援助のECOです

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今日は、東京相談会でしたが、相談会は好きだけど疲れます。
何故なら、殆どがビギナーの方なので、
まだまだ自分のやり方が手放せない人が多いからです。

なんせギャンブル依存症者の家庭って、家族も病んでますから、
家族は家族の否認があるんですよね。
何度も借金を繰り返し、何度も嘘をつかれているんだから、
今までのやりかたじゃダメじゃん!?って普通はなるはずなんですよ。

ところが依存症は別名「家族の病」と言われ、
家族全体が病んでしまうのです。
ですから真実の姿が見えなくなってしまい、
「今までのやり方じゃダメなんだ・・・」と認められず、
「自分たちがここまで辛抱し、頑張ったからこの程度で済んだ。
自分たちが関わっていなかったら、もっとひどいことになった」
・・・と、脳みそがへんてこりんな考えをはじき出してしまうんです。

もし、これがオレオレ詐欺だったら、
何度も同じ手口にひっかっかっていながら、
「自分たちが一生懸命説得したから、この程度で助かったんだ!
きちんと言って聞かせていなかったら、もっと要求されるところだった!」
なんて考えます?
ギャンブラーに度々お金を渡しちゃうのって、
家庭内オレオレ詐欺と同じですから。

で、こういうおかしな考えにおかされてしまった脳を、
改善していかなくてはなりませんが、
相談会に来たからってすぐに
「あっ!そうか!確かに私家庭内オレオレ詐欺にひっかっかってたわ。
きっぱり手放して、境界線をしっかりひかなくちゃね!」
なんてことにはなりません。

乱暴な例えを使うなら、長い年月かけて
「私がいなくちゃ、この人は生きられない」
「この人を助けてあげられるのは私だけ」
という具合に洗脳されてきたんです。
一筋縄では、その洗脳は解けないんですよね。

自助グループの仲間は、そんなすっかり洗脳されてしまった家族の話を、
根気強く、批判もせず、意見も言わず、質問もせず聞いてくれるのです。
他にそんな所があるでしょうか?

あなたの周りの人が、こんな状況になってたら、
黙って聞く・・・なんてことできますか?
矢継ぎ早に意見が言いたくなりますよね。

自助グループは、それでも全てを受け入れ、
一切合財を受け止めちゃいます。
で、逆にやり方を変えて上手く行った人の話も、
誰も批判もせず、さえぎったりもせず、話を聞くのです。
これが自助グループで行われている、
言いっ放し、聞きっぱなしの原理です。

すると何が起こるか・・・

最初は、自分の話で精一杯だった人たちが、
ある程度話し尽くして、興奮状態が収まってくると、
ミーティングにも慣れ、親しい人もでき、少し余裕が出来てきます。
人の話もやっと耳に入ってきます。

「あれ?この人も同じような家庭内オレオレ詐欺にあってたんだ!」
「えっ!?でも今じゃ当事者も回復して、良い関係になれてるんだ!?」
「どうしてそうなったんだろ?教えて欲しい」
ってな具合ですね。
それでやっと、他人の言うことが信用できるようになり、
他人のアドバイスをやってみよう!と思えるわけです。

で、なんと言ってもですね、自分の気付きというのは、
お仕着せと違い、やる気になるわけですよ。
「そうだったのか~!」という、
今までのブロックが外れる感覚、
その解放感は強いです。

だから自分で動けるようになる!
新しいやり方にチャレンジしてみようと思える!
ってなわけです。
自助グループがなかったら、
援助者は今度は家族を必死に説得しなくちゃなりません。
それはものすごく手間暇かかることになると思います。

ですから家族相談会は、自助グループと両輪で!
これが援助のEcoだと思います。

家族の自助グループがない地域の援助職の方は、
是非、ご相談下さい!
地域に種を植えましょう!

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現在国内の推定罹患者536万人(2014年厚労省)のギャンブル依存問題。
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[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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