依存症と自殺です

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最近、10万人署名の件があり、依存症に対する啓発活動を
頻繁に行っていますが、その際になるべく暗い話にならないように、
極力つとめています。

でも今日はふとしたきっかけから、
やっぱり依存症は残酷な病気で、
大きな悲しみをもたらすことも、
きちんとお伝えするべきかなぁと考え、
依存症と自殺の関連についてお話しします。

私が、支援に関わっていて、
なんといっても恐れるのは、自殺です。

そして、仲間の皆さんは良くご存知ですが、
依存症は常に死と隣り合わせで、
自殺率はとても高くなっています。

依存症の支援を社会の皆様にお願いにあがると、
時々心ない言葉を寄せられることがあります。
「依存症者を助けたいと思わない。
勝手に死ねばいいと思ってる。」
面と向かって、言われたこともあります。

ネットの世界でも、同じような言葉は、
常にあがっています。

そんな時「この人たちは、本当に死ぬと思っていないから、
そう言うんだろうな。」
「自分の身近にはおこらないとタカをくくっているんだろうな」
と、思いながら受け止めています。

世の中には、ご自身の病気を苦に、自殺を選ぶ方が確かにいます。
その中でも、依存症を苦にした自殺は、断トツトップではないかと思っています。

なぜなら依存症は、例え回復しても死を選ぶ病気なのです。

回復できないとの絶望から死を選び、
回復の道を踏み出すと、その辛さから死を選び、
回復していくと、回復し続ける自信を失い死を選ぶのです。
こんな残酷で、非情で、困難な病気が他にあるでしょうか。

いまでこそ、笑いながら自分の回復記を語り、
他人からは暗さとは無縁の、明るくパワフルな私しかいませんが、
そんな私も、回復に繋がったばかりの4年間は、
死しか考えられませんでした。

今日死のうか、明日死のうか?
考えることは毎日死ぬことばかり、
自殺が恐くて「このまま消えてなくなりたい」
それが当時の私の唯一の願いでした。

回復は、本当に苦しかったです。

ですから、ご家族の皆さんが、
当事者が施設に入ったり、自助グループに繋がったりすると、
一気に気楽になり「回復するもの」と思いこんで、
やっておいた方が良いということに手をつけず、
呑気に構えているのをみると、
「そんなもんじゃない」という気持ちになります。

私は、常に自分を「生き残った者」と感じていて、
死んでいった仲間と、
紙一重の違いしかないことを痛感しています。

ですから、仲間の死に対しては、
いつも大きな衝撃が走り、
心のどこかで「申し訳ない」という気持ちになります。

これは恐らく、特攻隊の生き残りの方と同じで、
「死ぬのは自分でもおかしくなかった」
という気持ちになるのです。

私は、たまたま回復の道をつかんだけれども、
その二つの道を分けるものが一体何なのか?
その答えはいまだにわかりません。

今はただ、死を選ぼうとする仲間の手を必死につかみ、
引っ張り上げるしかできないと思っています。

ガンや脳卒中など、多くの重篤な病気は、
死に向かっていく病気で、
そのなす術のなさに人は無力を感じ、
悲しみを味わいます。

けれども依存症は、
死を選びたくなる病気で、
回復する術があるのに、
それを勝手に見限ってしまうことに無力で、
その哀しみは、多くの一般の病気とはまた違う、
後悔や罪悪感を伴います。

手を尽くしても死しかなかった病気と、
手を尽くせば生き残れるのに、死を選んでしまう病気。

どちらも大きな悲しみが残りますが、
依存症は残された人に、残酷な傷を与えます。
罪悪感と後悔という傷です。

依存症者の自殺を、私は病死だとご家族に伝えています。
私が、初めて助けられなかった仲間の自死に出会った時、
大きな後悔と罪悪感で絶望していた私に、
「りこさんのせいじゃない。これは病死だよ。」
と言ってくれた仲間の言葉に救われた経験があるからです。

生き残った私が、せめてできることは、
仲間の死を無駄にしないこと。

仲間は、この病気の残酷さと、苦しみや悲しみ、
その連鎖をどこかで断ち切ってくれ!と、
そう今も願っている気がしてなりません。
死をもって、私たちに伝えてくれた気がするのです。

眠りに就く前に、毎日必ず、
死んでいった仲間の事を思います。

今は楽になってくれたと信じながらも、
仲間の無念を無駄にはしないと必ず誓います。
回復途上にある私に、
いつ死が忍び寄ってもおかしくない訳ですが、
仲間の死に報いるという使命を忘れずにいる間は、
生かされる気がしています。

平和時の日本で、依存症者は有り得ないほど死んでいます。
この連鎖をどこかで断ち切りたい!
そう願い、今の活動をしています。
ご理解頂けたら幸いです。

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