利益相反についてです
IR法案が通過し、カジノのビッグマネーがちらつくようになってから、
「なんでもありなんかい!」と腹が立つ医師や研究者の動きがあり、
今回は「利益相反」について書かせて頂きたいと思います。
利益相反ってなんなのってことを、分かりやすくまとめてくれているサイトが、
こちらにございましたので、詳しく知りたい方はどうぞこのサイトをご覧下さい。
利益相反かあるかどうかを判断するための”6つのP”
で、私が腹を立てている利益相反問題とは、
「ギャンブル業界もしくはそれに関係する団体から資金を得た研究で、
明らかに業界側にすり寄った研究が出てくること。」です。
ちょっと読んだだけで、なんじゃこりゃ?と思います。
実はこの利益相反による問題は、過去にも世界中で様々に指摘されていて、
例えば、タバコの害の研究なんかでは「エンストローム論文事件」というものがあったそうなんですね。
アメリカの論文ですが、日本語でWikiにも掲載されているくらいですから、
学会では相当な大事件だったと思われます。
エンストローム論文(wikipedia)
要するに、タバコ産業の関連機関から研究費貰った研究者が、
「これまで積みあがってきたコホート研究で言われてる受動喫煙の害って実際はもっと小さいかも」
ってなことを結論で出したらしいんですね。
だけど学会がこの論文は、「そもそも資金源に問題があるぞ」とか、
「研究のやり方だって疑問だぞ」とか
「じゃあなんで他の研究と結果が食い違ってるのかちゃんと理由を説明しろ!」
ってなことを突っ込んだら、論理的な説明ができなかったってなことなんですね。
でもって、どうもこの論文は、ちょうどアメリカ政府とたばこ産業が巨額の裁判沙汰になってた時で、
「この論文はその裁判を有利にするために加担した研究らしいぞ」と判断されたようですね。
なんか日本のパチンコ不正くぎ問題が騒がれた状況と非常によく似ていますよね。
違うのは、日本政府の対応が産業側には非常に甘く、
まちがってもパチンコが不正してても国が詐欺事件で訴えたりしないことですね。
また、私がぶっ飛んだのは、この度こんな記事が出たんです。
110億円規模のアルコール飲用に関する大規模研究が中止、アルコール飲料業界からの資金提供問題で
アメリカ国立衛生研究所(NIH)では1億ドル(約110億円)もの大金を投じて、
アルコールを毎日飲み続けたらどうなるのかという臨床試験が行われていました。
しかし、研究者に対してアルコール飲料業界が資金の便宜を図ったという報道がされたことで、
NIHは内部調査を実施。そして、不適切な事実が明らかになったとして、研究を中止すると発表しました。
この膨大な予算を投じて研究を行っていたのは、
NIHの中でアルコールに関する研究を行っている国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)です。
NIAAAでは7800人の被験者を対象に毎日アルコールを飲み続けていたら、
人体はどのような影響を受けるのかという臨床試験を10カ年計画で進めていました。
しかし、2018年3月になると、NIHのスタッフがアルコール飲料業界にコンタクトを取り、
研究予算の半額以上にあたる6770万ドル(約75億円)の資金提供を受ける話をつけていたと報道されました。
報道によると、研究者が業界団体の会議に参加し、
意図的に適度な飲酒が健康に良いとする結果を示すための試験方法のレクチャーも受けていたとのことです。
ひぇ~~~~~~、なんという勿体ないことを!
私なんか、この業界にいますから、「7800人の研究」「10年の追跡調査」
それがどんだけすんごいことで、大変なことか!実に良く分かります。
そして、この研究が失われたことは、日本を含める世界のアルコール問題にも大きな損失です。
だって日本の厚労省予算、アルコール・薬物・ギャンブル全部あわせたって6.1億円ですよ!
どんだけ予算が違うんだ!と愕然としますよね。
日本じゃこんな研究だせるわけないんですから。
このように全世界に「金で魂をうる研究者」というのはいます。
そして日本のギャンブル依存症問題でも
残念ながらこのような研究者がいます。
(しかも母数が少ないの割合が高いです。)
さらに問題なのは、日本の場合こういった利益相反の問題に関して、
「知られていない」「無頓着」「知ろうとしない」というマスコミや議員や官僚も多く、
こういう研究データを平気で引用したり、
利益をうけている研究者から背景を一切伏せたまま講演やヒアリングをしてしまうことですね。
議員や官僚は産業側と懇意な人達も多いですから、
わざと確信犯的にやってる場合も多々あると思いますけど。
私は心から言いたいですね。
「研究者よ魂を売るな!」と。
またそういったとしても、売ってしまう人は世界中にいるわけですから、
少なくとも、そういった要注意のデータ、人物はこの世にある
ということをマスコミや、議員、官僚は心がけ精査して欲しい事、
またさらに国民もこの問題に関し、目を光らせて欲しいと心から願います。
私も更なる知識を積み、勉強して、
「この論文の研究費のお金の出所はこういう団体です。」
「この研究のあり方のここに問題がある」
といったことをきっちり伝えられるようになっていきたいと思います。
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