無責任な母親責任論です
今日は、一人の若いギャンブラーを救出して来ました。
インタベンションのため、山梨県と群馬県を横断し、
さすがに関西出張帰りだったので、へとへとですが、
精神的には、ホッとしております。
正直このインタベンション、なかなかヘビーでした。
長年のギャンブル問題で、親子間はこじれにこじれ、
ご両親は、なす術がなく、
彼の興奮状態が激しく、大騒ぎをしながら、
壁をボコボコ殴って、穴をあけていきます。
こういうことを言うと「りこさん、恐くないの?」
と聞かれますが、恐くないです。
どういうわけだか全然わかりませんが私、
人が大声出したりしても全然恐くないんですよね。
すっごく冷静に「この人、恐いんだなぁ~」と逆に思うんです。
この仕事向きの、有難い資質ですね。
でもですね、こういう状況の中にいたら、
ご家族だけでは、解決できないだろうなぁということも、
非常に良く分かります。
話し合いにも何もならないですし、
家族は本人の興奮状態や脅しに屈することは当然だと思います。
だからこそ、私のようなインタベンショニスト(介入者)が必要で、
このインタベンショニストが日本にもっと沢山誕生することを、
心から願っています。
で、常々経験上「家族の問題は、家族では解決できない」
と口を酸っぱくして言い続けていますが、
まだまだ日本には母親責任論が根強く、非常に憤りを感じています。
特に、息子さんを持つ親御さんは、
結婚していた場合、お嫁さんの親御さんからも責められて、
「育て方が悪い!」などと言われ、非常に傷ついています。
そういう仲間を嫌というほど見ているので、
無責任な母親責任論をみると、
はらわたが煮えくりかえるほど頭に来ますね。
特に、川崎中1事件での、
小林よしのりさんと、林真理子さんのコラムは、
心からひどかったと思います。
今日のインタベンションでつくづく「家族は家族に無力だ」と思い、
このことを想い出し、再び腹が立ってしまい、
少し古くなりますが、書かずにはいられなくなってしまいました。
子供を亡くされた母親に、何故あのような暴言が吐けたのか?
神経を疑います。
お二人の作品のファンだけに心から残念です。
お母様に恋人がいたと、心ない報道が出たために、
お二人はそこを責めていましたが、
林真理子さんは不倫小説で一大ブームを巻き起こし、
W不倫を推奨するような発言を繰り返されていたにも関わらず、
突然のこのような、聖人君子ぶりに唖然です。
小林よしのりさんの暴言は聞くに堪えません。
それほどまでに母親を責めるのは、
ご自身がマザコンなのではないかと思うほどです。
何故、父親の責任論には触れないのでしょう?
何故、支援の手を差し伸べなかった、社会には向かないのでしょう?
いずれにせよ、自分のせいだと自分を責めているお母様に、
さらにこれだけの暴言を吐けるのは、
家族支援に関わったことない人の、
机上の空論でしかありません。
思春期の子供たちが、突然環境の変化や、学校の友人関係の変化で、
グレてしまったり、家に寄りつかなかったり、問題行動を起こした場合、
親なんて無力です。
親に解決できることなんて、殆どありません。
子供は、絶対に親や先生なんかに相談しないし、
例え、ひどいいじめにあっていたとしても、
親には隠そうとします。
その無力感、焦り、不安、恐れ、
そしてなすすべなく事態が悪化していくこの恐怖は、
経験したものにしか絶対に分かりません。
そして、そういう声は上げられないものなのです。
「親にできることなんかない」と経験した親が、
社会にその真実を訴えることは、出来ないのです。
やったとしてもその声は、批判と非難でかき消されてしまいます。
川崎のお母さんは、夫の突然の漁師になる宣言により、
辺鄙な島に渡り、そこで5人もの子供を産んだ挙句、
最後は夫のDVから逃げ出し、シングルマザーとなったそうです。
そして、実家を頼り、川崎に戻ってきたのもつかの間、
自分の父が病に倒れ、その介護までのしかかってきたそうです。
その辛い日々に、新しい男性を頼ろうとしたとしても、
決して、不自然なことだとは思いません。
「忙しくって、子供を見てやれなかった」
その辛い気持ち、とても良く分かります。
私も、シングルマザーの元で育ちましたから、
貧困にあえぐシングルマザーの余裕のなさは痛いほど分かります。
一人っ子の私でさえ、そう感じるのです。
そして、シングルマザーは自信を失っている場合も多いです。
誰かに助けを求めることも、敷居が高かったことでしょう。
事件を繰り返さないために必要なことは、
母親の棚卸ではなく、
「家庭内の問題を、家庭内で解決することは難しい。
手助けが必要です。」という啓もう活動だと思います。
有識者と呼ばれる方々が、
依存症をはじめとする、家庭内の問題に対し、
思いこみや、誤った情報を、想像だけで発信し、
二次被害を招いています。
その発信が、助けを益々求めにくくし、
事態を悪化させることに気がついていないのです。
「おかあさんがしっかりしていたら、死ぬことはなかったはず」
こう書いた林真理子さん。
「わが子に危害を与える不良と接触させない
というのは、親の最低限の「常識」だろう。
子供を産んだら、真っ当な人間に育てる
責任が発生する。
そんな「常識」すら失われてしまったのだろうか?」
こう書いた小林よしのりさん。
あなた方のご家庭に、問題がうまれないことを祈ります。
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何故母親だけが攻撃されるのでしょうか?この種の事件で父親がターゲットになることは殆どないような気がします。益々、母親たちは孤立してしまい誰にも助けを求められなくなりますよね。
りこさんの苛立ち、共感します。
今日は生放送でのお仕事、お疲れ様でした。カジノの建設が進められている中、何としてもギャンブル依存症対策法が実現されることを願っています!