自助グループの素晴らしさです

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今日というか、昨日6/5は、ギャンブルの家族の自助グループでの、
一番の大きなイベントでした。
およそ400人の来場者が集まり、
スピーカーあり、講演会ありと内容も盛りだくさんで、
とても充実したイベントとなりました。

実行委員の皆さま、お疲れ様でした!
様々な準備ありがとうございました。

最近は、私は自助グループの委員会のサービス活動は
一切やっておりませんが、
もちろん一生懸命やっていた時期もありました。

依存症の自助グループというのは、
依存症が普通の人には理解されにくい、非常識な病気であるように
自助グループの成り立ちというのも、
普通の人には理解されない仕組みになっています。

まず、トップダウン方式ではなく、
ボトムアップというか、独立したグループの集まりなんですね。
ですから全体のためのサービス委員会はありますが、
そこがなんでもかんでも決めるわけでも、
各グループの活動を承認したり指示したりするものではありません。

各グループは自分たちの自主性でなんでもやって良いのです。
ただ、じゃあなんでもかんでも勝手にやらせてもらいます、
となって、どっかのグループがお金もうけに走ったり、
政治活動に首を突っ込んだり、カリスマが現れたりしたら、
崩壊の危機に陥る可能性があるので、
一応、これは皆が心がけていこうねという
伝統と呼ばれる指針があります。

でもこれもルールブックではなく、
良心に従い常に自我ではなく、仲間=グループ全体の福利
を考えて行こうという、一見すると良く分からない、
禅問答のようなモノになっています。

だから解釈は様々にあって、自分の精神性の成長と共に、
その解釈も深まってくるものなので、
別にルールではないから、間違っても良いのです。

そして解釈は人それぞれというのは、
ものすごく上手く出来ていて、崩壊もしないし、
サービス活動を行っていく方向性を決めたりすると、
時々もめごとも起こるのです。
でも、そのもめごとも成長の種になっているんですよね。

ですからサービス委員は、古い人が居座ったりせず、
輪番制でどんどん色んな人が、役割を与えられていくのが良いんですね。
時代時代によって、やり方もカラーも変わってきたりします。
でもあくまでも中心にあるのは、各グループなので、
サービス委員会はサービスを提供するだけであり、
支配はしないという、本当に不思議な集まりなんですね。

普通会社だと、古くて偉い人がいて、
その人の鶴の一声で決まったりするじゃないですか。
少なくとも上司が決定権を持っていますよね。
でも自助グループは違うんです。

だから、こんなことやってみたいなぁ~と思う人が、
何かを提案してグループも「いいじゃん!やろうよ」となったら、
やっていいんですね。
言わば、支店が本社の決済を仰がずに、勝手に判断していいんです。

でも人間って、
勝手にやれるというのは逆に不安で、
誰かに判断して欲しくなったり、
自分とは違うやり方や、モチベーションの人がいると、
「そうじゃない。こうしろ!」と言いたくなったり、
自分はこんなにやってるのに、なんでやろうとしないんだ!と、
人を裁きたくなったり、
承認欲求から権力を欲したりと、様々な自我を抱えている訳です。

依存症者とその家族は、
頑固な自我の暴走から、
度々軋轢をおこし人間関係が上手く行かず、
依存症を使ってきたわけですから、
この自助グループの仕組みは、
実にうまいリハビリ機能を果たしている訳ですね。

自分も尊重されるけど、他者も尊重する。
つまり「何でもあり」という多様性を訓練する場所なんですよね。
誰かにとらわれたりせず、他人のすべての考えを尊重する。
だから全員が安心できる居場所になるんですよね。

改めて、自助グループはなんて素晴らしい居場所なんだと、
実感した一日でした。
回復というのは素晴らしい。
こんなに居心地の良い居場所を与えられた、
我々依存症者とその家族ってなんて幸せなんだ!と、
心から思います。

世間の人たちにこれだけはお伝えしたいのです。
私たちは自助グループに生涯通い、
生き方のリハビリを続けていきますが、
それは重荷でも、苦しみでも、仕方なくでも、嫌々でもなく、
楽しいから、そして優しく受け入れられ、自分も優しくなれる場所だから、
好き好んで続けているのです。

そんなかけがえのない仲間達や、
安心できる居場所があって、
私たちはそれを誇りに思っているのです。

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