今日は、新潟県は村上で、高校生の予防教育に参りました。
その道中の新幹線で、「え～！これすごい核心をついてる！」と思うコラムに出会い、
とっても驚いてしまいました。

もうね～、ギャンブル依存症の支援に関わる方は必読です！
絶対に読んで下さい。
お金がない人ほどギャンブルにハマる理由－胴元は目先の誘惑をチラつかせる－

ギャンブルはですね、身体なんかぴんぴんしてますからね、
お医者さんだけじゃなく、こういった経済学なんかも交えて話して貰った方が、
皆、ピン！ときて、むしろ否認が解けるかもしれないですね・・・

だって、めっちゃ仕事は頑張っていたりして、
馬鹿でもないし、ギャンブルは絶対に負けるなんていう理屈も全て理解してます。
下手すりゃ、仕事は銀行員で、金利のプロ！なんて人もいますからね～（笑）
で～も～、言ってる事につじつまが合わない。

例えば支援者の皆さん、こんな言葉を聞いた事ないですか。

・パチンコだけなら勝ってたんですよ/パチンコは負けてないですよ
・金がないからパチンコやるしかなくて
・借金返せたら、ギャンブル止めようと思ってます

普通の人には、こんなこと真顔で言われても意味が分かんないですよね。
「いや、勝ってたんなら何故金がない？」
「金がないなら、ギャンブルできないでしょうよ！」
「いや、ギャンブルやってるから借金返せないんじゃん？」

って、混乱するはずです。
でもギャンブラーにとっては不思議でもなんでもなく、
とにかく普通の人からは、信じられないくらい長時間、そして大金を賭けているので、
自分では収支がわからなくなっている上に、何度も「もうだめだ・・・」って時に、
首の皮一枚で繋がったりしているので、「勝つまでやればいい」
という思い込みが刷り込まれているんですよね。

私なんか、バカラ好きですからね「倍々プッシュで必ず取り戻せる」
ってな幻想を常に持ってましたよ。
つまり、負けたら賭け金を倍にして賭け続ければ、取り戻せる！って思うから、
「負ける気がしない！」んですよね。
でも、取り戻してやっとチャラなわけじゃないですかぁ～。
大抵は取り戻せないうちに、手持ちの金が尽きるし、
取り戻せたとしても、ハウスへのコミッション分は絶対に負けるんですよね。

そしてギャンブルっていうのは、このコラムにも書いてあるんですけど、
常に「惜しい！」結果が出るんですよ。かすってるんです。
だから毎日せっせと賭けてると、いつか芽が出るような気がする、
かすってるってことは「まだ努力が足りない！」みたいな気分になるんですよ。
もう少し頑張れば努力は報われる/芽が出る/出目が見えるようになる！
「つまりこれは仕事だ！」ってな気持ちになるんです。

だから別にもう楽しくもないし、修行みたいになってるんですけど、
「ここまで突っ込んできたのに、今更やめられない！何故ならもうすぐ答えが見つかるのに！あきらめるな！」
みたいな、認知のゆがみが起きちゃうんですよね。

だって皆さん、毎度毎度ですよ何十万もドキドキハラハラしながら賭けてですよ、
毎度毎度それを奪われていくわけですよ。
それだけでどんだけ心が傷つくと思います？
そしたら「クッソ～意地でも取り返してやる！」ってならなきゃ、続けらんないじゃないですか。
ってか、そう思う人だから続けちゃうというか・・・
でもって、今にも大当たりがとれそうなくらい惜しいんですから。

でもって例えば、大金負けたとしても、
「200万円を使えるくらいの自分」という、身分詐称というご褒美が得られるんですよ。

競艇なんかで、200万位突っ込んでみて下さいよ。
今はどうかしれませんけど、昔は100万2束も窓口で出したらですよ～、
窓口の中は「大口さんで～す」と大騒ぎしてくれたもんですよ。
バババっと、札勘機に札束がかけられ「はい200万円お預かりです！」
なんてでっかい声で言ってくれて、後ろに小銭を掴んで並んでるおっさんどもが、
おお～！っとどよめいたりしてくれた日にゃ、スター気取りでドーパミンが出ちゃうんですよ。
そして涼しい顔で、すたすた歩いてくる。

このコラムに、「『007』のジェームズ・ボンドになったような気がした。」
とありますが、めっちゃわかる～！とあたしゃ叫びたくなりましたよ。
つまりそんなちっぽけなやり取りが、報酬になっちゃうんです。気持ちがいいんです。
「大当たりが忘れられない」なんて単純な話じゃなく、
ギャンブルの報酬は、もっと細かく、あっちゃこっちゃにトラップがあるんです。

そしてギャンブラーは、ギャンブル以外にはとってもケチです。
必要なお金を使おうとしない。
だから適正なお金を、適切に使えるようになる！っていうのも回復の一環です。

なのでギャンブラーのお金を、ギリギリまで締めあげて、
毎日1000円ずつで管理する！なんて逆効果でしかないです。
そもそもケチなんですから、それでも結構過ごせちゃいますよ。

だけどね、アウトプットのない人生なんて、1ミリも楽しくないじゃないですか。
稼いでんのに、自分の好きなタイミングで、好きなように使えない。
「飲み会なんかがある時は必要に応じて渡してます」
こういうご家族は多いです。
でも、当事者の自尊心はダダ下がりで、ストレス溜まりますよね。高校生じゃないんだから。
必要なお金を自分で管理できるようになる！これが回復者の姿です。

私はですね、今、子供2人が高校生で何かと金がかかるんです。
でも、必要なお金をちゃんと払えることが、とっても喜びです。
この間も娘の受験料で35000円もとられましたけど、
昔は幼稚園の月謝6000円が払えなくなっていたんですから、
「成長したな～」としみじみ思いましたよ。

いくらなんだって、母親ですから5万や10万は手元にあるじゃないですか。
財布に入れておいたりする。
それでも今はギャンブルなんかに使わないですよ。
できるようになるし、できるようになった自分が嬉しいんですよね。

だから時々いる「金銭管理で余計な金を持たすな！」みたいなこと言うお医者さんの話しを聞くと、
「バカにしてんじゃね～ぞ！」って気分になるんですよね。
だって先生、あなたならそんな人生送りたいですか？楽しめますか？
先生方にとって「バカにされてる」と感じることは、
ギャンブル依存症者にとっても同じく「バカにされてる」ことなんです。

家族の自助グループでは、速攻この1000円亭主はやめるよう提案しますね。
「ギャン妻はちゃんと毎月の適正なお小遣いをポンと渡そう。そしてあとは見守ろう！」ってね。

断言しますけど、私、毎日1000円ずつ渡される生活なら、ギャンブルやります。
だって回復したって、希望ある人生にならないじゃないですか。
そんな奴隷みたいな絶望的な人生、ギャンブルでもやってなきゃ、
とってもじゃないですけど乗りきれないです。

先生方ならどうですか？
ギャンブル依存症者をバカにしないで、
先生と同じ人間として目線でよくお考えになってみて下さい。

果たして、そのアドバイス適切でしょうか？
答えはすぐに出るはずです。

ブログ是非応援して下さい！クリックでランキングがあがります。
にほんブログ村
依存症 ブログランキングへ

現在国内の推定罹患者320万人（2017年厚労省）のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を！

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研)　ギャンブル依存症(角川新書)