映画「沈黙」です

公開日: 

今日は、公開を待ち焦がれていた「沈黙」を夫と観に行きました。
次から次へと緊張するシーンが続き、
2時間40分という長さを全く感じさせません。

が、全然救いのない、拷問シーンがずっと続くので、
信仰のない人が観るとどうなんでしょう?
拷問シーン、観客に対する配慮なんて全くなく、めっちゃ怖いです。

日本は1614年にキリシタン禁教令が出され、1637年に島原の乱が起きると、
徹底的な弾圧が行われ、1644年には最後の司祭様が「転ぶ」つまり棄教し、
日本に司祭様がいなくなりました。
「沈黙」は、この最後の転び司祭ジュゼッペ・キアラ様をモデルに、
遠藤周作さんが小説にし、それを映画化したのが今回の作品です。

遠藤周作さんの作品には。中学の頃ハマっていて、
狐狸庵先生の気軽なエッセイや、
「私が棄てた女」などをむさぼるように読んでいました。
(この作品は衝撃的で授業中こっそり読んでいたのに号泣しバレるという想い出あり)

クリスチャンとして有名な遠藤先生ですが、
中学生の私は、辛いことが多くて、幼稚園から中1まで欠かさず日曜学校に行っていたのに、
中2の時に「神様なんかいない。2度と神に頼るような弱い自分にならない!」と誓ったために、
どうも宗教色の強い作品はあの頃読めなくって、
まだ一度も読んでいないんですよね。
(詳しくは「三代目ギャン妻の物語」をご一読下さい!←宣伝!)
惜しいことをしました。心がまあるいうちに、一読しておいてみたかったです。

さらに、我が家はかつてキリシタン大名のお屋敷があった、小石川のそばに住んでおり、
キアラ司祭様のあと、約60年後の1708年にジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ様
という司祭様が日本に来られ、幽閉されるのですが、
なんと2014年にそのシドッティ様と、お仕えしていた長介・はるという老夫婦の、
遺骨が発見されるというニュースがあり、驚嘆したんですよね。
なんでも取り調べは、かの新井白石先生が行ったそうです。
宣教師シドッチ 遺骨で顔復元…江戸時代、新井白石も見た

さらに最近、長崎に「グラフ長崎」という、ギャンブル専門の依存症施設ができたことから、
ちょこちょこ長崎に行くようになり、すごく長崎にシンパシーを感じているのと、
なんといっても皆さん「隠れキリシタン」という、独自の信仰を貫いている末裔の方々は、
いまでもいらっしゃるってご存知でしたか?
世界的指揮者の西本智実さんも、隠れキリシタンの末裔とご自身でおっしゃっています。

すごすぎるぞ長崎!って思いませんか?
だって、1873年にキリシタン禁止令がとかれるまで、
なんと200年以上もの間、司祭様もいないのに、ず~と信仰を守り通し、
迫害されながらも、その根を絶やさなかった!っていうんだから、
そりゃあ、カトリック教会が「東洋の奇跡」と喜んだっていうのもうなずけますよね。

そういった歴史的背景なんかも、なんか身近に思え、
さらにやはり12ステップで回復した依存症者の一人としては、
信仰心については非常に興味があったので、この映画待ちわびていたんですよね。

ネタばれになりますから、あんまり言いませんけど、
この映画、窪塚洋介さんがいい!ですね。
まさにあの方の「復活」劇、はまり役ですね。

皆が、信仰を捨てられずに葛藤に苦しみ、殉教していく中で、
窪塚役の「キチジロー」だけが、弱くて、ずるくて、逃げ回って生き延びようとする・・・
あの「キチジロー」に多くの人は、自分を重ね合わせるのではないでしょうか?

もちろん私もそうです。
自分だったらどうか?と考えたら、
間違いなく踏み絵を踏みます。
「ごめん、だって怖いし、ひどいめにあいたくない」
そう思って逃げ、生き伸びながらも、
殉教者に対する引け目と、
神様に対する思いで苦しみ続けるタイプですね。

めっちゃずるくて、弱くて、小心者です、私も。
特に子供たちには
「い~い、他の人がどうあれ、あんたたちは絶対に踏み絵を踏みなさい。」
「どうあっても、逃げのびるのよ。大丈夫、神様は許してくれるから!」と、
言って聞かせるでしょうね。

いやむしろ村人を扇動し、
「ここはもう棄教を装い、踏み絵を踏もう!」と、
たきつけるでしょうね、きっと。

果たして、そういった生き方を、
神様はどう思われているのでしょうか?

この映画のあいだ私はずっと
「あぁ、やっぱり神様は自分の中にいるんだなぁ・・・」と、
「内なる神」について考えていました。

神の沈黙とは、果たして・・・
そして、神の声とは・・・
それは是非、映画を観てみて下さいね!

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