登山家とギャンブル依存症者はよく似ているです

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ネパールでヒマラヤを見て参りましたが、
そこで日頃思っている「登山家とギャンブル依存症者ってつくづく似てる」という想いを、
ますます強くして帰って来たので、今日はそのことを書きます。

登山好きな方は、今日のブログを読むと、
「そんなもんと一緒にするんじゃねぇ!」と腹が立つと思うので、読まないで下さい(笑)
私としては、腹が立たない人だけご一読頂き、
「なるほど~!」と依存症の理解を深めて頂ければ幸いです。
何故、登山と似ていると思うかその理由は以下の通りです。

①好きじゃない人には、何故とりつかれるのか魅力が全く分からない。
私は、登山をしたがる人の気持ちが1ミリも理解できません。
何故、あんな苦しいことがしたいのか?
しかも登ってすぐ降りるって何が楽しいの?と思います。
自分では、生涯自主的に山登りをしようと思うことは絶対にないと思います。

ギャンブルも好きじゃない人は、何故あんなものが面白いのか?分からないですよね。
儲かることなど殆どなく、空気もガラも悪く、しかもうるさい。
そこに一日中居続け、興奮している人達の心理など、やらない人には1㍉も理解できないことでしょう。

②リスクジャンキー
登山家、特に世界最高峰レベルを目指す人達は、私から見ると死にたがっているとしか思えません。
全生命をかけて挑む訳ですし、何もかも失ってしまう「死」が身近にあると知っている訳です。
ギャンブルも全財産かけてしまって、死んでしまった人の話しなどゴロゴロしています。
それでも手を出す・・・どちらもリスクジャンキーはあとを絶たない訳です。

③身体に悪い
ギャンブルはもちろん身体に悪いですよね。
特にパチンコは一日中、大音量でタバコの煙がモクモクの中座りっぱなしです。
公営ギャンブルだって、寒いし、負ける事ばっかなので、ストレスがピークにたまります。

山なんてもっとめちゃくちゃ身体に悪いですよね。
8000m級の山など酸素は地上の1/3しかないのですから、
どんだけ負荷をかけるんだ!ってことになりますよね。
そこまでいかなくても、中年になって急に山登りを初めて、
膝はボロボロになったなんて話しも聞きます。
凍傷で、手足を失った人だって沢山います。

④思考能力が衰える
ギャンブル依存症になると、脳が機能不全になりまともな思考ができなくなります。
登山も、高山病になると思考がおかしくなっていきます。

⑤社会に多大なる、負担と迷惑をかける
ギャンブル依存症者による社会負担は、もちろん多大なものがあります。
犯罪、貧困、児童虐待、自殺、一家離散などなど、数も多いだけに一体その金額はいくらなのか?
推計すら出されていない状態です。

しかし登山家による社会負担だって半端じゃありません。
依存症者に比べ数が少ないので気がつかれませんが、確率から言ったら相当なものじゃないでしょうか?
遭難や事故も頻繁に起きていて、その度に消防の山岳救助隊や、自衛隊の航空救難隊が出動するわけで、
それらはもちろん税金負担です。
さらに山の事故による、怪我や病気のための医療費負担や、
登山の事故によって、配偶者や子供を残して死亡してしまった場合の社会負担費などもあります。
また、救助に向かった人達の2次災害だってあります。

長野県なんか名山が沢山あるために、多大なる負担を強いられ、
その上、助けてる人は県外の人が殆どな訳ですから実に気の毒だと常々感じています。

さらに、山を登るとき、救助に当たる時などは、
シェルパのような地元のプロフェッショナルの援助や、
山小屋や山岳会といった地域に精通した、民間ボランティア団体の存在が欠かせない訳ですが、
この辺も、自助グループや民間団体との連携なくして、依存症問題は解決できないのと似ています。

⑥環境が破壊される
田舎の牧歌的な風景に、突然ギンギラギンのパチンコ屋さんが出現するのは、日本の風物詩のようなものですが、
公営競技だって、相当環境が悪化します。
「おけら街道」などと呼ばれ、身なりにも構えなくなったような人達がゾロゾロ歩き、
馬券や舟券、スポーツ新聞を破り捨て、昼間っからワンカップをあおっていたりします。
モラルもなくなるので、ギャンブル場の周辺は、めちゃくちゃ汚いです。

登山も全く同じで、人が登れば環境は悪化しますし、
野口健さんが広めて下さっていますが、エベレストなどもゴミだらけになっています。
日本の山もそうですよ、ちょっとググれば山のポイ捨て問題の記事などいくらでも出てきます。

⑦時に安全性より企業利益が優先される
特に日本のギャンブルは、産業側に依存症対策なんて理念は全くありませんから、
儲かればよいとばかりに、人が死のうが知ったこっちゃありません!というスタンスでずっときています。

でも、登山だってそうですよ。
もちろん登山の場合は、事故は恐れていると思われますが、
それでも商業登山では、企業利益が優先されたために起きた事故があります。

例えば、日本の夏山で起きた、近年では最悪の山岳事故となった、
トムラウシ山遭難事故や
トムラウシ山遭難事故

映画化もされた、エヴェレスト大量遭難事故
1996年のエベレスト大量遭難

などの商業登山では、安全性より企業利益を重視したために、
無理がどんどん高じていき、あのような大事故に至ったと言われていますよね。

⑦美化される
ご存じない方は意外かもしれませんが、ギャンブルも美化されています。
まず文学では「麻雀放浪記」のような名作がありますが、
破天荒で無頼派な人物像は、美化されまるでかっこいいことのように描かれます。

そして、公営ギャンブルは、スポーツとして美しく熱い闘いとして描かれます。
競艇、競輪やオートレースは、選手の熱い闘いですし、
競馬はそれプラス、動物好きといった側面も出して、美化していきます。

そして登山家は「自然」「冒険」「勇気」
こういったキラーコンテンツで美化されています。
実際には、平気でゴミを捨てたり、ろくにトレーニングもせず、準備も整えてこないような人もいます。

また以前TVで、けが人の友人を山岳救助隊に連絡後、たった一人で置き去りにし、
残りの仲間達は全員、山登りに行っていた・・・という驚愕の映像を見たことがあります。
登山家が皆、自然と同じく美しい心を持っているわけではないのに、
なんとなくイメージだけで美化されています。

⑧借金もしくは他人の援助なくしては実行できない
ギャンブル依存症者はもちろん、借金と誰かのイネーブリングによって、
やり続けることができてしまう訳ですが、
登山もそうですよね。
莫大な資金がかかるために、皆必死でスポンサーを探していますもんね。

⑨家族に多大な心労を与える
ギャンブルはもちろんですけど、
登山家の映画を見てると、家族が全面的に応援してます!なんてことないですよね。
「もういい加減にして!」なんて怒り狂って、離婚したご夫婦なんてのもあるようです。

⑩リスクがあっても繰り返す
そして最大の共通点がこれ!
どんなにリスクにさらされようとも、「成功した時の達成感を求め繰り返す」ってことですよね。

どうですか?ものすごく似ていないですか?
私は、山に登る人の心理は1ミリも理解できないのですが、
一つのことにとりつかれてしまう人の気持ちはもちろん理解できるので、
自分の趣味とは対極なものに惹きつけられている人達が、興味深くて仕方ありません。
だから色んなものを読みあさったり、調べまくったり、映画などを見たりしています。

私が登山の魅力が理解できないのと同じように、
世の中の人は、ギャンブル依存症者の気持ちなど、
一向に理解できないでしょう。

だけど、こうして比べて頂けると、人って案外何かにとりつかれちゃうもんだよね・・・とか、
社会に迷惑をかけたり、負担をかけたりすることって、
何も依存症者ばかりではなく「なんでもお互い様だよね」と思って頂ければ幸いだなぁと思っています。

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現在国内の推定罹患者320万人(2017年厚労省)のギャンブル依存問題。
日本でもギャンブル依存症対策の導入を!

[田中紀子の著書]
三代目ギャン妻の物語(高文研) ギャンブル依存症(角川新書)

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