依存症と病気と甘えの関係です

公開日:  最終更新日:2015/12/02

ネット上で、ギャンブル依存症は病気だという発信がされると、
必ず「なんでも病気にして甘えるな!」という、
見当違いの意見を言う人がいて、いい加減知りもしないことを、
イメージだけで語らんでくれ~!と、文句の一つも言いたくなります。

そもそも病気=甘えという発想は、一体どこから来るのでしょうか?
病気をしたことのない、世にも希有な健康優良児が発信しているのでしょうか?

私も健康優良児ですけど、でも人生50年も生きてれば、
手術だ入院だという経験はあって、(むしろ人より多いです私)
そのどれもが全部ものすごく辛く、「あぁ病気は辛い。早く治したい」
と思いこそそれ「病気は楽でいいなぁ、このまま病気でいたい・・・」
なんて一度も思った事ないですけど。
そんな風に思う人っているんですか?
仮病ならともかくです。

ギャンブル依存症の治療についても、
なんか勝手に勘違いされているんじゃないでしょうか?
「病気なんだからしょうがないよね。
お金を借りたことも、借金踏み倒したことも、
窃盗を働いたことも、家族のお金を使い込んだことも、
全部チャラだよね。だって病気なんだからね。」
とお医者さまに優しく言われる・・・なんてこと想像されているんじゃないでしょうか?

実際は、全く逆ですよ。
依存症の治療は、安静にしているものでもないし、
むしろ過酷な生き方の矯正、リハビリが始まります。

まず、私が一番ショックだったのは、
病気と分かり、もう二度と夫とギャンブルを楽しめる日は来ないんだって、
ギャンブルが二度と出来ないという現実を受け入れなくちゃならなかったことです。

子供の頃から、夢中になってきたギャンブルをですよ、
二度とできない・・・
「競艇とカジノはあきらめるけど、麻雀くらいならいいでしょ!?」
と、往生際悪く思いましたよね。
麻雀は今でも「やりたいなぁ~」と、よぎる時があります。

でもですね、病気を受け入れた日からは、
「このくらい」と思い始める自分が一番怖いんです。
なしくずしに、ギャンブラーに戻っちゃわないように、
ものすごく慎重になりますね。
どんどんストイックになっていきます。
トリガー(引き金)になりそうなものは一切排除していきます。

だからですね、普通の人が気晴らしにやるものが、
やれなくなりますね。
私の場合、お酒もやめました。
ギャンブル、買い物、さらにお酒まで・・・
これはですね結構忍耐が要りますよ。
でも、酔った時に「これくらい・・・」ってうっかり思っちゃったら、
恐いじゃないですかぁ。特に海外なんかで、
酔った勢いでカジノにでも足を踏み入れたら・・・地獄の1丁目です。
だからお酒も自主的にやめました。

そして、常に自分の側の責任をみること、
人のせいにしない、言い訳をしない、受け入れること、
こんなことをしょっちゅう言われてですよ、
その練習をさせられるわけです。

過去自分がやらかした問題の後始末をする。
借金を清算することももちろんですし、
迷惑をかけた方、不義理をした方にお詫びをしていく・・・

それが依存症の治療プログラムです。
普通の人よりずっとずっと制約は大きい生活を余儀なくされ、
それが一生涯続く訳です。
一体どこが甘えなんだ!?って思います。
借金だって逃げずに払いきるわけですからね。

逆に、病気と認めていない時はですね、
言い訳ばっか、人のせいばっか、他人の批判ばっかで、
自分のしでかしている、竜巻のような迷惑を正当化しているんです。
「こんな親なんだから、こんな夫なんだから、こんな会社なんだから、
こんな社会なんだから、あいつのせいだ、こいつのせいだ・・・
だから今日はギャンブルをやっても良いんだ!」って、
もっともらしい理由づけが、永遠に浮かぶんです。

それを「ギャンブルをやるのもやめるのも
自分の責任だよ。あなたは病気。
自分じゃやめられない依存症という病気だよ。」
と言われたら「うそだ!」って思いますよ。
だってずっと現実逃避してるんですから。

「親が変われば、夫が変われば、会社が変われば、
社会が変われば、あいつが変われば、こいつが変われば・・・
ギャンブルはいつでもやめてやる!」
って思ってたのに、自分がやめられないだけだったの?
という真実を受け入れるのってどれだけ恐いことか。

そもそも、「この莫大の借金はもうコツコツ返すしかないんだ・・・」
って現実を受け入れるのが一番怖いですからね。
ず~っと何年も何年も
「一発当てれば借金は返せる」って考えて逃げてるんですから。

それを「あなたは病気。たとえ一発当てても借金なんか返さない。
それをまた全部ギャンブルに使うでしょ?そうしてきたでしょ?」
と事実を突きつけられる恐怖。
そして「あぁ、その通りだ・・・」と白旗をあげた時の、
虚無感というか、ぽっかりとあく心の空白。
それは甘えをやめ、自分の責任を引き受けた瞬間です。

ですから
「ギャンブル依存症なんて、何でも病気にして甘えるな!」
というのは全くの誤解で、誰のためにもならない発信です。
それを言うなら、
「ギャンブラーはギャンブル行為を誰かのせいにして正当化しているな!
病気を認めて、厳しくともきちんと治療を受け、自分の責任で問題を解決しろ!」
と広めて欲しいですね。

そうすると「ギャンブル依存症=甘えた奴」というイメージが払しょくされ、
病気を認めやすくなるんじゃないでしょうか?
誰だって厳しい道を選択するのに、それを「甘えた奴」なんて言われたり、
また自分自身もそう誤解しているんですけど、
そんな風にうつるなら、そんな割にあわないことやるわけないですから。

むしろ「ギャンブル依存症を認められたなんて、あなたはすごいわ!勇気があるのね」
という風潮になると、皆にメリットがあるんじゃないでしょうか。
依存症者も褒めて育てて頂けると大変幸甚でございます。

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