここから山谷。飛び出し注意!」と書かれていて、
あたり屋が多かったのか?それとも酔っ払いがふらふら飛び出してきたのか?
その辺は分かりませんが、とにかくそう書かれているので、慎重に運転したものでした。
あの頃はまだドヤ街の雰囲気が残っていたものです。
ところが今は、当時のドヤ(ドヤって宿を逆さまにして呼んだのがはじまりです)街は、
おしゃれな安い宿に生まれ変わり、英語表記がされ、最新の観光案内が備え付けられた、
外国人バックパッカーの宿に生まれ変わっているそうなんですね。
でも、1本裏通りに入ると、まさに当時のドヤが残っているんだそうです。
そこにはもう現役の日雇い労働者の姿は殆どなくて、
かつて山谷の労働者だった高齢者が生活保護を受給しながら、
何十年も住みついているのだそうです。
だけどそこはあくまでも「ドヤ」であって「アパート」じゃないんですよ。
だから部屋代は1日2200円って言うんですね。
だとしたら月の家賃って66000~68000円じゃないですか。
決して安くはないですよね。アパート借りた方が絶対安い。
でも、何故彼らはそこに住むのか?
そこには実にハートフルな人間の絆があったんです。
というのもですね、山谷には有名な山友会という、
無料診療所がありますよね。
私なんぞも、一応プロテスタントの洗礼を受けているので、
熱心に教会に通っていた頃、度々寄付が回ってきたので、寄付させて頂いてましたけど、
聖路加の先生などが、ボランティアで診療されていますよね。
この診療所を拠点として、この街に住みついた高齢者が毎日集まってくるのだそうです。
具合の悪い方や、定期的にお薬を貰っている方はもちろん、
用のない人もやってきて、お茶を飲んでバカ話をする。
で、ボランティアの方々が、毎日お昼ごはんを提供しているのだそうです。
なるほどなぁ~と思いました。
ボランティア、医師、さらに仲間達とコミュニティができているんですよね。
更にこういう街ですから、孤独死の問題とは切っても切れない関係にある・・・
ということで、なんとお墓まで購入してあって、
孤独死した方がいると、無縁仏にならないように、
仲間でここに納骨するんだそうです。
で、すごく納得したのは、この山友会の建物の屋上や軒先で、
ドヤに住む仲間達が、ゴーヤとか、トマトとか野菜を作っているんですね。
「ボランティアの人達に与えて貰うばかりでなく、こちらからも提供したい!」
のだそうです。
他にも山友会の建物をみんなで掃除したり、
タオルなんかのお洗濯も分担してやっているんですね。
この気持は実に良く分かりますよね~。
やはり人間、誰かの、何かの役に立ちたい・・・
その思いは死ぬまでありますよね。
与えるものこそ与えられる。
それは真理ですよね。
まさに我々のプログラムと同じです。
こうしてですね、今、山谷はすっかり、
高齢者福祉の街と生まれ変わっているのだそうです。
すごい話ですよね~。
全然知りませんでした。
何故彼らは高い家賃を払ってまで、
ここに居続けるのか?
それはやはり同じ境遇の人達が沢山いて、共感があること。
そして「仲間」や「生きがい」といったものが見いだせること。
地域のネットワークが整っていること。
これは大きいのではないでしょうか?
超高齢化社会がやってくる日本で、
必要なのはただ生活保護を与えるだけでなく、
そこに絆や居場所を作っていくこと。
もしかしたら山谷は、日本の高齢化福祉の最先端をいっているのかもしれません。
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