マスコミさんとの付き合い方です

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昨日もフジTVの「ノンストップ」というワイドショーに出演させて頂きましたが、
私のような弱小団体の長でも、時々マスコミに登場させて頂くようになりました。
色んな考え方があるとは思いますが、私はやはりマスコミさんとの付き合いは、
大切だと考えています。

いまだにTVや新聞の影響は大きいですし、
何よりも昔のようにそういったTVや新聞の情報が一過性で流れて行くものではなく、
それがSNSやHPさらにはYoutubeにUPされることで、
長く人の目にとどまるようになりました。

そうした中で、特に依存症については間違った情報も度々混じっていますし、
さらには主観で書かれたものも多く存在します。
ですから私のように当事者側からの発信も、啓発として必要だと思っておりますので、
今後も機会があればどんどんチャレンジしたいと思っています。

で、特にTVなんですけど、最近やっと少し要領が分かってきました。
最初の頃は、どういう進行なんだかさっぱり分からず、
言われるがまま・・・みたいな所がありました。

今だに、「これは上手くいった!」と思えることはないですが、
それでも「今のBESTは尽くせた」と思える時はあるようになりました。

まず、私が大きく誤解していたことは、マスコミの皆さんとは、
目線が全く違うのだということです。
つまり私は依存症の当事者団体として、依存症の正しい知識を広めたい!
という目線でTVにでようと思う訳ですが、
TVクルーの皆さんは「いかに視聴者に受けるか?」という目線で、
依存症ネタを取り上げようと思っている訳ですね。

これはどっちが良い悪いじゃなくて、立場の違いで起こる、
当然の齟齬なわけです。
それを「TVはウケばかり狙っている!」と叩いても仕方ない訳です。
そんなの当たり前の話しなんですから。

ですからワイドショーに出させて頂く場合と、
報道番組に出させて頂くのでは、求められる内容が全く違います。
で、向こうの意向にあわせて話すわけですけど、
その中で自分の伝えたいことは伝えなくちゃならない訳です。

まず、第一関門は、依存症のことを全く知らない制作スタッフさんに、
依存症の問題を伝えなくてはならないということです。
スタッフさんは無邪気にこう聞いてきます。
「ギャンブル依存症ってどんな病気なんですか?」
さて、あなたはこの問題に分かりやすく応えることができるでしょうか?

「ギャンブルを、自分でやめたくてもやめられない病気です」
なんて言うのじゃ全く伝わりません。
強迫観念や、やり出したら止まらないこと、その時の状態を、
具体的かつリアルに伝えなくてはならないのです。

そしてまた、伝えるスタッフさんの能力差も非常に大きいのです。
勘のよい人悪い人、仕事へのモチベーション、センスの良しあし。
そういった感性が大きく影響する世界で、
相手に合わせ、いかに自分の伝えたいことを伝えるか・・・
毎回試練の連続ですね。
これまで一度も「あぁ~上手く伝えられたなぁ~」と、
満足したことなどありません。

仲間から「りこさんの話は分かりやすい」と、
何度も言って貰いましたが、なんせ聞いている相手は、
病気をわかろうとしている、今現在困っている人ではないのです。

私の話を聞きながら、どこの話が視聴者にウケるか?
それを探しながら聞いているのです。
その代わり、この依存症の話を、視聴者に受け入れやすく、
また、どうやったら自分ごとに考えられるか?
というストーリーを組み立てるのは、もちろん私なんかより、
ずっとずっと素晴らしい才能と経験をお持ちです。

大体、ワイドショーの場合、最初の打ち合わせが2時間ぐらいあって、
その後フリップや台本が作られ送られてきます。
そしてその後2~3回電話で打ち合わせが入ります。
この間数日しかない場合が多く、VTRなども作成します。
で、そのVTRに登場する人なども、
こちらでコーディネイトしなくてはならない場合が殆どです。

「自分の話をしてくれる、家族や当事者を紹介してくれ」
「解説してくれる、医者を紹介してくれ」というのが殆どで、
彼らの示す条件に合う方に頼み込んで橋渡しをします。

で、最終の準備が整うのが大抵は前日の夜中です。
そこで最終チェックをして、「ここは言い回しを変えて欲しい」とか、
「このエピソードはこうして欲しい」とか伝えます。

なんせですね、ものすごく打ち合わせで話した内容は多くても、
番組はしょせん20分程度の枠なんですよ。
しかもフリップなどはインパクトのある一言で、
視聴者に訴えるものじゃなくちゃならない・・・
となるとですよ、どうしても「まぁこんな感じか」ってなところで、
手を打たなくてはなりません。
こっちもボキャブラリーが不足してますから、
ちょっと違うなぁ~と思っても、それに代わる言葉が見つからなかったりするんですよね。

そして翌日は2時間くらい前にスタジオに入って、
打ち合わせや、場合によってはリハーサルがあります。
夜中2時頃まで打ち合わせして、翌朝すごく早く入り時間を伝えられると、
それだけで「あぁ~しんど・・・」となります。

で、いよいよ本番になるんですが、ここでまた大きく事態は動きます。
そして「あのリハ―サルはなんだったんだ?」となっていくのが、
ゲストのタレントさんの発言です。

基本的に番組スタッフさんとは打ち合わせをしますが、
タレントさんと一緒になどしません。
タレントさんはスタッフさんに輪をかけて、
依存症のことなど興味もないですし、
ましてや「わかろう!」などとも思っていません。

「そんなの自己責任だろう~」と一般の方々が思っている思いを、
タレントさんもまた持っているのです。
そしてタレントさんは多くの出演者さんのなかで、
いかに自分が目立つか!に命をかけている方達です。

依存症のことを分かりやすく伝えることよりも、
番組を面白く、そして自分の出番を少しでも多く!
と考えている方達の中で、こちらもこれだけは!
という言葉は残さなくてはなりません。

タレントさん達の話しは、大抵の場合本題とは方向性がずれていき、
時間はどんどんなくなります。
予定していた、フリップも使わなくなったりします。
もっと言えば、そもそも前のコーナーが押してしまえば、
予定の時間が最初から大幅に削られることもあるのです。

刻々と変わる状況の中、百戦錬磨のTVマンたちと、
ド素人の私がゲストで入るというその格差を、
皆様ご理解頂けるでしょうか。
最近やっとその要領が少しつかめるようになりました。

でもってこんなに時間と労力を使い、緊張感を強いられる仕事なのに、
渡されるギャラなんてそれこそ1万円~2万円位
(しかも交通費込み)ですからね。
VTRコメントだけみたいな場合は、もちろん無報酬です。
その上、Twittreなどでは、ボロクソ叩かれるのが常。
まさに割に合わないといったらこれほど割に合わないことはありませんね。

だけど、やっぱり抜群に面白い!のも間違いないです。
まず何よりも自分がとにかく鍛えられます。
一般の人に対してどう伝えたら良いか?
その訓練というか特訓が行われます。
私のように常に自分の殻を破りたい!と思うタイプには、
とっても刺激的な仕事場です。

そして超ど級のミーハーな私。
TVで見てる人を目の前で見れる喜び。
昨日のノンストップでは、メイク室で私の隣に、
横沢夏子ちゃんがいて、朝からすっかりテンションがあがりました。

ですから私のように自分を鍛えて行きたい、そしてミーハーなタイプは、
どんどんTVに出たら、面白いんじゃないかなぁとお勧めします。
依存症は今コメントを求められることも多いですから。

何より、未知の世界へのチャレンジは、
刺激的でワクワクします。
これからも自分の殻をどんどん破っていきたいです。

そうそうこの度、ネットコンテンツJapan In-depthさんに、
書き下ろしチャレンジをしました。
ご一読頂ければ幸甚です。
ギャンブル依存症大国の汚名返上せよ

こうやって頑張っていけば、いつか仲村トオル様との共演も叶うかも・・・
その日を夢見て、益々頑張ります!

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
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